身長162cm、B85・W55・H100という驚異的スタイルのくびれボディが話題の藤井マリーが、レースクイーン卒業を発表した。パキスタン人の父と日本人の母を持つハーフで、祖父は西鉄初代監督の宮崎要氏。
モータースポーツに対する造詣も深く、「レースクイーン・オブ・ザ・イヤー 22-23」に輝いたことで名実ともに頂点に輝いたことも記憶に新しい。今後は、さらにマルチに活躍するのが夢だという。

【写真】レースクイーン・オブ・ザ・イヤー受賞、藤井マリーの撮りおろしカット【10点】

「レースクイーンを始めたのは23歳のときでした。それまで化粧品会社で普通に働いていたし、結構スタートは遅いんですよ。中学の頃も少しだけ芸能事務所に入っていた時期があるんですけど、そのときはたまにモデル仕事が入ったり、番組にエキストラ出演したりするレベル。うちが母子家庭だったこともあり、まずは生活を安定させることが第一だと就職の道を選んだんですよね」

機転が利いて弁が立つ藤井は、社内での評価も高かったという。そのため若くして店長にまで上り詰めたものの、自分の将来を想像したときに「やり残したことがあるのでは?」という考えを拭うことができなかった。懸念だった家の財政状況も、母親が再婚したことで余裕が生まれる。

「ちょうどその頃、中学のときに一緒に芸能活動をやっていた友達に再会したんです。その子は毎日栃木から東京まで通いつつタレント活動をずっと続けていて、稼ぎがあまりなくても頑張るその姿が、私からはものすごく輝いて見えて……。私も芸能界で成功する自信なんてなかったけど、走り出さずにはいられなかったんですよね」

自分の武器は何なのか、再デビューにあたって藤井は改めて考えてみた。年齢は決して若くないが、さりとて円熟味もない。
強いて言えば特徴的な体型をしているので、もしかしたらグラビアアイドルが向いているかもしれない──。

こうして事務所もグラビアデビューに向けて営業に動き始めたが、予想もしないかたちでレースクイーンのオーディション話が舞い込んでくる。2017年8月のSUPER GT富士スピードウェイ戦前にケガを負ってしまったレースクイーンの代役を決めることになったのだ。

「ちょっと前まで化粧品を売っていた会社員なので、サーキット会場ではカルチャーショックがすごかったですね。周りは信じられないくらい細い子ばかりだったから目を疑いましたし、メイクにしても、屋外で人に見られる立場だから普段より濃い感じにしたほうが映えるんですよ。だけど私はカラコンもマスカラもアイラインもしない状態で臨んだので、今振り返るとやけに幼い顔をしているなって笑っちゃう。

今ではあの頃足りない部分があったからこそ、その後、綺麗になれるように頑張れたんだと前向きに捉えていますけどね(笑)」

野球やフィギュアスケートなど、小さい頃からスポーツ観戦が大好きだった。それだけに自身がレースクイーンになると、モータースポーツの奥深い魅力に引き込まれていく。「この競技の面白さを伝えたい」という想いが、藤井にとって最大のモチベーションだった。

「たとえば野球やバスケにもチアリーダーはいますよね。フィールドでお客さんを盛り上げる立派な職業だと私も思います。ただレースクイーンの場合、もっと競技者との距離近いんですよ。
本当に限られた人しか入れないピットにいるし、最初から最後までレースに出ているし、マシーンを迎え入れるのも私たちの役目だし……。すごくチームの一員になっている感じがするんですよ。さらに言うと、サーキットでの熱い戦いとファンの盛り上がりを繋いで、一体感を演出するのもレースクイーンの大事な役割。スポークスマン的な要素が強いのかもしれない」

こうした藤井の真摯な想いが結実したのが、「レースクイーン・オブ・ザ・イヤー 22-23」受賞だった。トロフィーを受け取った瞬間は「喜びもあったけど、それよりも責任感を持たないといけないと気が引き締まった」とのこと。400人いるレースクイーンの頂点に立つ以上、生半可な真似はできないというのだ。

「その気持ちは、レースクイーンを卒業してからも変わらないです。藤井マリーとして活動していく限り、レースクイーン出身という事実は変わらないし、私もそこを誇りに思っていますから。レースクイーンをステップアップの手段として考える子も、昭和や平成の時代はいたかもしれません。

でも、令和時代のレースクイーンはなりたくてなっている子ばかり。少なくてもトップにいるレースクイーンは、みんな信念を持ってやっていますよ。SNSで発信する機会も多いので、レースに関する知識も求められますしね」

藤井の指摘通り、求められるレースクイーン像が変わっているのは事実だろう。
キャリア7年目になるが、後輩と話していると、志の高さやビジョンの明確さに頼もしさを感じることが多いという。

「これなら自分がいなくても大丈夫。いや、むしろいなくなったら枠が空いて後輩たちのチャンスが広がるなってことに気づいたので、次のステップに進む決心がついたんです。レースクイーンの藤井マリーを応援してくれていた方には、ここから今まで見せてこなかった新しい面をお見せしたいです。そして新たに私を知ってくれる方に向けては、引き続きモータースポーツの魅力をお伝えしていきたい。たとえレースクイーンを卒業しても、モータースポーツ愛は絶対に変わりませんから」

今後については「女優業や執筆業などにも挑戦してみたい」と前向きに語る藤井。もちろんグラビア活動も引き続き積極的に行う予定なので、魅惑のトラグラボディを見る機会はさらに増えそうだ。

(取材・文/小野田衛)
編集部おすすめ