CMでの活躍が目立つ新進俳優の翔野葵。日本コカ・コーラ「アクエリアスNEWATER」『冬のカラダも、汗っかき。
』篇で「推ししか勝たん!」と推し活に夢中になる美女、といえばピンとくる人もいるのでは? ’23年は計8本のCMや広告に出演。さらに、新海誠監督の劇場アニメを舞台化した『言の葉の庭~The Garden of Words~』に出演するなど活躍の幅を広げている。令和のCM美女・翔野の素顔とはーー。

【写真】令和のCM美女・翔野葵の撮り下ろしカット【7点】

「テレビCMだと全国で流れることが多いので、家族や地元の友人に『朝、決まった時間にCMが流れるから、葵におはようって挨拶してから出かけるんだよ』と言われたり、駅や電車の車内広告だと『出勤するときに必ず葵ちゃんに会う』というファンの方がいたり。自分のCMが、そういう生活のルーティンの一つになれているのがうれしいです」

’23年は、ポニークリーニング「ポニポニ♪」TV-CMやGoogle Chrome WEB-CM「だんぜん、Chrome | パスワード管理篇」などのCMに出演。なかでも駅構内や電車の車内広告など、目にする機会も多かったベルシステム24のブランド広告「その声に、どうこたえるか。」は、翔野自身も思い出深かったという。

「"やる気"とか、"消極的"とか感情を擬人化した脳内研究所、という設定のストーリー仕立ての映像で、私は“やる気”を担当しているYARUKAという女の子を演じたんですけれど、それがすごく難しくて。普段、人間にはいくつもの感情があるから一つの感情だけで演じないで、と指摘されることが多いのに、これはその逆で“やる気”という感情だけで演じなくちゃいけない。今までとは違うアプローチが必要だったのを覚えています」

苦戦した分、完成したCMには感激もひとしお。「当時のマネージャーさんと一緒に広告がある場所を見に行って、自分と記念撮影しました」と笑顔を見せる。

「そのときは、ファンの方だけではなく事務所の先輩からも『見つけたよ』と連絡いただいたり、反響が大きかったです。でも、誰よりも私のCMを見つけるのが早いのは、母。
私が告知する前に『これ、葵?』と聞いてくることが本当に多いんですよ。その連絡で私がマネージャーさんに『もう公開されています?』と聞くことも(笑)。母のエゴサ力、本当にすごいです」

芸能界入りは、そんな母親からの応援も大きかった。高校生のとき、地元・愛知県で開催されたオーディションに参加。「楽しそう!」とスイッチが入ったが、高校卒業後はOLとして就職。一度はあきらめた夢だった。

「本当は高校卒業後に、芸能コースのある学校に入るつもりだったんです。でも、母子家庭で気持ち的にも金銭面的にもちょっと不安があって。就職して1年後くらいに、以前のオーディションで声をかけてくださった方が『もし興味があるならもう一度どうですか』と連絡をくださったんです。そのときは、自分で働いて貯金もあったし、母も『せっかくだから挑戦してみたら』と背中を押してくれました」

上京後に初めて参加したワークショップで「なんだ、この面白い世界は!」とお芝居にハマり、改めて俳優を志すことに。CM出演のほか、「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ系)等の再現VTRや歌手・鈴木瑛美子のMV(「A New Story」)出演などでキャリアを積んできた翔野だが、数年前に出演した映画で芝居に関しての意識がガラッと変わったという。

「初めて名前のある役をいただいたんです。
役の背景とか、いろいろ準備をして臨んだものの、撮影が始まったらその場で生まれるものがすごくたくさんあって。お芝居ってこういうことなんだっていうのが、はっきりわかった瞬間でした。

CMとはまた違ったプレッシャーで、すごく怖かったですが、別の人になった感覚や達成感を持てたので、この感覚を忘れないようにしたいなって。夢と憧れだけだった世界のなかで、ずっと役者の卵って言われてきたけれど、やっとちゃんと役者になれた仕事だったのかなと思っています」

ふわっとした雰囲気の見た目から「おとなしそう」と言われることも多いというが、特技は6歳のころに出会った“よさこい”と実はかなりのアクティブ派。なんと、よさこい歴は20年以上!

「毎年8月に名古屋で開催される『にっぽんど真ん中祭り』に向けて、チームが一つになって練習していく過程はもちろん、終わったときの達成感。もうやみつきですね! この経験は、仕事にも活きているように思います。どんな作品も一人の力じゃどうにもできない。例えば、汗が流れ落ちるタイミングなど、その一瞬のシーンのためにプロのスタッフさんが全力を注いでいるので、絶対に失敗は許されません。

そういった集中力やチームワークを大切にすることは、踊りとお芝居、似たところがあります。1曲踊ったらヘロヘロになるくらいハードなよさこいですけれど、役者に必要な体力もつけられるのかなと思っています」

チャームポイントは、CMでも目を引く印象的な笑顔。それに加えて、「どこにでも馴染める顔」も自分の長所だと笑う。

「ちょっと同意しづらいと思うんですが、私って顔がめちゃくちゃはっきりしているわけでもなく、だからと言って薄くもなくっていう感じじゃないですか(笑)。
でも、そこが良いところなのかなって。どんな役でも馴染める顔なので、役の見た目から変えていけるのは意外と強みだと思うんです。どの色にも染まれるのが今の私の推しポイントです!」

ちなみに、翔野自身が今推しているのは「忍者めし」というグミ。「もともとグミが好きなんですが、これは歯ごたえもあって1袋で長い時間味わえるのでハマっています。グミのCMにも出られたらいいですよね。私、絶対おいしく食べられます。食べるカットも得意なんです!」とアピールするが、今後は“おいしく食べられる”を活かしたレポーター業にも進出したいと意欲を見せる。

「街の人に声をかけるのも人見知りせずにできると思いますし、今までやったことがないからこそ挑戦したいなと。俳優としては、CMはもちろんドラマや映画、継続してしっかりとお仕事をいただけるようになりたいです。去年、出演した『言の葉の庭~ The Garden of Words ~』という舞台では、共演者の方からすごく刺激を受けました。

それもあって今はどんな役でもいいから何でも挑戦したいという気持ちでいっぱいです。でも、欲を言えば殺人鬼とかサイコパスとか。
そういう役をやってみたいですね。ふわふわ笑顔の私が実は……って、逆に怖そうだと思いませんか? 自分の引き出しがまた一つ増えるかなとも思うので、見た目のイメージとは真逆の役にも挑戦したいです!」

取材・文/吉田光枝

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