脚本:宮藤官九郎、主演:阿部サダヲによるTVドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の第6話が、3月1日に放送された。(以下、放送されたドラマ第6話のネタバレを含みます)

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前回のエピソードで、市郎(阿部サダヲ)と純子(河合優実)が阪神・淡路大震災に巻き込まれ、1995年に命を落としていたことが判明。
それが確定した未来の出来事だとは分かっていても、市郎はなかなか愛娘の死を受け入れることができない。9年後にこの世から去ってしまう純子に対して、父である自分はどのように接すればいいのか。

そんな彼をみかねて、真彦(磯村勇斗)はタイムマシンの開発者・井上教授(三宅弘城)のラボに連れ出し、純子のいる昭和に戻るべきだと主張。市郎も残された時間を娘と大切に過ごすべきだと思い直し、自分がいた時代へと戻っていく。

井上教授によって今回明かされたのは、市バス型タイムマシンが走行するのは土曜日の一便のみであること。行きは早朝4時55分、帰りは3時55分。一週間に一度のタイミングで、過去と未来を自由に行き来できるのだ。今後このドラマは、昭和人が令和に、令和人が昭和にタイムスリップする頻度がさらに増えていくことだろう。

久々に純子と再会した市郎は、80歳の加藤茶に35歳の嫁がいるとか、萩本欽一が78歳で大学を中退していたとか、いろいろあって近藤真彦がレーサーになってたとか、昭和人ビックリの令和トークを披露。特に、『3年B組金八先生』でバリバリの不良役だった三原じゅん子が国会議員になっていたことは、インパクト大。純子もにわかに信じることができない。

そういえば映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、主人公のマーティが未来では元俳優のロナルド・レーガンが大統領になっていることを伝えても、全く信じてもらえないエピソードがあった。
時代ギャップものとして、どうやら政治家ネタは鉄板らしい。

市郎に連れられて令和にやってきた純子は、テレビ番組「常識クイズ!令和Z世代 vs 昭和おやじ世代」のスタジオ収録を観覧。市郎と一緒に昭和おやじ世代のパネラーとして登場するのは、80年代を代表するスター俳優・松村雄基だ(当然、純子はテンション爆上がり)。

やがてドラマはお馴染みのミュージカル展開となり、令和Z世代だっていつか歳をとり、TikTokでさえ昔話になると歌う。そして、「おじさんが、おばさんが昔話をしたいのは、17歳に戻りたいから」と続けるのだ。

この歌の下敷きになっているのは、明らかに南沙織が1971年にリリースしたヒット曲「17歳」。この原曲には、サビで「私は今生きている」という歌詞が登場する。純子が「私はまだ17歳」と歌うことで、残り9年しか残されていないことを知っている視聴者に哀しい気持ちを抱かせつつも、元歌に「私は今生きている」という歌詞があることで、ポジティブな印象も与えている。表層的には、昭和世代と令和世代の時代ギャップを描くものでしかないが、「17歳」には重曹的な意味が込められているのだ(たぶん)。

それにしても気になるのは、キヨシ(坂元愛登)がラジオへのハガキを通じて知り合う不登校生徒のS君。最後のシーンでは、彼がドアを開けてキヨシを家に招き入れる。第5話の段階ではここまでS君が重要なキャラクターと思っていなかったが、今後S君はどんな風にドラマに関与していくのか。


ますます目が離せなくなってきた!

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