【別カット7点】折田涼夏、撮りおろしカット
「公式プロフィールとかでは『中学からSNSを始めた』って書かれているんですけど、実際は違うんですよね。最初に始めたのは小学校3年生のときでした」
初っ端から衝撃的な発言が飛び出した。小3でSNS? キッズ携帯ではなくて、いきなり普通のスマホ? アカウントはどうやって作成? 記者の脳裏に疑問符がグルグル回り始める。
「その頃、ダンスを習い始めたんですよ。それにあたって親と連絡を取る必要があるってことで、スマホを買い与えてくれたんです。最初からiPhoneでした。当時は子供なりにゴリゴリのダンサー志向だったので、単なる自己満で自分の踊る姿をアップしていたんです。もう“ばちこりヒップホップ!”って感じでやっていたら、それがうっかりバズッちゃいまして。アプリはMixChannel(現・ミクチャ)というものを使っていました。
デジタルネイティブとはこのことか……。もはや唖然とするほかはないが、Z世代の折田涼夏はこともなげに説明を続ける。
「それで中学に上がるくらいのタイミングだったかな。今度はTikTokが周りで流行り始めたんです。それで私もMixChannelからTikTokに移行させることにしたんです。だけど、やっぱりアプリが違うと勝手も変わってくるんですよ。TikTokではまったく数字が伸びなかった。それで『TikTok、よくわからないな~』とか思ってアプリを一度は消しました」
アプリはアンインストールしたものの、アカウント自体はそのまま残していた。「そういえば……」という感じで4ヶ月ぶりに自分のアカウントにログインしてみると、折田は異変に気付く。知らない間にダンス動画が鬼バズしていたのだ。
「そこからですね、SNS活動を本気でやるようになったのは。
撮影方法も試行錯誤を繰り返した。着る洋服、ライトの角度、背景の色……すべてに気を遣いながら、他者との差別化を図っていく。洋楽を使用する際は日本語の訳詞も載せ、少しでもメッセージが届くように心掛けた。もちろん折田に人を惹きつける才能が備わっていたことも間違いないだろう。TikTokのフォロワー数は倍々ゲームで増え続け、そこに目をつけた芸能事務所から声が掛かる。
「それまで活動場所はSNSの中だけだったのが、そこで一気に世界が広がるようになるんです。モデルとしてランウェイに出させていただいたのも、ちょうどこの頃でした。それで高校生になるとABEMAの『今日、好きになりました。
とはいえ、これには折田なりの事情もあった。今まで戦ってきたSNSのフィールドは顔の“加工”が当たり前の世界。ところが番組出演となれば、そうは言っていられなくなる。「実物は全然違うじゃないか!」という批判を恐れ、素の姿を晒す勇気が持てなかったのだ。「こんなビジュアルで出たらヤバい」と焦った折田は、マネージャーに「すいません。選考中で大変申し訳ないんですけど、少しだけ“垢抜け”の時間をいただけますか?」と伝えた。
「結果的には、そこで『自分を変えよう』と決意したことが大きかったんですよね。髪をブリーチして、メイクもちゃんと勉強して、スキンケアとか肌の調子とかも注意するようになって……。
現在はモデル業やテレビ出演などでマルチに活躍する折田。慣れないことで苦戦することもあるそうだが、SNSの世界で戦ってきたことでメンタルは鍛えられたと語る。
「振り返ってみると、ずっと追い詰められていたような感覚があるんですよ。フォロワーの方が増えても『うれしい』という感情より『もっと数字を伸ばさなきゃ』『もっと動画を撮らなきゃ』『もっと垢抜けなきゃ』という焦りのほうが大きかったですし。周りもすごい方がたくさんいたので、『勝たなきゃいけない!』とアスリートみたいな気持ちになっていました」
敵はライバルのインフルエンサーだけではない。影響力が増すとともに、アンチの数も増えていった。「最初はメンタルが“わたあめ”すぎました」と振り返る折田だが、叩かれるたびにタフさを身につけていく。
「うちの家族って『嫌だったら辞めろ』というタイプなんですよ。『アンチを気にするくらいだったら、わざわざ好き好んでやる必要ない』という考え方ですよね。でも、確かに言われてみたらその通りなんですよ。そもそも顔も出せないような人に何を言われたところで、気にするのがバカらしいなって気づきまして。
20歳となった折田は、現在、大きく飛躍する季節を迎えている。ファッショニスタであると同時に卓越した発信力も備わっているため、今後はますます幅広く活躍していくことだろう。
「興味あることは何でもやってみたいんです。でも、今は美容のことに一番関心が向いているかな。ずっと愛用してるスキンケアブランドさんのCMに出るとか、好きなコスメブランドさんと共同開発したりとか……。夢は広がりますよね。そのためにも向上心を忘れずに頑張っていけたらと思います」
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