【写真】俳優、スケーターとして活躍、本田望結の撮り下ろしカット【8点】
――『カーリングの神様』のオファーがあったときのお気持ちからお聞かせください。
本田 カーリングを題材にした映画と聞いて、オファーがあったこともうれしかったんですが、それ以上に「おめでとう!」という祝福の気持ちでした。というのも氷上のスポーツを描いた日本映画はほとんどなかったですし、俳優さんたちで練習や試合のシーンを再現するのは難しいですからね。フィギュアスケーターとしては、先を越されたような気持ちにもなりました(笑)。
――これまでカーリングに触れる機会はありましたか?
本田 日本は常設リンクが少ないので、いろんな競技の方やチームが同じ氷を使うんです。私も小さい頃から、横のリンクではカーリングの練習をしているという環境だったので、そういう意味では身近でした。でも実際のカーリングをやったのは今回の映画が初めてです。
――クランクインの一カ月以上前から練習がスタートしたそうですね。
本田 都内でもリンクの数が少ないので、毎日練習ができるわけじゃなくて、みんなで集まれたのは数回でした。でも、本編で使われることが決まっていたので、氷上を歩く、滑るも普通にできていなければいけなかったので、どこかのステップを飛ばすということはできませんでした。
――フィギュアスケートとは靴も全然違うんですよね。
本田 フィギュアの靴はかかとが高いですけど、カーリングは運動靴みたいに平らなんです。同じ氷上を滑ると言っても、私の場合、フィギュアの靴を10年以上履いていて、それに慣れているので、カーリングの靴に慣れるのに時間がかかりました。氷上で転びたくないから、足先に力を入れますが、その力の入れ方が、靴によって違うんです。その感覚を掴むのに苦戦しました。誰よりもコツを掴むのが遅かったです。
――初めて脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。
本田 私が演じた高校生の香澄は、小さい頃からカーリングと共に暮らしてきて、小学生時代には、幼馴染みで結成したチーム「みよステラ」で優勝経験もあります。その後、チームは解散しますが、新たなメンバーで「みよステラ」を再結成して、かつてのチームメイトも所属する強豪チームと対戦します。だから香澄は小さい頃からカーリングに慣れている役です。
――どういう不安でしょうか。
本田 その道のプロの方に、「このシーンだけ変わってもらう」というのは、よくあることですが、どこまで自分でやるのか不安だったんです。ところが練習初日にスタッフさんから、「できる限り皆さん自身がカーリングしている部分を使いたいから、やれるだけ頑張りましょう」というお言葉をいただいて。特に私はフィギュアをやっているから、「望結ちゃんは大丈夫でしょう」みたいな空気があって、よりプレッシャーを感じました。できないことをみんなに知られたくないと思って、コソコソ自主練習をしていました(笑)。
――試合のシーンは脚本通りだったのでしょうか。
本田 試合結果などの大枠は決まっていますが、試合のシーンはほとんどアドリブです。というのもストーンの位置によってセリフも変わってきてしまうので。一カ月間の練習期間もありましたし、「みよステラ」のみんなはカーリングの知識がある状態だったので、アドリブでも映像と合ったセリフが自然と出てくるんです。
――香澄を演じる上でどんなことを意識しましたか。
本田 カーリングはチーム競技なので、一つひとつの役割に名前が付いていて、香澄はスキップというリーダーのポジションです。
――自分自身と香澄に共通する部分はありましたか。
本田 私はリーダーみたいに引っ張る役割も好きですし、そうじゃなくても打ち込めるタイプなので、香澄の気持ちも分かりました。だから、あまり目立とうとし過ぎる子にはなりたくなかったんです。
――役としてではありますが、どういうところに団体競技の良さを感じましたか。
本田 カーリングを通して、高校生らしい揉め事や諍いがありますが、個人競技のフィギュアで誰かと言い合ったり、誰かと一緒に決めたりいうことが滅多にないので新鮮でした。高校生でしか味わえないような時間はスポーツに限らず、すごく大事なことだと思います。お芝居を通してですが、そういう時間を過ごせたのは貴重な経験でした。
▽『カーリングの神様』
2024年11月8日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
本田望結
長澤樹 泉智奈津 白倉碧空 / 川口ゆりな
秋山ゆずき 山崎竜太郎 内浦純一
柄本明 六角精児 田中麗奈 高島礼子
監督:本木克英
主題歌:「Sweaty Smell」STU48(キングレコード)
公式サイト:https://curlingnokamisama.com/
【後編はこちらから】本田望結、俳優とフィギュアスケーターどちらも辞めずに続ける理由「自分の選択は間違ってなかった」