【画像】5月8日(木)に放送される『波うららかに、めおと日和』第3話
物語は、主人公・なつ美(芳根京子)が、顔も名前も知らない男性と突然結婚させられてしまうところから始まる。しかも結婚式当日、海軍の中尉であるお相手は急な訓練で欠席。その後、二人が初めて顔を合わせるのは二週間後という、令和では考えられない展開だ。
なつ美のお相手・瀧昌(本田響矢)は、帝国海軍の中尉というだけあり、やや堅い印象の青年だ。しかし、仏頂面の裏には「女性とどう接していいか分からない」という戸惑いを隠しており、それがまた、なんとも可愛らしい。脱衣所の扉を開けるのに戸惑い、布団の距離に戸惑い、さらには“なつ美”と名前を呼ぶのにも勇気を振り絞る純粋さに、いちいちときめいてしまう。
一方のなつ美もおそらく瀧昌が人生初の恋人。こちらもこちらで布団の距離に迷い、名前呼びに戸惑い、ついには「初夜って何をするんですか?」と天然発言をかましてしまう。当然ながら、瀧昌の葛藤にも全く気が付いていない。心の底からピュアな女の子なのだ。
天然女子×不器用男子の組み合わせは、恋愛ドラマの王道中の王道。
主演・芳根京子は、2016年度後期の朝ドラ『べっぴんさん』でヒロインを務めた。また相手役・本田響矢も、2024年度前期の朝ドラ『虎に翼』に出演。ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)の級友・梅子(平岩紙)の“問題児”三男を演じて話題になった。瀧昌の幼馴染役・戸塚純貴も『虎に翼』に出演し、視聴者から“俺たちの轟”と愛された人気キャラを好演した。
脇を固める俳優陣にも朝ドラ経験者がズラリ。なつ美の母役・紺野まひるは『カムカムエヴリバディ』ほか計4作に出演し、瀧昌の親代わり的存在・柴原郁子役の和久井映見も『ちりとてちん』『ひよっこ』でおなじみだ。
さらに奇遇だが、現在放送中の朝ドラ『あんぱん』もちょうど舞台は昭和11年。朝ドラ俳優たちが集結し、時代設定もぴったりと重なったことで、画面からは“朝ドラ感”があふれている。普段は民放ドラマは見ないという人でも、楽しめる作品なのではないだろうか。
昨今の人気ドラマは、衝撃的なタイトルや大がかりな伏線回収で話題を集めるものが多い。恋愛ドラマも、不倫ものやファンタジー設定、記憶をなくした主人公など、一癖あるストーリーが目立っている印象だ。そんな中、名前を呼び合うだけで、手が触れるだけでドキドキする――。“恋愛の初歩”を描く今作は、ほっと温かいお茶を飲みながら見たくなる、心のオアシスのような物語なのである。
スタートラインに立ったばかりの二人が、どんなふうに心を通わせ、どんな夫婦になっていくのか。ゆるむ口元を抑えつつ、目を細めながら見届けたいと思う。
【あわせて読む】映画『ドラえもん』で“歌姫”役に抜擢された女優・芳根京子、歌唱力のポテンシャルとは