5人組ボーイズグループCUBERSのメンバー末吉9太郎。自身もアイドルとして活動するかたわら、「それなー」という決めゼリフとともにSNSにアップした“オタクあるある動画”がバズり、再生回数は驚異の3億回を突破。
フォロワー数も急増しており、「2020年JC・JKトレンド予測」のヒト部門に選ばれた。
通称よしえちゃんという、架空のアイドルグループ「爽快パンチングライン」のファンの女性として日常をコミカルに演じるその動画が多くの人に受け入れられたのは、やはり自身が生粋のアイドルオタクであり、オタクに対する細かな観察眼と、独自の分析力、そしてその根底に愛情があるからだろう。

末吉9太郎にアイドルオタクになったきっかけと、アイドルオタクであることが自身の人生にどんな影響を与えたかを聞いた。

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オタクになったきっかけは、幼稚園の頃までさかのぼります。お遊戯会で『LOVEマシーン』(モーニング娘。)をやったんですよ。正確に言うと女の子が披露したのが『LOVEマシーン』で、男の子はお祭りの踊り。僕自身はモーニング娘。さんがやりたかったので、うらやましいなという気持ちで女の子たちを眺めていたのを覚えています。アイドルという存在を認識したのは、おそらくそこが最初だったと思いますね。

もうそこからはモーニング娘。
さん大好き人間になりまして。小学生に入ってからも辻(希美)ちゃん、ごっちん(後藤真希)、よっすぃー(吉澤ひとみ)と夢中で応援していました。

そして決定的だったのが、小学校4年生のときにコンサート体験をしたこと。僕は千葉出身なんですけど、後藤真希さんがソロで市原市民会館にやってきたんです。「ゴー!マッキングGOLD」というツアー。時期的には2003年の春かな。

そのときの感想ですか? いや、もう感無量でしたね。「すっげぇ。本当にごっちんがこの世にいるんだ……」って信じられないものを観ている感じ。それと同時に圧倒されたのは、オタクの人たちですよ。小学生からしたら、すごく大人に感じるじゃないですか。そんな大きな人たちが我を忘れて熱狂している。
そのことも含めて楽しかったから、即、ファンクラブに入りました。

それから安倍なつみさんの卒業コンサートという大事件が2004年に横浜アリーナであるんですけど、これはモーニング娘。さんとしてではなく、ハロコンの一環として行われたんですよね。僕は安倍さんの最終日でなく、その前日公演に行きました。

そして、そこでハロー!プロジェクトにいろんなグループがあることを知るわけですよ。Berryz工房、W、ココナッツ娘。、メロン記念日……そこからは今に至るまで一直線です。のちにスマイレージ(現・アンジュルム)やBEYOOOOONDSが出てきたときも、その2004年と同じ熱量で応援していましたから。

ちょっと話がズレますけど、僕は学校に友達がいなかったんですよ。当時の僕の心の支えはハロプロだけで、おそらくそのことは親も理解していたと思うんです。小学生だからお小遣いも少なかったし、あの頃は今みたいに無料イベントもなかったけど、ハロプロのコンサートだけは親がお金を払ってくれた。

僕の場合、友達がいなくても落ち込むということはなかったんです。
なぜなら当時は自分もモーニング娘。のメンバーになるつもりだったから。「まぁいいや。どうせ自分はハロプロになるし。この人たちを相手にしていても仕方ない」って達観したところがあって。だから中1のときに自分は男だからオーディションすら受けられないと知ったときのショックたるや……。

「常識で考えて、男がモーニング娘。になれるはずないだろ」って笑われるかもしれませんが、僕としては大マジも大マジだったんです。というのも、おばあちゃんが「大丈夫。あなたはアイドルになれるよ」っていつも言ってくれていたから。それを真に受けちゃったんですよね。

ハロプロさんも昨年まで20周年イヤーということで盛り上がっていましたけど、この20年の間にはAKB48さんやももいろクローバーZさんをはじめ、いろんなアイドルの方が登場しました。
それぞれに違った魅力があるし、僕も「おっ!?」と心惹かれるグループがあったのは事実です。だけど、やっぱり自分にとっての一番はハロプロさんなんですよね。

最近、たまに考えるんですよ。「ハロプロさんの何が自分にとって特別だったんだろう?」って。それで行き着いた答えは、やっぱりつんく♂さんの存在。僕はハロプロさんのオタクである前に、つんく♂さんのオタクだったのかもしれない。

メンバーはたくさん卒業していったし、新しいメンバーや新しいグループも登場した。でも、そこには常につんく♂さんの曲があったわけで……。僕自身、小学生の頃からつんく♂さん流の16ビートを刻んできたから、すでにそれが血となり肉となり骨となっているんです。

推しメンの遍歴でいうと、まず最初はモーニング娘。さんの後藤真希さん。そこから辻希美さん、矢口真里さん、紺野あさ美さん、田中れいなさんと続いていきます。
あとはBerryz工房の菅谷梨沙子さん、スマイレージの小川紗季さん……。小川紗季さんは歌がすごく上手かったんですよね。正直、もっと成長を見守りたいという気持ちがありました。

それから『ロッタラ ロッタラ』というBuono!さんの曲に出会ったことで、鈴木愛理さんにもドハマり。あと忘れちゃいけないのが、まーちゃん佐藤優樹/モーニング娘。’20)。先日、卒業を発表した宮本佳林さんはそれこそエッグの頃から知っていましたけど、本格的にハマったのはJuice=Juiceでデビューしてしばらく経ってからでした。最近の卒業関連でいうと、船木結さん(アンジュルム)も大好きです。

しかしこうして振り返ってみると、僕ってわりと浮気性のDD体質ですよね(笑)。でも本当はこれでも端折ったほうで、さくら組時代のガキさん(新垣里沙)とかも自分の中では外せないんですけど……。基本、僕はプロ意識が高いメンバーが好きなんです。

そういう意味でいうと、ハロプロ以外でもSUPER☆GiRLSにいた前島亜美さんなんかはすごく好き。
なんというか、露骨に“プロフェッショナルなアイドル”という感じがするじゃないですか。ステージでも「私が前島亜美です!」と威風堂々としていますしね。

CUBERSのメンバーになってからの僕はただのオタクではなく、ステージに立つ側になりました。これまでの人生で推しのアイドルから学んだことというのはとてつもなく大きくて、今、すごくそれが活きている気がするんですよ。

たとえば特典会での待ち時間。前島亜美さんや鈴木愛理さんというのは、ステージを降りても常にキラキラのアイドルでいるんですね。決して素の状態にならない。絶えず見られていることを意識している。でも、それが正解なんです。

僕は自分がオタクだから、オタクがステージを降りた状態のメンバーも注視しているのを知っていますから。それから暗転したときのメンバーの様子もオタクは絶対に注目しますね、だから、そこも気を抜けないポイント。いずれにせよ、ファンの気持ちに立って考えることができるのは僕の大きな財産だと思います。

オタクあるある動画が3億再生突破、末吉9太郎「友達がいなくても落ち込むことはなかった」

▽CUBERS メジャー3rdシングル『WOW』
発売日:3月4日
レーベル:キングレコード
表題曲『WOW』は、BCLのフェイスパウダー“Clear Last(クリアラスト)”のタイアップソング&公式アンバサダーに就任決定。カップリングにはキャンプ企画でMVPを獲得した末吉9太郎のソロ曲『顔面国宝!それなー』を収録。また、ボーナストラックも収録された末吉9太郎盤も発売される。
※写真は末吉9太郎盤(CD only)

▽CUBERS ワンマンライブ
5月23日(土)東京国際フォーラム ホールCにて開催
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