【写真】書籍には爆笑問題・太田光との座談会も【4点】
――最近、お笑い界ではどんどん賞レースが増えているように思います。今年から始まる『ダブルインパクト』はその筆頭ですが、井口さんから見て思うところはありますか?
いや、M-1が一番すごいので、他で勝とうが知ったこっちゃないですよ。「M-1がすごいよ」と言い続けるだけ。賞レースに優勝したから出られるということはないんですよ。M-1も昔はファイナリストになれば売れていたけど、そういう時代でもない。優勝したとてそこからでしょうね。
――M-1王者となった井口さんはテレビで活躍する傍ら、現在も漫才と向き合っていますよね。
僕も辞められるものなら今すぐ辞めたいです。ただ、爆笑問題がやっているからやるしかなくて。
――一方で、テレビでは井口さんやくるまさん、永野さん、久保田かずのぶさんといった独自の切り口を持つ人たちが、持論を語るような番組で活躍する姿が目立っているように思います。
ああいうネットニュースになるような番組が需要あるんでしょうね。こっちが叩かれるわけですから守ってくれよとは思います。
――もっとこういう番組がいいという希望はありますか?
やりたいことはないし、やりたくないこともない。よく制作側にも聞かれるんですけど、そっちで考えてくれ、と。呼んでもらったところで120%結果を出すのが一番なので、別にやりたいこととか伝えたいこととかはないですよ。
――先ほど「最悪の時代になってしまった」という話がありました(※インタビュー前編)。井口さんから見て改善するためになにが必要でしょうか?
考えること。今の世代はTikTokとかでどんどん考えなくなっているんでしょうね。
――井口さんはそういう発信力のあるカリスマにはならないんですか?
やっているはずなんですけど、信じない。誰もついてこない。それで「ついてきてたのに」っていうファンとは喧嘩になって終わり。ファンこそ信じないですから。アンチになにを言われようとしょうがないけど、ファンが色々言ってくるのが一番意味わかんない。言い負かそうとしてきたり、「優勝したら変わっちゃうんだろうな」とか言ってきたり。いや、変わってないんだから謝れよと。なんで勝手に決めてくるんだよ、お前はなんにもわかってないんだから黙っとけよと思います。
――井口さんが残している結果を見ていくと、もっと評価されてもいいと思いますが……
もっと突き詰めて考えればわかるはずなんですよ。僕は30分で作って、ライブに3回しかかけていないネタでM-1優勝している。なんでそれを誰もすごいと言わないのかと。練習に練習を重ねた人より凄いはずじゃないですか。でも誰も僕を天才と言わない。結局、人なんですよ。見た目、ルッキズム。永遠に変わらないんじゃないですか。
――井口さんのファン層はどんな感じなのでしょうか?
僕のことを応援してくれている人ってSNSやってないんで。ライブに来る人も、どこでも見たことないし、そういう意味ではまともな人たちですね。
――もし井口さんが芸人をやっていなかったら、SNSでなにか発信して注目を集めようと考えていましたか?
なにかしらやっているんじゃないですかね。だから、みんな芸人になったほうがいいですよ。
――井口さんが求める芸人像はどのようなものでしょうか?
芸人って何でもありなんです。演技も歌もなんでもあり。ただ、YouTubeチャンネルをメインの収益にしていると怖いぞと思いますね。
――最後に、もし賞レースの審査員のオファーが来たらやりたいですか?
尊敬してくれるのであればやります。やりたいというか、やれと言われればやるという感じですね。
▽井口浩之(いぐち・ひろゆき)
1983年5月6日生まれ、岡山県津山市出身。2008年中高の同級生・河本太とウエストランドを結成。2022年M-1グランプリ優勝。
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