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映画「国宝」は公開からわずか31日で観客動員数319万人、興行収入44.8億円を突破し、50億円突破も確実とされる、まさに空前の社会現象となっている。
團十郎は作品を観た感想として、李相日監督の情熱と、主演の吉沢亮が歌舞伎と真剣に向き合っていた姿勢を称賛。特に印象に残ったシーンとして、歌舞伎の家に生まれなかった喜久雄(吉沢)が御曹司の俊介(横浜流星)を差し置いて大抜擢される場面を挙げた。
「團十郎は『市川團十郎家を父から預かっている』という自身の立場と重ね合わせ、“血のある人間”として俊介側の視点で観ていたことが印象的だったとして、作中の『全部盗むのか』『てめぇふざけんなよ』というセリフは“本音”だと指摘。“盗まれる側”としてその気持ちが『痛かった』と明かし、現役の歌舞伎俳優として心に刺さる表現をした監督に感謝の気持ちを述べていました」(YouTubeライター)
また、團十郎はこの映画のハイライトの一つである、屋上で吉沢が見せた“狂気のシーン”について、独特の見方をしている。
「海外映画『ジョーカー』のような精神的深みを感じ取ったとも語っています。『歌舞伎って、天使のような神様もいれば魔物もいる。そのはざまにある世界観が、この映画にはしっかり描かれていた』と指摘。『ジョーカー』では疾患を抱えた主人公がピエロの顔からジョーカーの顔に変わっていくが、團十郎は『あの“変容”に似た感覚が『国宝』の中にも確かにあったんです』と振り返り、『もちろん僕は演出家でも監督でもないけれど、もし自分が撮るなら、ああいうふうに表現してみたいと思った』と実感したそう。演者としてだけでなく、一人の表現者としての視点も交えながら映像の力に感銘を受けた様子でした」(前出・YouTubeライター)
さらに、作中では子役時代の喜久雄が渡辺謙演じる俊介の父親からしごかれるシーンもあったが、團十郎は「僕の時代はもっと厳しかった。骨の骨格が変わるような日々だった」と自身の子ども時代を思い出す場面も。
最後に、「この映画をきっかけに歌舞伎に興味を持つ方が増えてくれたら嬉しい」と呼びかけた團十郎。
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