プロビーチバレーボール選手として2年目を迎えた菊地真結。その一方で、雑誌のグラビアを飾ると大きな話題になる、まさにビーチバレー界のニューヒロインだ。
しかし、その輝かしい笑顔は、過酷な練習に裏付けられたものだった。インドアバレーからの劇的な転身、ビーチという世界を知って芽生えた夢とは。彼女の知られざる物語に迫った。(前後編の前編)

【写真】グラビアが話題になったプロビーチバレーボール選手の菊地真結【3点】

――ビーチバレーとの出会いは「体育館から抜け出したかった」という、切実な思いがあったそうですね。

菊地 そうなんです。練習が辛かったのもあり……精神的に「もう体育館に行きたくない」という気持ちになっていました。

――そもそも、バレーボール一家に生まれたエリートだと伺いました。

菊地 父が高校のバレーボール部の顧問で、母もママさんバレーをしていたんです。姉が先に始めていたので、自然と私も小学1年生から始めました。中学に上がるときも、千葉県で1位だった松戸市の強豪校に通っていました。

――エリート街道を突き進み、高校は東京の名門・共栄学園高校へ。練習は、やはり厳しかったですか?

菊地 めちゃくちゃきつかったです。
中学とは比べものにならないくらい。まず、朝練のために毎朝始発の5時くらいの電車に乗って、6時に学校に着いて、7時から朝練という生活でした。

――朝からハードだったと。どのくらい練習していたんですか?

菊地 朝練は1時間なんですけど、始まった瞬間から「ワンマン」っていう、先生対選手1人のレシーブ練習を延々とやるんです。授業後の午後練は3時間半くらいですが、一番きつかった時期は、練習の最初から最後まで全部ワンマンでした。レシーブワンマンの後にスパイクワンマン、その後にブロックワンマン、最後にダッシュ。決められた秒数以内に1人でも入れないと連帯責任でやり直し、みたいな。

――聞いているだけで息が詰まりそうです。

菊地 でも、今思うと、高校時代以上にきついことはないので、メンタルはすごく鍛えられましたね。今の活動にも、その経験は生きていると思います。

――それだけ厳しいと、休みの日はぐったりしてしまいそうです。

菊地 いや、めっちゃ遊びに行ってました(笑)。
毎週のように新大久保とか原宿に行って、タピオカを飲んだり、当時流行っていたチーズタッカルビを食べたり。ちゃんと女子高生らしいこともして、リフレッシュしていましたね。そういうのがないと、やっていけなかったと思います。

――ところで、ビーチバレーとはどのように出会われたのでしょう。

菊地 ある日「ビーチ(バレー)やらない?」と言われたんです。通っていた高校には、年に1回ビーチバレーをやる恒例行事があったんですが、高3になる年に国体の種目に高校生の部が新設されたんです。私にとっては、まさに救いでした。ビーチバレーに出会ったおかげですごく新鮮な気持ちになれたし「ビーチがあるから頑張れる」って、インドアの練習にも身が入るようになりました。

――その救いだったビーチバレーで、すぐに結果が出たと。

菊地 練習を始めて1ヶ月半か2ヶ月くらい経った頃、初めて出た小さな大会で優勝できたんです。周りはビーチバレー部の選手や大学生ばかりだったので、すごくうれしくて。「もっと強くなりたい」「もっと練習して頑張りたい」っていう気持ちが、その時に一気に芽生えました。


――高校卒業後は、インドアを辞める決意だったそうですね。

菊地 「もうバレーをやりたくない」という気持ちもあって…。普通の大学に行こうと考えていました。でも、高校の顧問の先生が、千葉にある明海大学のバレー部の監督になることになり「明海に来ないか?」とお誘いいただきました。

――それで、ビーチバレーができるなら、という条件で進学を決めたんですね。

菊地 はい。最初は断ったんですが、親や周りの人たちに言いくるめられたというか(笑)。最終的には「ビーチバレーの活動もできる」という言葉が決め手になりました。インドアはやりたくなかったけど、ビーチバレーはもう少しやりたい気持ちがあったので「ビーチができるなら」という条件で、明海大学に進学することを決めました。

▼菊地 真結(きくち まゆ)
2001年5月24日生まれ、千葉県出身。身長167cm。小学1年生からインドアバレーボールを始め、名門・共栄学園高校を経て明海大学に進学。
大学3年時にビーチバレーの日本代表として世界大学選手権に出場したことを機に、プロ転向を決意。現在はプロビーチバレーボール選手として国内外のツアーに参戦。2024年、2025年と2年続けて雑誌『週刊プレイボーイ』のグラビアに登場するなど、ビーチバレー界のニューヒロインとして注目を集めている。

【後編】「グラビアやってるの?」と言われても――菊地真結が笑顔で戦い続ける「目指すはオリンピック出場」
編集部おすすめ