人に頼ることが苦手……
私は3人兄弟の長女として育ったこともあるのか、物事を人に頼ることが苦手です。これを頼んで嫌がられたらどうしようと思ってしまったり、自分でやった方が速いから頼む必要はないと感じてしまったりして、結局全て一人で抱え込んでしまいます。
分かる……! と頷きすぎてムチウチになりそうな人、たくさんいるのではないでしょうか。
かくいう私もそのタイプ。兄と弟がいる中間子ですが、小さい頃から人に頼るのは苦手(今はだいぶマシになったけど)。そして、完璧主義なところがあります。
たぶん、あなたもそうではないでしょうか。
完璧主義の人は、人に頼ったり仕事を振ったりするのが苦手。まず単純に、責任感がムダに強い。そして、自分以外の誰かに、自分と同じくらい完璧を目指してもらうのは難しいと感じているから。
えっ、自分の方が有能だと思ってるってこと⁉︎ と誤解されそうですが、そうじゃないんです。完璧にする、ではなく、完璧を目指してしまう。そして、それを他人に求めるのは良くないと思っている。
というケースに加えて、相談文にあるように「嫌がられたらどうしよう」とか「自分でやった方が速い」と感じて頼めないケースもありますよね。このあたりは相手の性格やスキルによって変わってくるところかもしれません。
ともあれ!
ひとりで抱え込むとあなたはパンクしてしまう。そして体調を崩すなど不慮の事態が起きた時にカバーする人がいない。さらに、他の人は仕事を覚える機会を得られず成長できない。つまり、個人にとっても組織にとってもプラスにならない。
では、どうすれば?
「自分でやった方が早い仕事を、あえて人に頼む」を山ほど経験している友人に話を聞いてみました。
コツは、「相手ができなかった場合は自分が巻き取ればいい」と心の準備をしておくことだそう。
例えば、今日は火曜日で、金曜中に完了させねばならない仕事がある。自分なら金曜1日でやれるけど、人に頼んだら2日はかかりそう。その場合は、「水木でやってもらえますか」とお願いする。
無事にやり遂げてもらえたら万々歳。もし途中までしかできなかったり不完全だったりしても、金曜を使って自分が完成させればいい。
「自分と同じ時間でやってもらおうとすると無理が出る。余裕のあるスケジュールで頼むのが大事」と友人。納得!
では、速さではなく質に心配がある場合は?
これについては、私が日経新聞で何度も取材させていただいた、ビジネス講師の鈴木真理子さんの言葉をお届けします。
「頼むのが苦手な人は、頼んだら口を出してはいけないと思っている」
……ハッ。たしかにそうかも!
と、私も昔、気づかされたんです。そうか、口を出してもいいのか、と。
もちろん、何でもかんでも口を出すと相手もやる気を失ってしまいます。いきなり100点を求めず、「ここ、いいですね」とほめた上で、「こっちをこうするともっと分かりやすくなるかも」と少しだけ口を出す。
それを繰り返していくうちに、あなたは人に頼むことに慣れ、相手も新しい仕事に慣れていく。
相手の立場に立つと分かると思うんですが、人から頼まれるのって、面倒としか思わない、とも限らないですよね。
誰かに頼めるようになれば、あなたは楽になり、相手は自信をつけ、組織も力を増す。Win-Win-Win! です。
焦らず、少しずつ慣れていきましょ!
<Point.>
・ひとりで仕事を抱え込むと、自分がつらい上に不慮の事態に対処できず、他の人は仕事を覚える機会を得られず、組織は成長しない
・「いざとなったら自分がカバーする」という覚悟を持って日程も調節しておけば、時間がかかりそうな人にも頼めるようになる
・いきなり100点を求めず、「ほめた上で改善できる点を少しずつ指摘する」ことも大切
・人に頼めるようになれば、自分は楽になり、周りは自信をつけ、組織も力を増して、Win-Win-Win
(文:ヨダエリ、イラスト:黒猫まな子)