マウスコンピューターが毎年夏に開催している「親子パソコン組み立て教室」が、今年も"夏休み"にあわせて、8月14日と15日の2日間にわたり開催された。全国の小学6年生親子が参加募集の対象で、親子で力を合わせて「自分だけのパソコン」をつくりあげる体験イベントだ。
「親子パソコン組み立て教室」は、マウスコンピューターが小学生親子を対象に開催している毎年夏の恒例イベントだ。会場となったのは同社の生産拠点である長野県飯山市のマウスコンピューター飯山工場。参加者は、実際にパソコン生産で使用している同工場内の設備を利用して組み立てを体験する。
開幕にあたり、主催者挨拶としてマウスコンピューターの軣秀樹社長が登壇。来賓に飯山市の市政関係者らも駆けつけ、子供たちとその保護者にものづくりの価値や、自然豊かな飯山市の魅力を話した。
そして教室がスタート。まずは「座学」からで、基本的なパソコンの仕組み、どうやって動作しているのか、それぞれの部品にどんな役割があるのかの講義が行われた。パソコン生産の実践に備えて、ドライバーの使い方といった基本的なことから、CPUの組み付け方といった専門的なことまで、組み立て方のレクチャーも行われた。なお、講師陣は飯山工場で働く現役のスタッフで、まさに現場のプロの知見に触れることができるものだった。
座学が終わればいよいよ組み立てだ。
最初のステップはパソコンを構成する部材のピックアップから。飯山工場での実際のパソコン生産に沿った手法で、各自が部材ピックアップ用の管理シリアル入りの「地図」を手に、コンテナを転がして工場内の部材倉庫を回る。最新のパソコンパーツの山から目当ての部材を探索する模様に、「宝探しみたい」という感想もあった。
部材が集め終わったら本番のパソコン組み立てだ。飯山工場で採用している「セル生産方式」に則り、各親子の生産ブースで部品からパソコンを組み上げていく。今年のイベントの2日間の開催日程は、大きく初日がデスクトップ型、2日目がノート型と分けられており、今回弊誌が取材したのはデスクトップ型の日だ。
パソコンのスペックは各親子か事前に選んだものなので各自バラバラだが、傾向として、水冷ユニットや高性能GPUの選択率が高く、小学生の内はもちろん、中高生になっても、もっと言えばお父さんの趣味も入っていそうなゲーミングパソコンが多いように見えた。水冷ユニットの組み付けや、内部ケーブルの取り回しは小学生には少し難しそうだったが、そこは付き添う「先生」のアドバイスも受けながら、親子で協力して乗り越えていく。
そしてハードウェアが組み上がったなら、そこに魂を吹き込むソフトウェアのインストールと起動試験だ。組み立てブースから、これも飯山工場の生産と同様のインストールブースへとパソコンを移動させ、電源を入力。OSやドライバが走り出し、無事Windowsの起動画面が出現すると、喜びで思わず体が動いてしまったり、歓声を上げてしまう子供たちの姿が多く見られた。
マウスコンピューターの軣社長は、教室の開催にあたり、「夏休みの機会ということで、親子で楽しめる。子供にとって、親と一緒に自分も頑張ったという特別感のある記憶は、きっと長い間、思い出に残る。夏休みの自由研究の一環にも役立ててほしいと考えている」としたほか、「未来のためにも、子供たちに"ものづくり"の体験の場を提供したかった」と意図を話している。
先にも触れた通り、この組み立て教室は、マウスコンピューターの特徴であるBTOであったり、複数の製品モデルに対応できる「セル生産方式」を学ぶことができる。軣社長は、セル生産方式に対し「古くからの生産方式であり、日本の"ものづくり"のスタートに近い生産。"ものづくり"の基本はセル生産だと思っている」と、工場の最適化の観点はもちろん、それを超えてセル生産に思い入れを持っているようにも述べていた。
軣社長は、今回に限らず、子供達に期待を込めて「多くの経験をしてほしい」と話している。なぜならば、「子供達のこれからの、将来の選択というのは、子供の頃からの経験から出てくる部分が必ずあると思う。だから、多くの経験をしてほしい。そして、その経験の中に、日本をささえる"ものづくり"の思い出があってほしい」と話している。