19日からWOWOWで放送・配信される『連続ドラマW 1972 渚の螢火』(毎週日曜22:00~ ※全5話、第1話は無料放送)の完成報告会が6日、都内で行われ、高橋一生青木崇高、平山秀幸監督が登場した。

○「考えなくてはいけないなと思いましたね」

坂上泉氏の同名小説を実写ドラマ化した本作は、本土復帰直前の1972年、沖縄が舞台。
現金輸送中の銀行車両が襲撃され、100万ドルが奪われる事件が発生。円ドル交換が迫る中、この事件は重大な外交問題に発展しかねないと考えた琉球警察は、秘密裏に解決するため特別対策室を設置。復帰まで残された猶予は18日。琉球警察のエリートでもある真栄田太一(高橋)らは、犯人と金の行方を追跡する。

原作や台本の感想を問われた高橋は「当時の社会的背景が緻密に描かれているなと感じました。それをどう映像に変換するのか、考えなくてはいけないなと思いましたね」とドラマ化にあたって難しさを感じたといい、「当時の人たちはいろんな矛盾や選択を抱えていたと思います。それよりもその場所で1972年に生活していたということを自分なりにいかに落とし込めるかということを意識して現場に入りました」と覚悟を持って撮影に臨んだという。

その高橋が演じる主人公の真栄田太一は、石垣島出身で東京の大学を出た琉球警察のエリート。署内では「ないちゃー(本土の人間)」と距離を置かれ、自身のルーツと向き合うことになる。「真栄田という人間は石垣の出身ですが、沖縄そのものの存在に感じました。大きい社会がすごく小さなコミュニティーに縮小して真栄田という人間ができてるという感覚があったので、そこから拾っていけるものがあればと思いながら演じさせてもらいました」と振り返る。

一方の青木は、真栄田と同じ高校出身で、捜査一課班長の与那覇清徳役。
真栄田に対して強いライバル心を抱きながらも、複雑な思いを秘める。青木は「この顔なので8割ぐらいは仕上がっているんじゃないかなと」と笑いを誘いつつ、「沖縄の時代のことはちゃんと自分なりに調べ、自分の言葉で話せるようにしました。キャラクター的には熱量の高い人間なので、空回りするのもセットで演じました」とやり切った様子だった。
○沖縄がまさかの極寒「ホテルでストーブを」

同ドラマは1~2月に沖縄で撮影。青木が「極寒で沖縄は本当に寒かったんです。こんなはずじゃないんだろうと。ホテルでストーブを出してもらいましたが、暖房がないところもありましたよ」と明かすと、高橋も「予期しないぐらいの寒波でしたよね。衣装合わせの時に(沖縄は)暖かいから大丈夫だと皆さん言ってましたが、空港に着いてからこれは寒いなと思いましたよ」と撮影中は寒さとの戦いだったとか。

そんな2人は、撮影以外でも行動を共にしたという。青木は「最初に行ったのが美味しいしゃぶしゃぶ。ステーキも行きましたし、美味しかったですよ。楽しい時間を過ごさせていただきました」と満足げで、高橋も「青木さんと僕は撮影後もずっと沖縄を回ってましたね」と楽しんだ様子。
また、撮影前からプライベートの旅行でよく訪れたという沖縄が、変わって見えたという高橋は「ロケ先の行く先々で(当時の話を知る地元の人々に)お会いすると、どんどん身近になりました。当時の情勢や思っていることは千差万別ですが、どうやって生きてきたかリアリティーを持って伝わってくるので、それを役に生かせたと思います」と充実した表情で語った。
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