AIで800社以上、17万3000人以上のビジネスパーソンを分析してわかった事実――。それは、仕事ができる人は「小さな習慣」をコツコツと積み重ねているということです。
どんな、小さな習慣なのか。

それは、「小さなムダ」を見逃さないということ。余計なことに時間を使わずに大事なことに集中できる環境を整えるからこそ誰よりも早く結果を出せます。この記事では、こうしたムダのなくし方を解説した『AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣』(越川 慎司/アスコム)から一部を抜粋して紹介します。

今回のテーマは『216社で成功した「ムダ話ばかりの会議」を早く終わらせる2つのポイント』。
○議題と関係ない話ばかりで、予定時間に終わらない会議

会議が始まったのはいいけど、雑談ばかりでなか本題に入らない。そんな会議ありますよね。何の役にも立たない世間話のような会議に思わずイライラすることなかには、134ページのでぶどり君のように、「雑談がなければ会議じゃない」と思っている人も少なくありません。

アジェンダがない(周知されていない)ケースもあるので、

「今日の会議って何やるの?」

「さあ、ぜんぜん知らない」

参加者がそんな状態で、会議室に入ってから、はじめて議事内容を知るのでは、よい意見が出ないのも当然ですよね。

さらに、「これが決まったら終わり」という明確なゴールも見えていないので、論がテーマから外れて、ムダな話に時間を取られやすい。ちょっと大げさに言えば「ムダ話が9割」じゃないかと思えてしまいます。

そのため、1時間の予定で午前11時に始まった会議が、ダラダラと延び延びて午後2時までかかり、お昼は会社近くの定食屋さんでランチを食べるつもりだったのにがっかり...............と、そんな経験をされた方もいるのではないでしょうか。


ランチを食べそびれるだけならまだしも、午後にやろうと思っていた仕事になかなか取りかかれなければ、残業の温床にもなります。

どうして議事と関係ないムダ話をなくすことができないのか?
いったい、どうすれば会議時間は短くなるのでしょう。
○解決策

解決策は大きく2つです。

1つ目はシンプルに会議時間を短くしてしまうということ。たとえば、「会議時間45分に決めてしまう」という方法です。

キリがよいからでしょうか、なぜか日本の企業の社内会議の9%は1時間に設定されています。時間を決めてしまうと、人間はそれを使い切る心理が働きますから、すっかり議事が終わって、もう話すこともないのに、「会議時間はあと5分あるから」と、残り時間を悶々と会議室でつぶすというマンガのような話もあります。

これをはじめから45分に変更してみるのです。

それに、15分も短くなったという思いから、精神的な余裕がなくなり、必然的に雑談の時間も短くなります。

「けど、今まで1時間と決められていた会議を15分短くしようなんて、言いづらいよなあ」

そうお考えのあなたに、いい情報を教えましょう。

私のクライアント企業216社で、今まで1時間でやっていた会議を45分に短縮したところ、98%が「やってみたら、意外にできた」と回答してくださったのです。もちろん、議題は減らしていません。
アウトプットの質と量に、変化はなかったのです。

当初、私とお付き合いのある企業の担当者にこの提案をすると、多くの方が「いや、45分では終わりませんよ」とおっしゃいます。しかし、実際にやってみると「意外とできた」との回答をいただきます。

あなたが会議の主宰者でないのなら、「1回だけ、45分会議をやってみませんか?」と提案してみてはいかがでしょう。その際、「チャレンジした会社の9割は成功しているそうですよ」と、データと一緒に提案すれば、説得力は倍増します。

「えっ、それ本当?」って、乗ってきてくれるかもしれません。

ほとんど全員が不満を持っている会議時間の長さ。それを短くするという提案は案否定されないものです。提案する価値はあると思いませんか?

そして、もう1つ。会議時間を減らすための強力な解決策。

それは、会議の仕切り役、「ファシリテーター」を置くこと。

主に中小企業などでは、決定権を持つエライ人が会議の進行役をすることが多いようです。
しかし、これをやると、自分の思うように議事を進めてしまい、わざわざ会議を開く意味がなくなってしまいます。

ですから、たとえば会議の主宰者が部長なら、ファシリテーターは係長とか、若手社員がやるほうがうまくいくのです。

ファシリテーターの役割は次の3つ。

●発言しやすい雰囲気をつくる。

●参加者から意見・アイデアを引き出す。

●時間どおりに結論を出す。

このファシリテーターの技術は、アメリカでは大学の講座にもあって、大学院で博士号を取得する人もいます。

日本ではまだ、討議イベントのファシリテーター役を、テレビ局の元アナウンサーなどがやることが多いようですが、私は、何年か後には、ファシリテーターがプロ化し、「あこがれの職業」になっているのではないかと思っています。

会議にファシリテーターを置くと、議事進行がスムーズになるだけでなく、ムダな会議もあぶり出されて自然消滅します。結果、会議の質と量の両方が改善され、「ファシリテーターを置いたら会議時間が16%減った」という結果が出ています。

ここまでわかったところで、いかがですか? あなたがファシリテーター役を買っ出て、45分会議をトライアルするのはどうでしょう?

それが無理なら、「ファシリテーターを置くことで会議がスムーズに運ぶので、ぜひ、適任者を指名してほしい」と上司に提案してみるのもよいでしょう。

それでもし、上司から「それなら君がファシリテーターをやってみないか」と言われたら、期待されていると考えて、思い切ってやってみてください。
その経験は、必ず、今後のあなたの役に立つはずです。

ファシリテーターを買って出て、45分会議にトライ

○『AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣』(越川 慎司/アスコム)

あなたの仕事には、多くのムダが潜んでいます。あなたの足を引っ張る、結果とは関係ないムダ仕事の数々。こうした仕事は、日々のルーティンに組み込まれていたり本人は「良かれ」と思ってやっているため、一見するとムダだと気づきにくいものです。私はこれらを「名もなきムダ仕事」と呼んでいます。こうした仕事は、実はちょっとした工夫でなくせます。それを習慣化し、積み重ねることが後々、大きな差につながるのです。AIで分析したところ、ムダな会議をなくす工夫で、1年で174時間削減。社内資料がすぐ見つかる工夫で、1年で118時間を削減できます。自分で使える時間が増えれば、スキルアップにあてることもできますし思い切ってリフレッシュして、気力体力を充実されることもできます。ぜひ、本書で、「仕事ができる人」の第一歩を踏み出してください。
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