「昨今は、“肌の若返り”という概念は女性だけのものではなくなりました」と話すのは、肌の美容にくわしい、ナチュラルスキンクリニック院長の皮膚科医・圓山尚先生。40~60代の男性からの「もう少し若々しい肌でいたい」「しわや目の下のくまが気になって…」などの相談で来院される方が増えてきているようで、「清潔感にプラスαして、“美容”というレベルで診断される方は多くいらっしゃいます」とのこと。


とはいえ、今からでも間に合うのでしょうか。そして、効果があるのだとすれば、具体的に何をすればいいのでしょうか。美容パック…それとも洗顔…? その辺りの“しっかりとした情報”を、医学的見地からお話してもらいました。

今回は美容や肌の悩みを抱える、35歳~60歳までの男性マイナビニュース会員400名にアンケート調査を実施。美容のための取り組みやスキンケアに関する悩みと疑問点を募集しました。
年齢を重ねていてもパックって、効果はある?

年齢を重ねた男性でもパックをしたら効果があるのでしょうか? (56歳・会社員)

──スキンケアといえばまず思い浮かぶのが美容パック。これは今からでも効果は出るものなのでしょうか?

効果に個人差はありますが、おすすめです。美容パックは基本的には肌のバリア機能を高めるので、そういった意味でアンチエイジングとしても、年齢に応じた肌のコンディションを保ちやすくなるという意味でも、有用だと思います。

例えば「乾燥じわ」という言葉をよく耳にすると思いますが、パックをすることで保湿されるので、その分、ちょっと張りが出たりみずみずしくなったりして、「乾燥じわ」がある程度目立ちにくくなります。

いわゆる普通のしわについては、「折り紙」を想像してみてください。紙を何度も折り目をつけていくと、だんだんと折り目は強く刻まれてしまいます。そうすると、いくら引き伸ばしてみてもなかなか折り目は消えないじゃないですか。


ですが美容パックは、“強い折り目がつきにくい状態”にしてくれるんです。最初から「しわをつきにくくしておく」という考え方で、長期的に見れば、周囲から肌の印象が明るくなったと感じられることはあるかもしれません。

──なるほど。継続して続けていくことが大切なんですね。即効性はないのですか?

「乾燥じわ」もそうですが、肌の明るさや張り、キメの整った肌、肌の明るさといった面で、効果を実感できる方は多いでしょう。とはいえ、美容パックのメインの力というのは、いわば、肌に水を与えてあげること。ですから効果は長く続きません。花を育てるのと同じで、日々の継続が重要になるわけです。

浅いしわであった場合、割とハリ感を取り戻しやすくなりますし、何もせずに年令を重ねていくと、しわも月日と同じくして深く刻まれていくものです。もちろん、パックやスキンケアも万能ではなく、どこかで頭打ちにはなってしまいますが、それでも、やった方と、やらなかった方とでは、やはり見た目に違いが出やすいとことは大いにあり得るでしょう。

──とはいえ、美容パックにもたくさんの種類があります。どういったものを選べば……?

やはり美容パックと言ってもピンキリで、いい成分が入っているものは高価になる傾向になります。
例えばしわに悩んでいたら、「レチノール」という有効成分が入ったものを選ぶと良いと思います。肌のしみを気にされている方でしたら、美白作用のあるビタミンCや「アルブチン」という成分が入ったものが良いでしょう。

ほかにニキビなどが気になる方は、炎症作用や抗菌作用、殺菌作用があるものがおすすめです。また、美容皮膚科でも、保険適用外になるでしょうが、ドクターズコスメといって、医療機関にしか卸せないスキンケアを取り扱っているメーカーもあります。もし、ピンポイントで「自分の肌悩みに合わせたい」ということであれば、専門医に相談するのも一つの選択肢かもしれません。
効果的なスキンケアは?

スキンケアにあまり時間をかけず、毎日つい簡単に済ませてしまっています。洗顔料を使って化粧水を塗る、たまに乳液も塗っていますがこれで十分でしょうか? 例えば化粧水と乳液だけで済ませたときと、美容液やクリームなどを使ったときで、将来どれくらいの差がつくのでしょうか? (55歳・会社員)

──普段からできるスキンケアについて、効果的なことについて、教えていただきたいのですが

そうですね。今は冬で肌も乾燥しやすい時期に入ります。そんな季節におすすめなのは、化粧水で水分をあげた後に乳液。そこで重ためのクリームを塗って蓋をしてあげるという二重構えが必須になってくると思います。

肌の理想的な状態については、まず肌の中に水分があり、その水分が蒸発しないよう、表面を皮脂などのオイルで蓋をしてしまうこと。ですが皮脂というものは、入浴や洗顔で簡単に流れてしまうのです。
ゆえに、化粧水、乳液、クリームという構えが最低限、必要になるわけです。

さらに言えば、クリームの前に、特別なビタミンAやCなどの成分が入った美容液などを足すと、肌調子の手応えを感じやすくなるでしょう。

──化粧水、乳液、クリームと、肌のために手間が必要ですが、「多忙な方には最低限これだけでも」というスキンケアはありますか?

それこそ話は戻りますが美容パックは便利です。使い慣れてない方は「パックを貼っておくのが面倒くさい」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ逆です。

例えば化粧水だと、肌につけて手のひらで5秒から10秒ほど押さえておきましょうなど、いろいろな美容法があるのですが、パックは貼りっぱなしで、しかもある程度の美容成分が入っているものも多いので、楽なのです。また5分から10分、貼りっぱなしですが、その間にもさまざまな作業ができるので、忙しい方にも取り入れやすいケア。

それと、こうしたスキンケアを例えば30代からやっている方がいらっしゃったとして、40代になったときに、見た目が全然、若く見えるということは多々あります。それはもちろん、40代、50代、60代でも同様でして、始めればそこから効果が期待できる。将来の肌の印象に差がつく、その可能性は早ければ早いほど高まります。使い続けることで将来的にまるで見た目が違う可能性のあるスキンケアや美容パック。いつまでも見た目が若くいたいと感じてらっしゃる方は、ぜひ今からでも始めてみてください。

──思い立ったが吉日ということですね!

まさに、その通りです。
今日という日が、あなたにとっては最も「早い」日となります。今は若い男性もメイクするなど、美容にとても気を遣っている方が多い時代です。恥ずかしがらず、スキンケア、美容パックなどを試し、気になる点があれば、医療機関にかかる──それが、将来のあなたの「見た目」の印象を変える可能性がある。ぜひ、そう知っておいてくださいね。

衣輪晋一 きぬわ しんいち メディア研究家。インドネシアでボランティア後に帰国。雑誌「TVガイド」「メンズナックル」など、「マイナビニュース」「ORICON NEWS」「週刊女性PRIME」など、カンテレ公式HP、メルマガ「JEN」、書籍「見てしまった人の怖い話」「さすがといわせる東京選抜グルメ2014」「アジアのいかしたTシャツ」(ネタ提供)、制作会社でのドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中。 この著者の記事一覧はこちら
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