日本ではなかなか普及が進まない折りたたみスマートフォン。値段の高さに加え、提供するメーカーが限られていて製品自体が少ない、など今なお課題が少なからずありますが、最近投入された新製品からは、そうした課題を乗り越えようとする取り組みも見て取れます。
値段の高さと製品数の少なさが最大の課題
ディスプレイを折り曲げて大画面をコンパクトに利用できる折りたたみスマートフォンは、日本でも継続的に新製品が投入され、徐々に関心も高まりつつあります。とりわけ2025年は、折りたたみスマートフォンの先駆けでもある韓国サムスン電子が、閉じた状態で約8.9mmという、今までにない薄さを実現した横折りタイプのスマートフォン「Galaxy Z Fold7」を投入したことが大きな話題となりました。
ですが、注目される製品が登場してもなお、折りたたみスマートフォンを実際に購入して利用している人は多いとは言えず、メジャーになり切れていないのも正直なところ。その理由の1つは、やはり値段が高いことでしょう。
折りたたみスマートフォンは、ディスプレイを折り曲げるためのヒンジを搭載するなど、一般的なストレートタイプのスマートフォンと比べ構造が複雑なことから、その分どうしても値段が高くなりがちです。それに加えて、円安による価格高騰が進んでいるため、現在では一層高額になってしまっています。
実際、横折りタイプのモデルは25万円以上というのが相場であり、先に触れたGalaxy Z Fold7も、SIMフリー版の発売当初の価格は265,750円から。比較的安価な縦折りタイプの折りたたみスマートフォンであっても10万円を軽く超えるものがほとんどで、決して買いやすいとは言えません。
そしてもう1つの課題は、構造が複雑で高額であるが故に、提供するメーカー、そして製品自体が少ないこと。日本で折りたたみスマートフォンを継続的に提供しているのはサムスン電子のほか、米グーグルと米モトローラ・モビリティ、そして中国のZTE(とその傘下のヌビアテクノロジー)くらいです。
またこれまで、国内で縦折りタイプと横折りタイプの両方を投入しているのはサムスン電子だけでした。グーグルは横折りタイプ、モトローラ・モビリティとZTEは縦折りタイプのみを提供しており、市場に並ぶ製品数が少なく選択肢が少ないことも、普及に向けた大きな課題となっています。
20万円を切る横折りタイプのスマホが登場
それでも、折りたたみスマートフォンを提供するメーカーが製品や販売に力を入れることで、年々その販売が増えていることも確か。サムスン電子の日本法人であるサムスン電子ジャパンによると、Galaxy Z Fold7は前機種「Galaxy Z Fold6」の1.8倍の販売を記録したそうですし、モトローラ・モビリティも「motorola razr 60 ultra」で約13年ぶりにKDDIへの供給を実現、携帯大手3社の販路を復活させ販売拡大へと踏み切っています。
そしてもう1つ、最近大きな動きを見せているのがZTEです。ソフトバンクが2025年12月2日に、サブブランド「ワイモバイル」からZTE製の折りたたみスマートフォン新機種を発売すると発表しました。その1つは「nubia Flip 3」で、こちらは従来同社が投入している縦折りタイプのスマートフォンの新機種なのですが、注目されるのがもう1つの新機種「nubia Fold」です。
こちらは開いた状態で約8インチ、閉じた状態で約6.5インチのディスプレイが利用できる横折りタイプの折りたたみスマートフォン。ZTEといえば、2018年にNTTドコモから発売された、2つのディスプレイを搭載し折りたたみスマートフォン風の使い方ができる「M Z-01K」を思い出す人もいるかもしれませんが、nubia Foldは1枚のディスプレイを折り曲げる、正式な折りたたみスマートフォンとなります。
注目されるのはその価格で、チップセットに米クアルコム製のハイエンド向けとなる「Snapdragon 8 Elite」を搭載するなど高い性能を備えながらも、ワイモバイルでの現金販売価格は178,560円と20万円を切っており、新規または他社からの乗り換えで「シンプル3 M/L」を契約した場合はさらに21,600円の割引を受けることができます。先にも触れたように、横折りタイプのスマートフォンは25万円以上するだけに、依然高額とはいえ相場より10万円近く安いのには大きな驚きがあります。
ZTEは2024年にも、ワイモバイルブランドから縦折りタイプの「Libero Flip」を発売、6万円台という低価格を実現したことで大きな話題となりました。それだけに、ZTEはソフトバンクと協力して縦折りタイプだけでなく横折りタイプでも低価格を実現し、折りたたみスマートフォンの普及を阻む価格面での課題を解決しようとしている様子がうかがえます。
加えて2025年は海外でも、サムスン電子がこれまでよりも安価な縦折りタイプの折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip7 FE」を発売するなど、折りたたみスマートフォンの低価格化に向けた動きが徐々に出てきている様子を見て取ることができました。
佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。 この著者の記事一覧はこちら











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