藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑むALSOK杯第75期王将戦七番勝負(日本将棋連盟主催)は、挑戦者先勝で迎えた第2局が1月24日(土)・25日(日)に京都府京都市の「伏見稲荷大社」で行われました。対局の結果、角換わり早繰り銀対腰掛け銀のねじり合いから抜け出した藤井王将が111手で勝利。
○正々堂々の力勝負
開幕局に勝って波に乗る永瀬九段は後手番で角換わり早繰り銀の積極策を披露。対する先手の藤井王将は腰掛け銀から右銀を引き付ける受けを選んで様子を見ました。駆け引きのすえ早い戦いは回避されて盤上はジリジリとした第二次駒組みへ。前例が少ないだけに考えがいのある局面で、1日目の午後から両対局者はこまめに時間を使って構想を練ります。
永瀬九段の端攻めからようやく局面が動き出します。とはいえこれは「もたれ攻め」の一種で、先手陣に嫌味をつけて自由にさせない意味合い。本格的な仕掛けに打って出たのは藤井王将の方で、飛車取りをかけられた2日目夕方の局面がひとつのポイントになりました。自陣の桂取りを手抜いてジッと飛車を引き上げたのが控室の検討陣をうならせた冷静な一手です。
○ワナを見切ってしっかり着地
手を渡された格好の永瀬九段ですが、のんびりしていると銀頭へのタタキや銀ばさみの手筋が待っており、ピッタリとした手が残っていません。反対に藤井王将は読み筋とばかりにここからギアチェンジ。飛車を見捨てて銀を取ったのが「終盤は駒の損得より速度」を地で行く見切りで、攻め駒には困らないという大局観です。
竜での王手に対して角で合駒したのが遠く藤井玉をにらんだ伏兵。自然な攻めで応じると飛車切りからのトン死筋で一気に逆転です。観戦者が固唾をのんで見守るなか藤井王将が選んだのは自陣に金を打ちつける鉄壁の受け。終局時刻は18時43分、そのままこの金打ちが決め手となって永瀬九段が駒を投じました。全体を振り返ると、攻めを急ぎたくなる局面でジッと手を渡す飛車引きと最後のワナを見抜いた受けに藤井王将の強さが表れました。
敗れた永瀬九段は「最後の直線で急にダメにしてしまった」と悔しさをにじませました。両者1勝1敗で迎える第3局は2月3日(火)・4日(水)に東京都立川市の「オーベルジュ ときと」で行われます。
水留啓(将棋情報局)
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