イタリア半島の中部に位置するアブルッツォ州。美しい景観が広がるこの地で造られるのが、テヌータ・ウリッセのワインです。
同ワイナリーのシンボルともいえるのが、ラベルにも描かれている「馬」。これはもう、午年である2026年に飲むしかありません!

……それはさておき、今回テヌータ・ウリッセから輸出マネージャーのマルコ・ディ・パオロ氏が来日し、取材に対応してくれました。なんと、マイナビニュースPremiumの独占インタビューです!

なぜ「馬」なのか? アブルッツォ州のワインってどんな味わい? 気になるあれこれを全部聞いてみました。
○テヌータ・ウリッセの「馬」ラベルに込められた意味は?

――マルコさんは昨年6月にも来日されています。その後まもなく再び日本を訪れたわけですが、日本市場をどのようにご覧になっているのでしょうか。

テヌータ・ウリッセの輸出先として、日本はアジアで最後に加わった国ですが、アジア向け輸出のうち15%を占めています。私たちは日本市場に大きな可能性を感じており、非常に重要だと考えています。

――テヌータ・ウリッセのワインのラベルには馬が描かれています。どういった意味が込められているのでしょうか。

馬のシンボルには、2つの意味が込められています。1つは、ワイナリーの創設者であるドン・アントニオが1900年代初頭に50頭以上の馬を飼う牧場を経営していたこと。もう1つは、ワイナリー設立から現在、そして未来に至る「旅路」の象徴です。


――ロマンを感じるエピソードですね。実は日本では2026年が「午年」にあたります。

テヌータ・ウリッセは、三代にわたる家族経営のワイナリーですが、本格的に自社でのボトリングを始めたのは2006年からなんです。つまり、2026年はテヌータ・ウリッセにとってボトリング開始から20周年という記念すべき年にあたります。その年に、日本の午年と興味深い偶然の一致が生まれたことは、非常に意味深いことだと思います。

○アブルッツォ州の土着品種にこだわりを持つワイナリー

――テヌータ・ウリッセについて詳しく教えていただけますか。

テヌータ・ウリッセは現在、ウリッセ家の兄弟であるアントニオとルイジが経営を担っています。特徴は、アブルッツォ州の土着品種をモダンなアプローチでワインにすること。さらに、ぶどうを食べたときのような豊かなアロマの爆発をそのままワインとして表現することにもこだわっています。

――近年はワイン業界でも土着品種に注目が集まっています。

そうですね。長年にわたり、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランといった国際品種が人気でしたが、この10年間で土着品種の注目度が急速に高まっています。
アブルッツォ州でいえば、特にペコリーノは軽やかなボディや美しい酸味、優れたミネラル感などにより、世界的に人気を増してきています。和食との相性もとても良い品種ですよ。

――日本のワイン愛好家に、アブルッツォ州の土着品種をどのようにおすすめされますか。

シャルドネはフランス、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど、世界中どこでも栽培されています。もちろんイタリアでも。それに対して、ペコリーノは主に中部イタリア(アブルッツォなど)で栽培される品種です。土着品種の魅力は、その地域の特徴を反映していること。そこが最大のポイントだと思います。

味わいの面でいえば、やはり実際にグラスで味わっていただくのが土着品種の魅力を感じ取るための最良の方法でしょう。もちろん、ココッチョラが持つ2000年以上の歴史を語ることも大切ですが、味わう体験に勝るものはないと考えています。
し続けることで自分自身も、そして会社もどんどん成長してほしいと思っています。

――テヌータ・ウリッセのワインは、いずれもアブルッツォ州の景色をイメージしながら飲みたいものばかりです。
アブルッツォ州の魅力についてもご紹介をお願いします。

アブルッツォ州はトスカーナやローマ、フィレンツェのような知名度はありませんが、とても魅力的な場所です。最大の特徴は緑が豊かで美しい自然があること。州全体の18%が国立公園に指定されていて、たくさんの野生動物が生息しています。

また、西にはアペニン山脈、東にはアドリア海があり、山にも海にも近いという稀有な土地柄です。山ではトレッキングやサイクリングが楽しめ、海ではリラックスした時間を過ごせます。食材も豊富で、羊肉や豚肉、熟成チーズ、新鮮な魚介類までさまざまな料理が楽しめます。

○テヌータ・ウリッセはどんな料理に合うのか

――テヌータ・ウリッセのワインを日本の食事と合わせるなら、おすすめはありますか?

テヌータ・ウリッセはスパークリングワインから白ワイン、赤ワイン、ロゼワインまで多彩なワインをラインナップしています。中でもロゼワインは白身の肉や焼き魚に合うでしょう。ペコリーノの白ワインも白身肉、あとは魚介のパスタ、グリルした魚介と好相性です。ココッチョラは最もミネラル感が強いため、牡蠣など生の魚介類といっしょに飲んでいただきたいですね。

モンテプルチャーノの赤ワインは、タイプによっておすすめのペアリングが異なります。
お手軽価格の軽めでフルーティーなモンテプルチャーノはバーベキューの肉料理に。「ディエチ・ヴェンデミエ」や「ドン・アントニオ」のようなフルボディの赤ワインは、和牛のようなしっかりした味わいの肉料理に合います。

赤ワインと日本料理の相性を心配されるかもしれませんが、テヌータ・ウリッセの赤ワインはタンニンがやわらかく、日本料理ともよくマッチします。

――最後に今後の日本市場における展望を教えてください。

現在、ワインビジネスは決して楽観できる状況にありません。ヨーロッパでは若い世代のワイン消費量が減少しており、ジンやウイスキーを好むようになっています。その原因は、ワインが専門用語などのせいで複雑になりすぎているからではないでしょうか。

私たちは、よりシンプルで親しみやすいワインを提供することが重要だと思っています。為替や関税の問題もあり簡単ではありませんが、「量より質」のアプローチで日本市場のニーズに応えていきたいと思います。

○バラエティに富んだウリッセのワインを3種類テイスティング

実際にテヌータ・ウリッセのワインを3種類試飲しました。

「ウリッセ・ビアンコ」は、ペコリーノ、ココッチョラ、パッセリーナという3種類の品種をブレンドした白ワイン。非常にさわやかですっきりとしており、フルーティーで心地よいワインです。
土着品種と聞いて身構えるかもしれませんが、万人受けしそうな味わいでした。価格もお手頃なので、テヌータ・ウリッセの最初の1本にもぜひおすすめです。

「ウリッセ・ロゼ」は、モンテプルチャーノに加えて国際品種であるメルローをブレンドし、ロゼに仕上げた1本。花の香りがグラスから立ち上り、とても華やか。味わいは香りよりもすっきりした印象で、果実味や酸味のバランスがよく、どんな料理でも寄り添ってくれそうです。エスニック料理に合わせてみたいと思いました。

「ディエチ・ヴェンデミエ」は複数の年のワインをブレンドして造られた意欲作。モンテプルチャーノ100%と聞くと、フルーティーで親しみやすい味わいを想像しますが、このワインに関しては別物。どっしりとした凝縮感のある味わいで、開けたてからブラックベリーやブラックプラムといった黒い果実の香りが何層にも重なって香ります。そこにカカオやチョコレート、上質なバニラのような樽香、シナモン、ナツメグといったスパイスの香りが混ざり合い、非常に複雑。価格もそれなりにしますが、むしろコスパが良いと思えるクオリティです。しっかりした肉料理に合わせてもいいし、このワイン単体で楽しんでもいいと感じました。


山田井ユウキ/ワインエキスパート ワインも含め興味のおもむくまま多ジャンルで執筆するフリーライター。ワインの物語を伝える“ワインストーリーテラー”として活動中。著書に『ワインの半分は物語でできている。』など。[有資格]ワインエキスパート/WSET Level3/ドイツワインケナー/第8回J.S.A.ブラインドテイスティングコンテスト・ファイナリスト この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ