藤井聡太棋王に増田康宏八段が挑戦する第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負(主催:共同通信社、日本将棋連盟)は、第1局が2月8日(日)に愛媛県松山市の「道後温泉ふなや」で行われました。対局の結果、相掛かり空中戦から用意の作戦を披露した増田八段が118手で勝利。
○去年と同じでは終われない
昨年と同じ顔合わせとなった棋王戦五番勝負。前夜祭に臨んだ増田八段は「前期は3連敗で、その経験から成長できた」と思いを語ります。振り駒が行われた開幕局は増田八段が後手となって相掛かりを採用し10手目に新手を披露。早繰り銀の要領で銀の進出を急いだのがポイントで、7筋の歩をかすめ取られるのを防ぎつつ積極的な攻めの姿勢を打ち出しました。
盤上は平成初期に盛んに指されたクラシカルな▲3七銀戦法を先後反転させたような形に。先手の作戦を後手番で使えているのが増田八段の強みで、対する藤井棋王は局後「先手番としては消極的になって自信が持てなかった」と振り返りました。勢いに乗る増田八段は角銀両取りの桂で攻撃続行。競り合いが一段落した局面は双方の飛車の働きに大きな差がついており、後手優勢は明らかです。
○実った2つの工夫
増田八段の工夫は序盤戦術にとどまりません。有利で迎えた終盤戦、序中盤から意識していたという持ち時間でのリードを生かして藤井棋王に流れを渡しません。「最後に時間が十分あったので逃げきれた」という局後の感想は藤井流終盤術の怖さを物語っています。
終局時刻は19時5分、最後は藤井棋王が形を作って投了。中盤の競り合いで抜け出してから危なげない指し回しで差を広げた増田八段の快勝譜で、周到な序盤戦術と終盤の持ち時間という2つの工夫が実った貴重な後手番勝利となりました。タイトル戦初勝利を挙げた増田八段は次戦に向け「(先手番らしく)積極的な将棋を指したい」と意気込みを語りました。
注目の第2局は2月21日(土)に石川県金沢市の「北國新聞会館」で行われます。
水留啓(将棋情報局)
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