2026年2月3日に発売された『将棋世界2026年3月号』(発行=日本将棋連盟、販売=マイナビ出版)では、今年で建立40年の節目を迎える将棋堂を有する鳩森八幡神社の禰宜・平野さまへのインタビュー「鳩森八幡神社と将棋界の歩み」を収録しています。本稿では当記事より、一部を抜粋してお送りします。


○将棋堂40年の軌跡

●今年も将棋祈願祭が無事に終了しました。その始まりについて詳しくお聞かせください。

初めて将棋堂祈願祭が執り行われたのは、将棋堂が竣工した昭和61年の1月5日でした。それ以来、基本的に毎年1月5日に行っています。

●祈願祭の舞台といえば、大きな駒が奉納されている将棋堂ですね。

はい、将棋堂の中には高さ1メートル20センチの、王将の駒が奉納されています。これは当時の日本将棋連盟会長であった大山康晴十五世名人に寄進いただいたものです。雨ざらしの状態では、駒の状態がすぐに傷んでしまいますから、神社がお堂を建立し、貴重な駒をお守りすることになりました。これが将棋堂誕生のきっかけです。お堂の奥の方には御神体が祀られています。

●御神体ということは神様がいらっしゃるのですか?

はい。日本に『将棋の神様』とされる神様はいらっしゃいませんが、当社の御祭神である応神天皇(八幡様)と神功皇后は、古くから勝負事の神様として知られています。
将棋は必ず勝敗がつく勝負の世界ですから、八幡様をお祀りし、駒の後ろに御神体を奉安しているのです。
○棋士の勝負を見守る存在

●棋士や女流棋士の方はよく参拝されますか?

はい。羽生先生は、いまでも対局があるたびにお参りにいらっしゃいます。大体いつも、対局が始まる少し前の時間ですね。私たちがお掃除をしているときによくお見かけするのでご挨拶をしています。いまでもそうですが、特に昔は将棋会館へ向かう通り道に神社がありましたから、対局前にお参りして行かれる先生は多いですね。

●他にはどのようなエピソードがありますか?

ありがたいことに、羽生先生をはじめ、多くの棋士の方が当社で結婚式を挙げられています。また、数年前に厄除けで当社にいらっしゃった方もいました。

●棋士の先生方含め、将棋に関わる人にとってはかなり身近な存在ですね。

そうだと思います。おそらく将棋堂は世界でもうちだけだと思いますし、将棋に特化したお守りやおみくじも全国的に珍しいのではないかと思います。
○藤井フィーバーで起こった変化

●神社に参拝される方の顔ぶれは、この40年でどう変化してきましたか?

以前はご年配の方が中心でしたが、ここ10年ほどで劇的に変わりました。
きっかけはやはり、藤井聡太先生が14歳でデビューされた当時のブームでしょう。ABEMAなどの配信サービスやSNSの普及もあり、若い世代にも将棋が広く認知されたと感じます。

●絵馬に書かれる願い事も変わってきていますか?

観る将が増えた影響か、自身の将棋の上達と推し棋士の応援が半々くらいになっています。『何段になれますように』といったお願いだけでなく、『推し棋士が健康で指せますように』『タイトルを獲得できますように』と書かれる、いわゆる推し活のようなお願いが目立っているのは、昔にはなかった光景ですね。

○『将棋世界2026年3月号』、絶賛発売中!!

ほかにも、
・第75期王将戦七番勝負第1局藤井聡太王将対永瀬拓矢九段の観戦記「これぞ最高峰の攻防」
・尾上与一による将棋小説「春、ラバータイルで君を待つ(前編)」
・斎藤慎太郎八段、岩村凛太朗四段が選考委員を務める「詰将棋サロン年間優秀作品選考会」
といった記事もあり、指す将・観る将はもちろん、全ての将棋ファンの方々に楽しんでいただける一冊になっています!

『将棋世界2026年3月号』
発売日:2026年2月3日
特別定価:920円(本体836円+税)
発行:日本将棋連盟
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