伊藤匠叡王に斎藤慎太郎八段が挑む第11期叡王戦五番勝負(主催:株式会社不二家)は4月3日(金)にシンガポールの「シンガポール日本人会」で開幕。対局の結果、相掛かりのねじり合いから抜け出した伊藤叡王が125手で勝利して叡王3連覇に向け好スタートを切りました。

○新鮮な海外対局

昨年と同一カードとなった五番勝負は日本との外交関係樹立60周年を迎えたシンガポールで開幕。2日前に現地入りした両対局者は現地の衣装に身を包み、リラックスモードで現地を散策します。さて本局、振り駒で先手となった伊藤叡王は相掛かりへと誘導したのち7筋の横歩を取って局面を打開。ともに想定の範囲内か、比較的早いペースで指し手が進みます。

左辺で飛車交換が行われて盤上は一段落。両者手探りの駒組みが続くなか、伊藤叡王の放った中段への飛車打ちが波紋を呼びました。2筋にと金を作れるのがその主張ですが、後手からは先手陣に直接飛車を打ち込む手が残るだけに大きな決断です。形勢不明の競り合いはその後も続き、今度は後手の斎藤八段が攻防の自陣飛車を打って局面が泥沼化してきました。

○明暗分かれた自陣飛車合戦

先手が二枚角を、後手が二枚飛車を手にする長い中盤戦から抜け出したのは伊藤叡王でした。ともに一分将棋の秒読みに追われるなか、ジッと自玉を囲いに収めたのが落ち着いた指し回し。直後の攻防で後手からの桂跳ねが王手にならないよう準備した意味合いで、手にした一手の余裕で王手金取りの桂打ちを放って形勢をリード。以降は独擅場となりました。


終局時刻は現地時間19時36分、最後は先手玉に詰みなしと認めた斎藤八段が投了。伊藤叡王としては本格的な戦いの前に玉形を整えたことで強い攻め合いに出られた格好で、終盤の入り口の構想力で競り勝った快勝譜に。3度目の叡王戦五番勝負参戦で初めて開幕勝利を飾った伊藤叡王は「次もしっかり準備して臨みたい」と第2局への抱負を語りました。

斎藤八段の先手番で迎える第2局は4月18日(土)に石川県加賀市の「アパリゾート佳水郷」で行われます。

水留啓(将棋情報局)
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