お遍路、スペイン巡礼、ハッジ(イスラム教徒の巡礼)など「祈り」に関する道は国内外、数えきれません。

我が家の宗旨は仏教(浄土真宗)。

子どもの頃から、毎日、正信偈を唱える習慣があり、

現在は、私一人だけになってしまいましたが今も続いています。

その影響か「祈り」が身近にあり、

旅の文章を綴るようになってから、

「祈り」に関する道の徒歩旅は、いつか、やってみたい企画の一つでした。

「一つの祈りの道は一回の旅で」と、どこかで頑なに思っていたのでしょう。

その方が肉体や精神具合など様々な変化を総合的に味わうことができるから。

しかし、祈りの道は長いのです。

一回の旅のスケジュールが取れる日を待っていたら、いつまで経ってもできません。

スケジュールが取れたら取れたで別の旅を入れてしまうのにね。

私の「いつか」は、あてにならないのです。

先月のある日、毎月届く知恩院(浄土宗)の月刊誌を手にして執筆した掲載ページを確認していました。

連載は春から3年目に入り、パラパラめくっているうちに、ふと、思ったのです。

短い旅を繋ぎながらの「祈りの道」企画を始めてみようかなぁと。

スケジュールを見ると3日ほど休みが取れる日があるではありませんか。

さて、どこに行くか。

日本地図やネット情報を眺めながら、まずは伊勢路熊野古道から始めることにしました。

伊勢神宮から熊野本宮大社まで170キロほど。

以前、安八町から東京まで、約400キロの徒歩旅を10日ほどかけて歩いたことがありました。

そこから計算すると1日40キロで、3日だと120キロ地点まで行くことができそうです。

こうして登山用リュックに着替えを詰め、

「祈りの道」の徒歩旅をスタートすることにしました。

しかし、現実の厳しさが待っていたのです……と続きは次回に。<text:イシコ>

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