【リゾナーレ那須】での夕食は、ビュッフェレストラン「SHAKI SHAKI(シャキシャキ)」と、イタリア・トスカーナ地方の郷土料理を旬の食材とともに楽しむメインダイニング「OTTO SETTE NASU(オット セッテ ナス)」から選べます。今回は「OTTO SETTE NASU」の、旬の野菜を使った全8品からなるコースディナーとワインのペアリングを紹介します。
|トスカーナ地方の郷土料理を中心に
「OTTO SETTE NASU」での食事は宿泊者限定で、秋の味覚を満喫するディナーコースは2025年9月16日(火)から11月30日(日)まで。農業や酪農が盛んな那須の食材はもちろん、リゾート内でとれた野菜やハーブなども使った旬の味覚を味わえます。
▲メインダイニング「OTTO SETTE NASU」
ワインはペアリングでオーダー。乾杯酒はイタリア最高峰のスパークリングワインと称されるロンバルディア地方の「フランチャコルタ ブリュット」。キメの細かな泡が口いっぱいに広がる心地よさと、シャルドネ90%とピノ・ネロ10%のグレープフルーツを思わせるフルーティな味わい。楽しいディナーの始まりを告げる一杯です。

▲乾杯酒は稀少なスパークリングワイン「フランチャコルタ ブリュット」
カリカリサクサクに焼いた食べ物の総称「クロッカンテ」は、ちょっと不思議で面白いおつまみ。つい「これは何ですか?」と尋ねてしまうので、スタッフと会話がはずむきっかけにもなりました。色と味付けはバジルやトマト、イカスミなどイタリアと由縁のある食材が使われ、それぞれの風味がほんのりと伝わります。

▲軽いおつまみ「クロッカンテ」
|コースの始まりはバラエティに富んだ味の饗宴
コースの序盤は9品の料理が木の棚を飾る「彩り豊かな小さな前菜」と、25種類のひと口野菜などがお皿を彩る「農園のピンツィモーニオ」が続き、まさにバラエティに富んだ多種多様な味を満喫。これほど多彩な味をそろえる料理は初めての体験です。
「彩り豊かな小さな前菜」は、上段にトスカーナ地方のパンとレバーソテーなどが並び、下の段の中央にあるガラスの器はパンをトマトで煮込んだ「パッパ・コル・ポモドーロ」。その左はアニスのリキュール・ぺルノー酒の泡をのせた「ハマチのインサラータ(サラダ)」。大きな白いスプーンにはリコッタチーズとカラスミを合わせ、手前にあるスプーンの形をしたガラスの器は伝統的な豚肉ソーセージ「ソプレッサータ」などなど。

▲9品の味を楽しめる「彩り豊かな小さな前菜」
上の段にはトスカーナ地方の塩を使わないパン「パネトスカーナ」のトーストが乗っていて、パブリカとホウレンソウの2種類の風味。左右に置かれた「鱈とじゃがいものバッカラマンテカート(鱈のすり身)」と「鶏レバーのソテー」をのせていただきます。特にレバーペーストをパネトスカーナに塗るクロスティーニはトスカーナ地方の代表的な料理です。

▲「鶏レバーのソテー」は「パネトスカーナ」にたっぷりのせていただきます
「彩り豊かな小さな前菜」にペアリングするのはトスカーナ地方のブドウ品種ヴェルナッチャを使った熟成ワイン「ORI ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ・リゼルヴァ」。フレッシュな味わいが多彩な料理を引き立てます。

▲「ORI ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ・リゼルヴァ’22」
「農園のピンツィモーニオ」はマスや生ハムのほか、金美人参や黒大根など色とりどりの野菜など25種類も使われ色鮮やか。ガラスの器に盛り付けられた野菜スティックは、収穫をするように手でつまみながらいただきます。塩とオリーブオイルのほか、バーニャカウダは火がともされ温められるので、香りが引き立ち香ばしさもプラス。野菜そのものの味やみずみずしさを満喫しました。

▲トスカーナ地方の野菜のサラダ「農園のピンツィモーニオ」
栃木県で品種改良された「ヤシオマス」には、黒オリーブのペーストや魚の皮目のチップが盛り付けられ、脂のりのいい上品な味。生ハムは目の前でスライスされ、フワっと柔らかで塩味も控え目。

▲ヤシオマスと生ハム
多彩な味の野菜には、マルケ州で造られたロゼワイン「アッカディーア マルケ・ロザート2017」をペアリング。サンジョヴェーゼと5%ほどのラ・クリマが使われ、ドライな口当たりと果実の余韻は個々の野菜の味を邪魔しない組み合わせ。鮮やかな色あいはヤシオマスや生ハムにも色を合わせているそうです。

▲「アッカディーア マルケ・ロザート2017」
青森にある「奥入瀬渓流ホテル by 星野リゾート」のコースディナーでも美味しいパンに出会ったのですが、こちらのフォカッチャもよく味わっておきたい一品。最初のひと口はほぼ味がしないのですが、そのあと口に運ぶたびに甘味が増し、やがてほのかな甘味が恋しくなって手が止まらなくなる出来栄え。この後の魚料理には全粒粉のパンも提供されます。

▲しっかり味わっておきたい「フォカッチャ」
|味わいが深いスープとパスタ
ここからしっかりとした味わいを楽しめるスープとパスタが続きます。組み合わせるワインも徐々に個性が強くなりました。
「茸のズッパ(スープ)」はバターでソテーした3種類の茸に甘味のある白美人ネギを忍ばせ、泡立てたカプチーノ仕立。仕上げは客席でトリュフをスライス。運ばれた瞬間から香りが広がり、濃厚でまろやかなスープと共に、口いっぱいにトリュフの風味が広がります。

▲削りたてのトリュフが入った「茸のズッパ」
スープに合わせた白ワインは「ファミリア・オロ ヴェルナッチャ ディ オリスターノ」。

▲2013年の「ファミリア・オロ ヴェルナッチャ ディ オリスターノ」
トスカーナ地方では猪の肉もよく使われるのだとか。麺は太めの平打ちタリアテッレ。猪肉を使ったサルシッチャ(ソーセージ)と赤玉ねぎを合わせたトスカーナ地方伝統の “フラタッキオーネ” 風ソースに、ポルチーニ茸を絡めます。混ぜると具もゴロゴロ入っていて、パルミジャーノ・レッジャーノの豊かな風味と猪肉独特の旨みなど、奥深い味わいを楽しめます。

▲パスタは「猪サルシッチャと赤玉ねぎのタリアテッレ」
パスタの力強さにあわせた爽やかな果実味のある辛口の赤ワインは、地元の那須塩原市板室にある「石井ぶどう」で栽培された葡萄を使い、同じく那須塩原市の Y’s Vineyards(ワイズヴィンヤーズ) が造った「イタムローニュ ピノ・ノワール2024」。さり気なくご当地ワインも楽しめる演出が嬉しいですね。

▲那須塩原市で造られた限定ワイン「イタムローニュ ピノ・ノワール2024」
|メインで楽しむ魚料理と肉料理
メインの魚料理と肉料理は、目の前で仕上げるパフォーマンスから始まる意外性。趣向を凝らした魚料理と、シンプルに仕上げた牛肉を味わいます。
テーブルに運ばれた岩魚(イワナ)の蒸し焼きに、目の前で温かい胡麻油をかける意外性に驚きました。もち麦と黒米で作るリゾットの上に、岩魚と生ハム、貝のペーストを重ねて網脂で包み、紫蘇の醤油漬けを使ったソースでいただきます。

▲「ハーブ香る岩魚の蒸し焼き」
炭火でじっくり焼き上げられた牛肉に、紫にんじんや姫だいこんなどローストした根菜類が添えられます。イタリアのデミグラスソースとも言えるスーゴ・ディ・カルネと緑色のネギニラの2種類のソースは、肉に寄り添うサッパリとした味。ワサビのコンフィも添えられて、多彩な味で楽しめます。

▲「牛肉のアロースト」
肉料理に合わせたのは “トスカーナワインの王様” と称される「ブルネッロ ディ モンタルチーノ リドルフィ」の2018年。サンジョヴェーゼ グロッソを使ったワインで、牛肉の炭火焼を引き立てるジューシーさとコク、酸味がありながら重すぎることのない流麗な味わいのビンテージです。

▲牛肉の炭火焼きに合わせるのは “トスカーナワインの王様”
|美しすぎるデザートも
デザートは「梨とヨーグルトのプリモドルチェ」とメインドルチェの「葡萄と焼き栗のセミフレッド」。濃厚なデザートワインと共にいただきました。
1皿目のデザートは梨とヨーグルトのハーモニー。梨の上には陰干ししたブドウで作る甘口ワインのジュレと、ヨーグルトのエスプーマがかかります。シャキシャキの梨に、ミントの華やかな香りとほんのり酸味も加わる後味爽やかなデザートです。

▲1皿目のデザート「梨とヨーグルトのプリモドルチェ」
デザートとのペアリングは、ルネサンス時代から伝わるマルケ州の伝統的なデザートワイン「ヴィショラ」。色の濃いアレアティコ種で造った赤ワインに、ブドウ畑のまわりに自生する酸味の強いさくらんぼヴィッショラータと砂糖を加え再発酵。さくらんぼの甘酸っぱさもしっかり感じられる甘口の果実酒です。

▲赤ワインとサクランボで造る伝統的デザートワイン「ヴィショラ」
メインドルチェは、その美しさもピカイチの「葡萄と焼き栗のセミフレッド」。ラムシロップを染み込ませたビスキュイはしっとりしていて、アクセントに根セロリのピューレを中心部分に忍ばせます。上に栗のセミフレッド(アイスケーキ)や、薄くスライスしたシャインマスマットと巨峰を、まるで花が咲いたように華やかに飾ります。カシスのソースと共に、芳醇なブドウの味と香りや栗の甘味を満喫する逸品です。

▲美しすぎるメインドルチェ「葡萄と焼き栗のセミフレッド」
食後のドリンクにはメニューにはない小菓子が添えられます。左からイチゴのチョコをクッキーで挟んだ「バーチ ディ ダーマ」、チョコレートにヘーゼルナッツを混ぜた「ジャンドゥーヤ」、トスカーナ地方の伝統的なビスケット「カントゥッチ」の3品。ドリンクはオレンジピールやローズヒップ、レモングラスなど9種類のハーブをブレンドしたハーブティーを選びました。

▲ドリンクと小菓子3品
もし食後酒に蒸留酒を飲みたいという方は、20時から22時まで2階のラウンジでイタリア特産のグラッパを無料で用意。ブドウの搾りかすを発酵させた蒸留酒で、アルコール度数も高いので無理は禁物です。
多彩な味と色あいを楽しめる前菜やサラダ。秋の風味を盛り込んだスープやパスタ。そしてこだわりの魚と肉料理。さらに何よりも、驚くほど美しいメインドルチェ「葡萄と焼き栗のセミフレッド」など、また来年の秋が待ち遠しくなるコース料理です。提供期間は11月30日(日)まで。ぜひ味わってみてくださいね。<text&photo:湯川カオル子 予約・問:リゾナーレ那須 https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/risonarenasu/>