旧市街を散策していると、4本の尖塔が特徴的なレンガ造りの建物が見えてきます。
聖霊病院と呼ばれているこの建物は、世界一古い社会福祉施設のひとつ。13世紀後半から1970年までのあいだ、貧しい人々を救済する施設として使われてきました。
ハンザ同盟の盟主として大きな富を築き上げたリューベック。この町に住んでいたハンザ商人たちはみな裕福でした。自らが裕福でありながらも他人を思いやる気持ちを忘れなかった商人たち。彼らは自分達で資金を出し、困った人々を助けるための施設を町の中に次々と建設したのです。
その中でも最大規模の物が、この聖霊病院。初めのうちは病院としてスタートしましたが、後に救貧院としての機能も加わりました。ここにはリューベックをはじめ、近隣の村からも貧しい人々や病人が収容されていたのです。
入り口から入ると、そこにはまるで教会のようなホールが広がっています。壁には美しいフレスコ画が描かれているほか、細部の細かな装飾やステンドグラスも美しく、じっと見入ってしまいます。
またここで忘れてはならないのが、入り口から左手にある2つの祭壇です。
もう1つの祭壇では、異なる8つのシーンが描かれています。マリアと聖なる家族を表している物や、いばらによって命を奪われる殉教者をモチーフにしたものまで様々です。また見ることは出来ませんが、後ろ側には更に8人の聖人像が描かれています。これらは祭壇の両側の扉を閉じる事によって、初めて見ることが可能になるのだそうです。
ホールの奥には扉があり、そこに入るとかつてここに収容されていた人々の部屋の一部を見ることが出来ます。170もの小さな部屋が並んでいますが、当時はここも全て一杯だったのだそう。部屋自体は小さくて内装もかなり質素ですが、個室をあてがわれて食事も出されたのですから、貧しい人々にとっては大きな助けになったことでしょう。
聖霊病院の建物は、現在もその一部が老人ホーム、介護施設として使われています。かつてこの町の人々が抱いていた、貧しい人や困った人を助けたいというという思いは、形は少し変われど現在もこの地で受け継がれているのです。
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