9月1日は「防災の日」。自然災害のニュースを見聞きするたび、お子さんを連れての避難や被災生活を想像し、不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
NPO法人ママプラグ 理事 冨川万美さん
東日本大震災をきっかけに、NPO法人ママプラグで被災者支援をスタート。アクティブ防災®︎事業代表もつとめる。ご自身も小学生と中学生のお子さんを持つお母さん。
NPO法人ママプラグ
子育ての当事者が直面する社会問題について、クリエイティブな視点から解決に向けた取り組みを行うNPO法人。「アクティブ防災®︎」のほか、女性の生き方としてのキャリアを豊かにする「キャリア事業」、被災母子支援などを中心に事業展開を行う。公式サイトはこちら

幼い子どものいる家庭に本当に必要な防災ブック!被災者の声をベースにした子連れ防災BOOKができあがりました。
書籍詳細はこちら10年前に比べて、情報もアイテムも充実している「防災」の今

NPO法人ママプラグは、2011年の東日本大震災の被災者支援からスタートしました。ボランティアとして活動しながら、被災したご家族からお話を聞く中で「災害に備えること」の重要性を痛感し、現在は「家族とともに取り組む防災」を広める活動をしています。
当時、防災というと「ヘルメット」や「懐中電灯」のようなアイテムしか想像できないぐらい、情報が少なかったんです。特に子育て中の家族にとっては、何が必要なのか分からないような状態でした。RoomClipには防災関連の投稿をされている方も多いですが、そのときはSNSにそんな情報が集まるなんて、考えられなかったですね。
今は、防災に対する考え方もハード面もだいぶ変わりました。
子どもの成長に合わせて、必要なものもするべきことも変わっていく
ユーザーさんの防災イベント投稿:Rikoさん
娘が産まれたのをきっかけに、災害備蓄をガチで準備しました。Riko
子育て家庭が災害に備えるときは、「子供の年齢によって、用意しておきたいものや取るべき行動が変わる」ということがポイントになります。特に新生児期から乳幼児期にかけては、毎日目まぐるしく成長していきますよね。肌着やオムツのサイズ、本人が動ける範囲やできることもどんどん変わっていく。災害用に備えるものも、少し先を見越して用意しておく必要があります。
また、子供が小さいうちは特に、避難所に長く滞在することが難しいんです。基本的には在宅避難を前提に、「家のライフラインが断たれた場合」や「スーパーが機能していない場合」などを考えておいた方が良いでしょう。災害が起きても「意外と大丈夫だったね」と言えるようにするためには、「暮らしながら備える」ことが大切です。
家族構成、備蓄用のスペース、実家や友人宅など「避難できる場所」の有無などを考慮して、わが家だけの「オーダーメイド防災」を計画し、災害に強い暮らしを整えていきたいですね。
「これさえあれば大丈夫!」ではなく、“日常”を続けるための備えを
ユーザーさんの防災イベント投稿:kotoripさん
非常食も慣れ親しんだ味の物をセレクト。 今回はスイーツも頼みました。kotorip
在宅避難が理想とはいえ、「災害時には避難が必須」という場所に住んでいる方もいます。
ただ、ネガティブな想像ばかりしているとそれだけで疲れてしまうので、まずは身構えずに日常生活の延長でできることを考えていきましょう。家族との“いつも通り”の暮らしを取り戻すためには、例えば食べ慣れない非常食よりも、大好きなお菓子やお気に入りのオモチャなど、自分も家族もホッとできるようなものを用意しておくといいですよ。
「子連れ防災」の基本になるモノたち
ユーザーさんの防災イベント投稿:seajewelryさん・mako2yaさん

(左:seajewelryさんの投稿写真/右:mako2yaさんの投稿写真)
乳幼児期のお子さんがいるおうちなら、マザーズバッグを「防災化」するのがベストです。オムツやおやつを、1日の必要量よりちょっと多めに入れておく。日頃からこまめに補充するようにしておくと、外出時に被災した場合でも安心です。水やお菓子、常備薬など、お母さんに役立つものもセットしておきたいですね。
被災時に必要な情報を収集するために、いちばん活躍してくれるのは毎日使っているスマートフォン。家族との連絡をとるのにはもちろん、SNSで各地の災害情報を確認するためにも使います。充電できないことを想定して、モバイルバッテリーも用意しておきましょう。
夜間に被災してライフラインが止まった場合は、明かりを確保することも重要なポイントになります。
また、お子さんが暗闇を怖がってパニックになってしまう場合も。懐中電灯はポイントを照らすものなので、持ち運べるLEDランタンを用意しておくと便利です。空間全体が明るくなるとお互いの顔が見えて、心が落ち着きますよ。
おうちの中に「安全スペース」を確保しよう
ユーザーさんの防災イベント投稿:tokonekoさん
もしものときに備えていること。
1. 背の高い家具を置かない。
2. テレビや棚の上のものはジェルマットとひっつき虫で固定する。
子どもの頃に阪神大震災を経験しているせいか、特に地震対策には神経質な私です。tokoneko
家の中でできることで、いちばんはじめやすいのが「お片付け」です。キッチンやリビングはモノが多いし、どう頑張っても危ないので、それ以外で安全な場所、そこに行けばとりあえず怪我はしない、というスペースをつくります。例えば、廊下や玄関、寝室など。被災時にはそこを拠点にすることを、家族と共有しておくといいですね。
「すべての窓や鏡に飛散防止シートを貼る」というのは手間も時間もかかって大変ですが、まずは安全スペースだけ対策しておけばOK。残りの場所は余裕があるときにちょっとずつ進めていくなど、できることから取り組んでいきましょう。床にモノを置かないようにして、安全スペースへ避難するための動線が確保できているだけでも、立派な防災になります。
災害時用の水や食料を買わなくても、普段から使う食材を多めにストックすることを心がけておくだけで、安心感が違います。小さいお子さんがいるおうちだと「栄養バランスが気になる」という人も多いと思いますが、非常時は食欲もなくなるので、その子が食べたいもの、好きなもので大丈夫。完璧を目指す必要はないんです。
楽しく学んで、賢く備える「アクティブ防災®︎」

ママプラグが取り組んでいる「アクティブ防災®️」は、思わず取り組みたくなる防災術や、防災に関する課題解決をテーマとした防災企画のこと。「楽しく学び、賢く備え、自分で考え行動できる防災を!」をモットーに、さまざまな防災企画を提案しています。
例えば「防災ピクニック」。「アウトドア好きの人は災害に強い」という実感があったので、最初は「防災キャンプ」を考えていたのですが、私自身が割とインドア派で(笑)もうちょっとハードルを下げたいなと思って。公園は子どもを連れていくことが多い場所なので、親しみがありますよね。公園でできることは何だろうと考え、「防災ピクニック」という形になりました。
ピクニック気分で防災リュックを背負って公園に行くと、「リュックが結構重くて大変だった。

ランチ代わりに非常食を食べたり、防災グッズを使ってみたり……。防災の視点で行うアウトドアイベントを通じて、家族の防災力をアップ!
書籍詳細はこちらRoomClipユーザーさんの防災アイデアをピックアップ!
RoomClipで行われている「防災」をテーマにした投稿イベントには、ユーザーさんのアイデアがたくさん集まっています。NPO法人ママプラグの冨川さんにコメントをいただきました♪
■非常時用トイレセットをストック

RoomClipショッピングで、断水した際のトイレに被せる袋と凝固剤を購入させて頂きました。100回分使えて、90回分をトイレに置いといて、10回分はまだ子どもが小さいので、長時間の車旅の為に車に置いておこうと思います。備えあれば憂いなし!!!Chiharu

「トイレの備えは重要!在宅避難ができるなら、おうちの中のトイレにセットできるものがオススメです。100回分あれば十分な数なので、1箱あるだけで本当に心強いですよ。」
■調理にも暖房にも使えるカセットガス

ちょっとした暖が欲しい時にも最適。そして期限間近のカセットガスも消費できて一石二鳥です♫kaerunoameri

「カセットガスは、調理用にも寒さ対策にも使えて便利!防災アイテムとして、カセットコンロ、カセットストーブとセットで用意しておくといいですね。」
■親子で防災を学び、体験する

先日お友達家族と防災館に行って来ました❗VR体験は臭いや風まで出て本当に火事や地震に遇っている様でとても怖かったですいざという時に適切な行動が出来るか分かりませんが、子ども達と一緒に体験し学べた事はとても良かったと思います‼️chinamini

「親子で一緒に防災知識をアップデートできるのはすごく良いことですね!今は小・中学校でもしっかり防災学習が行われているので、お子さんもいろいろなことを学んでいます。どんな内容を勉強したのか、ぜひ聞いてみてくださいね。」
家族みんなで、まずは気軽にはじめよう!
子育て世代にとって、避けては通れない「子連れ防災」。備えることを重く考えすぎず、「できるところから」「楽しみながら」続けていきたいですね。最後に、冨川さんからRoomClipユーザーの皆さんへのメッセージをいただきました♪

「防災のために特別なことをするというより、日頃の生活を災害に強くしていくことが理想的です。好きな飲みものや食べものを切らさずにストックするなど、自分や家族にとってうれしいことをするだけでも、防災の第一歩になります。
■【RoomClip「もしも」を考える防災特集開催中!】

RoomClip公式企画
「もしも」を考える防災特集はこちら!
執筆:RoomClip mag 編集部