2011年からの長きにわたるJ2リーグ生活に終わりを告げ、12シーズンぶりとなるJ1リーグ復帰を果たした京都サンガ。新しいスタジアムやチョウ・キジェ監督の就任で昇格の予感はしていたが、まさか就任1年目で実現するとは正直予想はしていなかった。

とある海外クラブのような若さと勢いだけの偶発的な強さではなく「アグレッシブに、そしてロジカルに」試合を展開した結果であると考える。

来たる2022シーズン(2月18日開幕戦)久しぶりのJ1となる京都サンガにとっては一体どのようなシーズンになるだろうか。予想するにはいささか早いのは承知で、京都サンガ2022シーズンの展望やここまでの評価を述べたいと思う。

新たなシーズンに向けた選手補強は?

12年ぶりのJ1リーグを戦うことになる京都サンガは、他のクラブとは一線を画して早くから積極的な選手入れ替えを実施してきた。比較的早い段階で体制を整えることができるのは大いに評価することができるだろう。特に2022シーズンにおいては尚更である。なぜなら2022年はカタール・ワールドカップが冬に開催され、その影響もあってJリーグは「2月中旬開幕11月上旬シーズン終了」という普段よりも1ヶ月早く完結するイレギュラーなシーズンになるからだ。このアドバンテージを開幕から有効活用していきたい。

京都サンガの2022シーズンを大胆予想!来季はセットプレーがカギに…その理由とは?
京都サンガの2022シーズンを大胆予想!来季はセットプレーがカギに…その理由とは?

具体的な移籍情報は上記になる(2022/01/03現在)。チョウ・キジェ監督が常々要求している高いインテンシティに即した選手を取り込んだと分析する。特に浦和レッズから期限付き移籍で獲得した金子大毅や、セレッソ大阪から完全移籍で加入する豊川雄太は、2021シーズンからの上積みになるのではないかと考える。開幕から注目していきたい。

解決したい得点力不足

2020シーズンに露呈された京都サンガの課題点として得点力不足が挙げられる。京都サンガのエースストライカーであるピーター・ウタカのゴールセンスには脱帽する。

3シーズン連続でリーグ戦20ゴールを記録し、ウタカ自身も2017シーズンぶりとなるJ1リーグ挑戦でどこまでできるのか試したいと息を巻いているに違いない。しかし2021シーズンもウタカへの依存度は大きく、これまで通りの戦い方でJ1を戦うというのは相当のリスクであると考える。

京都サンガの2022シーズンを大胆予想!来季はセットプレーがカギに…その理由とは?

2021シーズンのゴールランキングに注目すると、ウタカは21ゴールの第2位にランクインするもチーム単位で見れば59ゴールとリーグ全体で8位に位置しており、チームとして攻撃力を測った場合にはまだまだ乏しい印象だ。

2020シーズンからウタカへのゴール依存度は35%にまで低減できたが、依存傾向にあることは確かで払拭しなければならない。J2リーグ最後の3試合は攻勢に出たものの決定機を欠きた結果すべて無得点で終了。引き分けによる勝ち点を積み上げたことによって何とか昇格を決めたが、攻撃の手札を増やしクオリティを高める作業が今後必要になるだろう。

前線からハードワークができる豊川雄太や、ペナルティエリア内で身体を張ることができる山﨑凌吾など、得点力不足解決に向けて意図的な選手補強を行った京都サンガ。この課題を解決に導くことはできるだろうか。

京都サンガの2022シーズンを大胆予想!来季はセットプレーがカギに…その理由とは?

武器にしたいセットプレー

前述した得点力不足において、特に「セットプレーからの得点」が京都サンガは少ないと考える。2021シーズンの京都サンガのセットプレーからのゴールはわずか8ゴール。これはJ2リーグ22クラブのセットプレーからの平均ゴール数である12.1ゴールを下回る結果だ。今後強豪揃いのJ1クラブ相手に苦しい局面は必ずやってくる。苦戦を強いられる中においてセットプレーからの得点は泥臭く試合を制する上で必要不可欠なツールであると考える。

今冬ザスパクサツ群馬から大前元紀を獲得したのは、そうしたセットプレーを強化する思惑があるのだろうか。大前の魅力はやはりプレースキック精度でありセットプレーからのゴールに期待できる。また効果的なラストパスを供給できる点も今の京都サンガにおいて必要な要素かもしれない。チョウ・キジェ監督の下でどのように変貌を遂げるのかウォッチしていきたい。

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バイス不在をどう乗り越えるか

京都サンガとして最大の誤算はヨルディ・バイスの退団だろう。J1リーグの舞台とは縁遠い選手の1人だったが、2021シーズンは京都サンガのディフェンスリーダーとして昇格に大きく貢献した。また同シーズン記録した31失点はリーグ戦最小失点数でありシーズン通して堅守ぶりを貫いた。今回のJ1昇格を誰よりも喜びそして誰もが京都サンガの一員としてJ1を戦うと思い描いていた。しかし契約満了に伴う退団が発表されファジアーノ岡山へ移籍を決めた。

功労者バイスの抜けた穴を埋めるというマイナスからのスタートとなったが、早急にリカバリーとしてヴァンフォーレ甲府からメンデス、ファジアーノ岡山から井上黎生人を獲得。結果的にはバイスのリカバリーに加え若返りを図ることに成功し、新たな舞台に向けた準備を着々と進めている。

それでも懸念点は払拭されたとはいえないと考える。

なぜなら「J1の経験値が著しく乏しい」からだ。おそらくディフェンスラインの構想には前述した2選手と麻田将吾がファーストチョイスになると推測するが、いずれの選手もJ1でのプレー経験がない。無論J2リーグ以上に強力な攻撃陣に立ち向かう必要がある京都サンガは、もう1段踏み込んだ対策をしなければ崩壊を生むと危惧している。さらなるディフェンダーの補強に動くなどクラブの手腕が問われる。

加えて守備にベクトルを合わせたシステム変更を講じるのではないだろうか。2021シーズンは4バックが基本陣形で攻撃時は両サイドバックが同時に前線に駆け上がり2バック体制で試合を支配する試合が多かったが、来シーズンはかつてチョウ・キジェ監督が湘南ベルマーレを率いていた時のように3バックから試合を作り主導権を握ることで「J1対策」を施すと予想する。

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