2月12日の川崎フロンターレ対浦和レッズの「FUJIFILM SUPER CUP」によって幕を開ける、明治安田生命J1リーグの2022シーズン。今年は冬にFIFAワールドカップ・カタール大会が行われるために前倒しのスケジュールとなっている。
そこでスケジュールに負けじと、1月5日時点でのJ1全18クラブの補強診断を行った。戦力の収支をA(大きくプラス)~E(大きくマイナス)の5段階で表し順位を付け、3クラブずつまとめていく。

18位:サガン鳥栖
戦力収支:E
OUT
梁勇基(ベガルタ仙台:完全移籍)
小屋松知哉(柏レイソル:完全移籍)
松本大輔(ツエーゲン金沢:期限付き移籍)
白崎凌兵(鹿島アントラーズ:復帰)
内田裕斗(ベガルタ仙台:完全移籍)
大畑歩夢(浦和レッズ:完全移籍)
樋口雄太(鹿島アントラーズ:完全移籍)
仙頭啓矢(名古屋グランパス:完全移籍)
山下敬大(FC東京:完全移籍)
酒井宣福(名古屋グランパス:完全移籍)
高橋義希(引退)
IN
堀米勇輝(ジェフユナイテッド千葉:完全移籍)
小野裕二(ガンバ大阪:完全移籍)
宮代大聖(川崎フロンターレ:期限付き移籍)
西川潤(セレッソ大阪:期限付き移籍)
垣田裕暉(鹿島アントラーズ:期限付き移籍)
ジエゴ(徳島ヴォルティス:完全移籍)
原田亘(FC今治:完全移籍)
藤田直之(セレッソ大阪:完全移籍)
福田晃斗(アルビレックス新潟:完全移籍)
藤原悠汰(明治大学:新加入)
深谷圭佑(品川CC:新加入)
梶谷政仁(国士舘大学:新加入)
荒木駿太(駒沢大学:新加入)
菊地泰智(流通経済大学:新加入)
佐藤響(流通経済大学:新加入)
孫大河(立正大学:新加入)
現在のJ1で最も逆境に立たされているサガン鳥栖。前社長時の放漫な経営のツケと、金明輝前監督のパワーハラスメント問題。ダブルパンチを受け、J1に昇格した2012年以降で最も難しいシーズンになる可能性は高い。
全国トップクラスの強さを誇るユースを筆頭に若手選手の育成、J2以下で光るものを見せていた選手の抜擢、出場機会を減らした選手の再生に長けたクラブとなって残留し続けてはいるが、とはいえ花開いた途端に引き抜かれ続けてしまうとさすがに難しい。
今回の移籍市場においても、非常に厳しい時間を過ごしている。昨季の守備を支えたエドゥアルドの残留はポジティブな要素だが、主力だった樋口雄太、仙頭啓矢、小屋松知哉、大畑歩夢、山下敬大、酒井宣福らを失い戦力は大きく低下。藤田直之や福田晃斗といった“サガン愛”が強く精神的支柱になり得る選手を獲得できたとはいえ、中盤の構成力は懸念材料だ。全体的に選手層が薄く、品川CCから加入した深谷圭佑や6人の大卒の選手達を含めた総力戦となる。
一方で昨季の2トップを共に失った前線には、計算の立つ選手の獲得に成功。昨季徳島ヴォルティスで共に戦った垣田裕暉と宮代大聖、将来を嘱望される西川潤らは一定の結果を残すことだろう。

17位:柏レイソル
戦力収支:E
OUT
イッペイ・シノヅカ(アルビレックス新潟:期限付き移籍)
瀬川祐輔(湘南ベルマーレ:完全移籍)
高橋峻希(V・ファーレン長崎:完全移籍)
クリスティアーノ(V・ファーレン長崎:完全移籍)
神谷優太(清水エスパルス:完全移籍)
滝本晴彦(FC今治:期限付き移籍)
仲間隼斗(鹿島アントラーズ:完全移籍)
ヒシャルジソン(セアラ―:完全移籍)
杉井颯(契約満了:未定)
IN
小屋松知哉(サガン鳥栖:完全移籍)
ドウグラス(ヴィッセル神戸:完全移籍)
猿田遥己(横浜FC:復帰)
中村慶太(清水エスパルス:完全移籍)
森海渡(筑波大学:新加入)
岩下航(ロアッソ熊本:完全移籍)
田中隼人(柏レイソルU-18:昇格)
真家英嵩(柏レイソルU-18:昇格)
升掛友護(柏レイソルU-18:昇格)
土屋巧(日本体育大学柏高等学校:新加入)
加藤匠人(筑波大学:新加入)
上位進出を目指しながら、15位と残留するのが精一杯だった昨季の柏レイソル。さらに先日のクリスマスを前にクラブから発表されたのは、財務状況の厳しさだった。その通りに、移籍市場での立ち回りも難しいものとなっている。
ただでさえ得点力不足だった中で、チーム得点王の7得点を挙げたクリスティアーノがV・ファーレン長崎へ、チームアシスト王の4アシストを記録した神谷優太は清水エスパルスへと移籍。その他にも瀬川祐輔、仲間隼斗といった攻撃にアクセントを加えられる選手が抜け、攻撃力は大きく低下した。そのためヴィッセル神戸から加わったドウグラス、サガン鳥栖から加わった小屋松知哉に懸かる期待は大きい。
守備陣はボール奪取で中盤の守備に貢献したヒシャルジソンこそ抜けたものの、大きな動きはなく大崩れは考えにくい。とはいえ昨季のように上位を目指す状況にはなく、2022シーズンは余裕を持って残留できれば合格ではないだろうか。
ユースから昇格した田中隼人、真家英嵩、升掛友護の3人、レイソルユースで育ち筑波大学を経て加入する森海渡と加藤匠人、相互支援契約を結ぶ日体大柏から加わった土屋巧。6人ものルーキー達から即戦力となる選手が現れることにも期待したい。

16位:ガンバ大阪
戦力収支:D
OUT
白井陽斗(契約満了:未定)
林瑞輝(契約満了:未定)
菅沼駿哉(契約満了:未定)
井手口陽介(セルティックFC:完全移籍)
小野裕二(サガン鳥栖:完全移籍)
唐山翔自(水戸ホーリーホック:期限付き移籍)
遠藤保仁(ジュビロ磐田:完全移籍)
チアゴ・アウベス(ファジアーノ岡山:完全移籍)
塚元大(ツエーゲン金沢:期限付き移籍)
芝本蓮(藤枝MYFC:期限付き移籍)
キム・ヨングォン(蔚山現代:完全移籍)
IN
福岡将太(徳島ヴォルティス:完全移籍)
クォン・ギョンウォン(城南FC:完全移籍)
ダワン(SCサンタ リタ:期限付き移籍)
石毛秀樹(清水エスパルス:完全移籍)
加藤大智(愛媛FC:完全移籍)
坂本一彩(ガンバ大阪ユース:昇格)
中村仁郎(ガンバ大阪ユース:昇格)
山見大登(関西学院大学:新加入)
2020シーズンに2位に入ったガンバ大阪だが、昨季は13位と低迷。シーズン終盤まで残留争いに巻き込まれた。
センターハーフとして最も多くの試合にスタメン出場した井手口陽介、負傷の影響で16試合の出場に留まったが最終ラインを支えたキム・ヨングォンらが退団。
その穴を埋めるためにブラジル人のダワン、韓国人のクォン・ギョンウォン、徳島ヴォルティスから福岡将太を獲得したが、新規の外国籍選手はコロナ禍の影響で入国がいつになるかは未定。おそらくキャンプに参加することはできない。昨年チーム全体が新型コロナの影響に悩まされたように、今季の選手補強においても影響は避けられないだろう。
その他の新加入選手では石毛秀樹に期待したい。以前から個のスキルへの評価は高かったが、昨年夏にファジアーノ岡山に期限付き移籍し14試合出場で6得点と一皮むけた感がある。
またユースから昇格した坂本一彩と中村仁郎、関西学院大学から加入した山見大登がチームに加わり、昨年は期限付き移籍で所属していた加藤大智も完全移籍に移行した。中でもすでにJ1デビューを果たしている中村仁郎は即戦力候補として注目したい。