明治安田生命Jリーグ2022シーズン開幕が目前に迫った(J1リーグ2月18日、J2リーグ2月19日、J3リーグ3月12日)。各クラブ、キャンプや練習試合などの情報も落ち着き、最終調整に入っている。
新シーズンの幕開けを告げる今季初タイトル戦「FUJIFILM SUPER CUP(富士フイルムスーパーカップ)」川崎フロンターレVS浦和レッズも、2月12日に行われた。リーグ連覇中の王者である川崎を、天皇杯王者の浦和が0-2で破るという波乱の結果に、サッカーファンは来たるリーグ戦への期待や楽しみをより一層膨らませているのではないか。
ところでリーグの開幕戦は、どのクラブもがシーズンを占う意味でも重要な試合と位置づけていることだろう。これからの長いシーズン、開幕から残留を考えるのは不毛だが、特に近年下位に沈み結果降格するチームは開幕戦で勝利していないという傾向もある。逆には、開幕勝利を飾ることで残留への最初のミッションをクリアできるとも言える。
そこで当記事では、昨2021シーズンのJ1開幕戦のうちの3試合に焦点をあててみたい。リーグ最終順位も踏まえ、いかに開幕戦がシーズンを通して重要な意味を持つのかを考察していく。

北海道コンサドーレ札幌 VS 横浜FC
2021シーズン開幕戦結果:5-1
大量得点で2021シーズンの開幕戦を飾るも、リーグ最終順位は10位と奮わなかった北海道コンサドーレ札幌。出だしの好調さを考えると、上手くいかなかったシーズンだっただろう。しかし、ここで注目すべきは横浜FCへの影響だ。
横浜FCは前年の2020シーズン、13年ぶりのJ1復帰でありながら残留圏内である15位でフィニッシュ(コロナ禍により実際の降格は無かった)。2021シーズンはそれ以上の飛躍が求められた中での大量失点のスタートだった。結果、リーグ最終順位は最下位でJ2降格へ。
さらには、横浜FCが2021シーズン3失点以上した試合は全体で12試合。シーズンの約1/3とかなり高い割合になっている。うち3試合が5失点と、途中監督の交代もありながら失点は止まらなかった。20チームで争われた2021年は試合数も多いという特別な事情もあるが、前年は失点が「60」だった。
横浜FCの開幕戦の多すぎる失点によるチームへのダメージは、守備陣を中心に大きかったことだろう。その後の失点数も踏まえると、この開幕戦は年間通しての同シーズンに大きな影響を与えた試合だったと言える。

アビスパ福岡 VS 名古屋グランパス
2021シーズン開幕戦結果:1-2
この開幕戦は、名古屋グランパスが守備の堅さを証明した試合だった。逆にアビスパ福岡からすれば、5年ぶりのJ1復帰の出鼻をくじかれた試合と言える。福岡の最終結果は8位で4度目の挑戦となる悲願のJ1残留を決めたのだが、ここでは名古屋に注目しよう。
J1優勝を目指す名古屋にとっては、当然開幕戦を無事に勝利で飾ったことが大きい。吉田豊のオウンゴールで1点を失うも、試合を通して安定的な守備力が観られた。
名古屋は第2節以降、日程の都合上先に行われた第19節を含め、9試合連続無失点という数字を残している。最終順位5位となった2021シーズン全体を通して見ても、失点数は首位川崎の「28」に次ぐ「30」だった。開幕戦の相手シュート数「4」という数字から考えても、この試合で堅牢な守備という印象をJリーグ全体に植えつけたと言える。

湘南ベルマーレ VS サガン鳥栖
2021シーズン開幕戦結果:0-1
サガン鳥栖に注目しよう。2021シーズン開幕前、鳥栖は必ずしも前評判の高いチームではなかった。前シーズン終了後の移籍市場で、原川力、原輝樹、金森健志ら主力級の選手が多く他チームへ流出したからだ。
そんな中にして残留争いに巻き込まれることも十分あり得ただけに、鳥栖がこの開幕戦で終盤にPKを沈めて勝ち切ったことは大きかった。また、そのPKを決めた林大地をはじめ、スタメンに名を連ねた松岡大起、中野伸弥ら若手の活躍も見られた。彼らは第2節以降も安定したパフォーマンスを発揮し、6戦無敗と無失点に貢献している。
鳥栖の最終結果は7位で、終盤の戦績を見れば見るほど開幕戦から始まった好調が重要だった。
今冬の移籍市場、鳥栖からはエドゥアルド、樋口雄太、仙頭啓矢といった主力が流出しており、昨年以上に苦戦が予想される。また開幕戦でリズムを作れるか、新しいヒーローが誕生するか、いずれにしても見ものだ。
久々にJ1に復帰したジュビロ磐田、京都サンガを含め、2022シーズンはどんな年になるのか。また今シーズンの開幕戦は最終結果にどんな影響を与えるのか。J1リーグは2月18日(金)川崎対FC東京のオープニングマッチで開幕を迎える。