2022FIFAワールドカップ・カタール(カタールW杯)の出場機会を掴んだ日本代表。4月1日(日本時間2日)には組み合わせ抽選会が行われ、日本はスペイン、ドイツ、またコスタリカとニュージーランドで争われる大陸間プレーオフ勝者と同じ、グループEに決定した。
優勝候補の一角であるスペイン、ドイツが立ちはだかる非常に厳しい組み合わせとはいえ、日本が決勝トーナメントに進出し目標のベスト8まで辿り着くためには、さらなる戦術の浸透に加え新戦力の発掘も欠かせない。
そこでここでは、日本代表に選出が考えられる海外で活躍中の選手7名を紹介する。ひと昔前の日本代表ならば重宝されていたであろう、欧州での実績があるにも関わらずフル代表での出場経験のない選手をピックアップした。

伊藤洋輝(ドイツ1部/シュトゥットガルト所属)
U-15からジュビロ磐田の下部組織に所属し、2018年にトップチームに昇格したDF伊藤洋輝。2018年は磐田、2019年は期限付き移籍先の名古屋グランパスでプレーしたが、出場機会はほぼ得られず。しかし2020年、転換期が訪れる。J2に降格した磐田に戻った伊藤は、高さと強さを活かしてセンターバック(CB)の主力に定着し、そのまま1年半プレーした。
その活躍が認められ、2021年6月にブンデスリーガのVfBシュトゥットガルトへと期限付き移籍。当初はセカンドチームで経験を積む予定だったが、キャンプで評価を上げトップチームへと定着。適応能力の高さをみせ、リーグ戦22試合に出場している。
ドイツ代表の面々と日頃から試合で対峙し、屈強なストライカー達と戦っている経験は大きな強みになるはずだ。

奥川雅也(ドイツ1部/アルミニア・ビーレフェルト所属)
京都サンガの下部組織で育ち、2015年にトップチームに昇格したMF奥川雅也。当時からドリブルの技術に優れていたものの、怪我の影響でほぼ試合に絡めず。それでもオーストリアの強豪であるレッドブル・ザルツブルクが「古都のネイマール」という愛称で呼ばれていた奥川に注目し熱心にオファー。
そこからオーストリア2部のリーフェリング、オーストリア1部のSVマッテルスブルク、ドイツ2部のホルシュタイン・キールへの期限付き移籍で経験を積み、2019年5月にザルツブルクへ復帰。様々なチームで出場経験を積み、付けた力を遺憾なく発揮する。
2020/21シーズンのUEFAチャンピオンズリーグではバイエルン・ミュンヘン相手に得点を決めるなど評価を上げ、2021年1月にドイツ1部のアルミニア・ビーレフェルトへ移籍。ここでも定位置を掴み、リーグ戦で8得点を記録している。
得点力に優れたドリブラーなだけに、強敵を倒すための「秘密兵器」になるかもしれない。

アペルカンプ真大(ドイツ2部/フォルトゥナ・デュッセルドルフ所属)
ドイツ人の父と日本人の母を持つMFアペルカンプ真大は、出身地でもある東京都のチームでプレーしたのち、フォルトゥナ・デュッセルドルフの下部組織に入団。2019年9月にデュッセルドルフとプロ契約を結び、今2021/22シーズンもリーグ戦で20試合に出場している。
日本はもとよりドイツ国内での評価も高く、U-17日本代表やU-18日本代表、U-21ドイツ代表での招集経験を持つ。
日本代表の主力であるMF田中碧とチームメイトであり、同じピッチに立つことも多いためチームに溶け込むのに必要な時間は少ないだろう。カタールW杯に呼ばれる可能性は高くはないものの、その後日本とドイツのどちらを選ぶのか、注目されることは間違いない。

ファン・ウェルメスケルケン・際(オランダ1部/ズウォレ所属)
オランダ人の父と日本人の母を持つDFファン・ウェルメスケルケン・際。ヴァンフォーレ甲府の下部組織でプレーをしていたが、高校卒業後にオランダへと渡った。ドルトレヒトのU-21に加入し、トップチームでもデビュー。
2017年8月にはオランダ2部のSCカンブール・レーワルデンに移籍し、リーグ戦38試合に出場。エールステ・ディヴィジ年間ベストイレブンに選出されている。2019年7月からはオランダ1部、PECズウォレでプレーし、2021年2月に膝を負傷したものの復帰。
現在、2試合続けてスタメン出場するなど徐々に出場時間を伸ばしており、日本代表サプライズ選出の可能性を秘めている。

原大智(ベルギー1部/シント=トロイデン所属)
U-15からFC東京で育ち、2018年にトップチームへ昇格したFW原大智。2019年には当時J3に参戦していたFC東京U-23を主戦場に31試合で19ゴールを挙げ、J3得点王に輝く。2020年にJ1で26試合に出場すると、2021年2月にクロアチア1部のNKイストラ1961へ移籍した。
その後スペイン1部のデポルティーポ・アラベスを経て、ベルギー1部のシント=トロイデンに移籍し、2021/22シーズンはリーグ戦で7得点を記録中。
日本人には珍しい191cmの大型ストライカーで、スタメンでなくとも戦術の幅を広げてくれる選手だ。

町田浩樹(ベルギー1部/ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ所属)
鹿島アントラーズの下部組織で育ち、2016年にトップチームに昇格したDF町田浩樹。1年目から出場機会を得ていたが、5月に右膝前十字靭帯損傷という全治6ヶ月の怪我を負ってしまう。それでも2019年から出場機会を増やし、2021年には完全に主力に定着した。
2022年1月にベルギー1部のロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズへ期限付き移籍。なかなか出番は訪れなかったが、第27節のシント=トロイデン戦でのフル出場を機に出番を増やしている。
190cmの高さを持つセンターバック(CB)で、屈強なFW相手にも十分に渡り合えるはずだ。

藤本寛也(ポルトガル1部/ジル・ヴィセンテ所属)
東京ヴェルディの下部組織で育ち、2018年にトップチームへと昇格したMF藤本寛也。ルーキーイヤーの開幕戦からスタメンに名を連ねると、2年半ほどでリーグ戦49試合に出場した。
2020年8月にはポルトガル1部(プリメイラ・リーガ)のジル・ヴィセンテに期限付き移籍。今2021/22シーズンは背番号10を背負い、主力として27試合にスタメン出場している。
カタールW杯でメンバーに選ばれる可能性は最も低いだろう。しかし現在リーグで5位につけるチームを引っ張る、パスセンスに優れたレフティーが日本代表のゲームメイクを担っても不思議ではない。