今2022シーズンも残り4~5試合となった明治安田生命J1リーグ。横浜F・マリノス(現1位)と川崎フロンターレ(現2位)の首位攻防に注目が集まる中、残留争いも熾烈なものとなっている。

現状における安全圏の見極めは非常に難しいが、自動降格圏(18位、17位)降格プレーオフ圏(16位)から勝ち点差で「5」の北海道コンサドーレ札幌(現11位)までが残留を争うチームと言えるだろう。いずれも直接対決も残っているが、例え上位陣が相手であっても勝ち点をこぼせない状況に変わりはない。

ここでは、9月24日時点、J1リーグ11位から18位までの残留をかけて争う8クラブそれぞれの、勝ち点獲得のためのキーマンについて紹介していく。

【J1リーグ2022】下位8クラブ、残留のキーマンまとめ

11位:北海道コンサドーレ札幌:金子拓郎

  • 勝ち点:35
  • 得失点差:-12
  • 残り試合数:5(川崎/福岡/浦和/広島/清水)

自動降格圏との勝ち点差は「6」。プレーオフ圏との勝ち点差も「5」と、残り試合数を考慮すれば安全圏にも見える北海道コンサドーレ札幌。しかし、大混戦となっているだけに予断を許さない状況だ。その中でも残留のカギを握るのがMF金子拓郎だろう。2022シーズンは7月に怪我の影響から一時離脱もあったが、ここまでチームトップの5アシストを記録。持ち前のドリブル突破からのチャンスメイクも健在だ。今シーズンの札幌は失点が多く、リーグワースト2位の数字となっている。金子の前線での突破力やキープ力は守備の時間を減らすという意味でも大きな武器となりうるだけに、残留を決定づけるためには不可欠な存在と言える。

【J1リーグ2022】下位8クラブ、残留のキーマンまとめ

12位:清水エスパルス:チアゴ・サンタナ

  • 勝ち点:32
  • 得失点差:-7
  • 残り試合数:4(磐田/川崎/鹿島/札幌)

今2022シーズンの得点ランキングでトップを走るFWチアゴ・サンタナ。序盤戦は怪我の影響もあり出遅れたが、ここまで12得点と活躍。昨シーズンに続いてチームトップとなる得点数で攻撃を牽引している。

また、今シーズンは得点以外にも、ポストプレーや展開力の高さを見せている。今夏よりチームを率いるゼ・リカルド監督をはじめブラジル人の多い清水エスパルス。サンタナにとって連携や意思疎通などプレーしやすい環境が整っているだけに、一層の活躍が期待される。残りの4試合のうち2試合は上位陣が相手となるが、残留を決め来2023シーズンの躍進を占う意味でもサンタナの活躍は不可欠だ。

【J1リーグ2022】下位8クラブ、残留のキーマンまとめ

13位:ヴィッセル神戸:飯野七聖

  • 勝ち点:31
  • 得失点差:-9
  • 残り試合数:5(福岡/広島/湘南/川崎/横浜)

昨2021シーズン3位のスター軍団ヴィッセル神戸。しかし、今シーズンは一時最下位に落ち込むなど苦戦が続いている。残りの5試合での活躍に期待したいのが、今夏加入したMF飯野七聖だ。一瞬のスピードを生かした突破や、高いクロスの精度を武器とする右サイドのスペシャリストとして知られている。神戸は残り5試合中3試合が現1~3位のチームが相手となり、難しい試合を強いられることが予想される。しかし、エースFW大迫勇也に復調の兆しが見える今、アシスト役としても飯野にかかる期待は大きい。

【J1リーグ2022】下位8クラブ、残留のキーマンまとめ

14位:アビスパ福岡:山岸祐也

  • 勝ち点:31
  • 得失点差:-10
  • 残り試合数:4(神戸/札幌/柏/浦和)

ここまで9ゴールとアビスパ福岡でチームトップの得点を上げているFW山岸祐也。開幕前は前年J2得点王ルキアンが加入し、山岸へのスコアラーとしての期待値の序列は若干下だった。しかしフタを開けてみれば、得点ランキング1位に3ゴール差の活躍。特に直近の清水戦では2ゴールを上げ、負ければ降格がかなり近づいてしまう状況にあったチームの窮地を救って見せた。

残る4試合の相手は、いずれも今季リーグ戦で得点を取れていないチームばかり。元々強固な守備を誇る福岡なだけに、得点さえ取れれば残留が大きく近づくことは間違いない。だからこそトップスコアラーのさらなる活躍が求められる。

【J1リーグ2022】下位8クラブ、残留のキーマンまとめ

15位:湘南ベルマーレ:瀬川祐輔

  • 勝ち点:31
  • 得失点差:-13
  • 残り試合数:5(C大阪/東京/神戸/鳥栖/柏)

2018シーズンのJ1復帰以降、毎年のように残留争いに巻き込まれている湘南ベルマーレ。今シーズンもここまでリーグワーストの得点数が災いし、この終盤まで苦しんでいる。町野修斗やウェリントンといったスコアラーもいる中、攻撃の機会創出という面でも期待が大きいのはFW瀬川祐輔ではないだろうか。ここまで2ゴールと決して満足いく数字にはなっていないが、柏レイソル時代(2018-2021)からゴール前での落ち着いた判断力や、ワンタッチも含めたシュートの精度を武器に評価を高めてきた。失点はリーグ全体を見ても多いわけではなく中間的な位置にある湘南。攻撃面の課題を払拭するためにも、残り5試合で瀬川の真価が問われる。

【J1リーグ2022】下位8クラブ、残留のキーマンまとめ

16位:京都サンガ:上福元直人

  • 勝ち点:30
  • 得失点差:-7
  • 残り試合数:5(鳥栖/名古屋/川崎/C大阪/磐田)

現在プレーオフ圏と崖っぷちの京都サンガだが、勝ち点差は無いに等しいものとなっている。そんな拮抗した状況にあるからこそカギになるのが、守備範囲の広さとセービングに定評のある守護神、GK上福元直人だ。現状勝ち点「1」差で上にいる3チーム(神戸/福岡/湘南)はいずれも京都と状況が似ており、今シーズンは得点も少ないが失点も少ない。だからこそ、当然ながら勝ち点1でも確実に積み上げることと、並んだ場合の得失点差も考慮し失点数を抑えるためのキーマンとなるわけだ。上位クラブとの対戦も残しており、逆転優勝を狙う川崎やACL枠を狙うC大阪との対戦は、難しい展開が予想される。

守護神の能力でいかに得失点差のマイナスを減らせるかに注目だ。

【J1リーグ2022】下位8クラブ、残留のキーマンまとめ

17位:ガンバ大阪宇佐美貴史

  • 勝ち点:29
  • 得失点差:-15
  • 残り試合数:4(柏/横浜/磐田/鹿島)

ガンバ大阪下部組織の最高傑作と称され、まさにクラブの至宝と呼べるMF宇佐美貴史。今シーズンは3月にアキレス腱断裂の大怪我を負い試合から遠ざかっていたが、ここにきて復帰の兆しが見えつつあるようだ。現在のG大阪には元日本代表やJリーグでも多くの実績を持つ外国籍選手が在籍しており、戦力不足とは思えない。それでもチームの中心選手であり攻撃の核にもなれる宇佐美不在という事態が、今の状況を招いていると言えるほどG大阪にとってその存在は大きい。残り4試合中3試合が上位クラブが相手と、残留はハードなミッションとなる。しかし、この土壇場で宇佐美の復帰が叶うのであれば、必ずや救世主になってくれると期待が集まるのもエースの宿命と言えるだろう。

【J1リーグ2022】下位8クラブ、残留のキーマンまとめ

18位:ジュビロ磐田:鈴木雄斗

  • 勝ち点:24
  • 得失点差:-24
  • 残り試合数:5(清水/鹿島/横浜/G大阪/京都)

現在最も降格に近いジュビロ磐田。自動降格圏外となる16位京都との勝ち点差は「6」。さらにプレーオフ圏からも脱する15位湘南との勝ち点差は「7」と、残り試合数を考慮するとかなり厳しい。この状況下でキーマンとして挙げたいのがMF鈴木雄斗だ。開幕前に杉本健勇やジャーメイン良といった攻撃的な選手を補強し、移籍した昨年までのエース、ルキアンの穴を埋めようとしていた磐田。結果、攻撃陣はいまいち振るわない状態だが、その中でも鈴木はウイングバックが主戦場でありながら、5ゴール4アシストと高い攻撃力を見せている。

残り5試合、上位陣との対戦も残す中で残留争いの直接対決となる3試合(清水/G大阪/京都)は勝利が必須となる。ここ5試合で15失点と崩れる守備の面でも、鈴木の豊富な運動量が欠かせないものとなるだろう。

編集部おすすめ