2022/23シーズンのセリエA第16節が1月5日(日本時間)に行われ、インテルとナポリが対戦した。
後半11分、ヘンリク・ムヒタリアンのロングパスを受けたフェデリコ・ディマルコが左サイドを駆け上がり、ゴール前にクロスを供給。
このリードを守り抜いたインテルが最終スコア1-0で勝利。首位ナポリの今季のリーグ戦連続無敗記録を、“15”で止めている。
ネッラズーリ(黒と青)がいかにナポリの攻撃を封じ込め、勝利を手繰り寄せたのか。ここではこの点について解説する。

万全だったインテルの備え
自陣後方からパスを繋ごうとしたナポリに対し、インテルは緻密な守備で応戦。ナポリが[4-1-2-3]の基本布陣を崩さずにビルドアップを試みた際は、ジェコとロメル・ルカクの2トップが相手の2センターバック(アミル・ラフマニ、キム・ミンジェ)から中盤の底スタニスラフ・ロボツカへのパスコースを遮断した。
これと同時に、インテルのニコロ・バレッラがナポリのMFピオトル・ジエリンスキを、ムヒタリアンが相手MFアンドレ・フランク・ザンボ・アンギサをそれぞれ捕捉。このネッラズーリの守備により、ナポリは隊形変化を余儀なくされた。
ナポリはマティアス・オリベラとジョバンニ・ディ・ロレンツォの両サイドバックがハーフスペース(ピッチを縦に5分割した際の、左右の内側のレーン)に立ち、相手の守備をかき乱そうとしたものの、インテルの周到なプレッシングに苦しめられる。ムヒタリアンがザンボ・アンギサへのパスコースを塞ぎながらディ・ロレンツォに睨みをきかせる場面が見られたほか、バレッラも豊富なスタミナを活かし、独力でジエリンスキとオリベラを捕捉。基本布陣[3-1-4-2]の左右のセンターバック、ミラン・シュクリニアルとアレッサンドロ・バストーニもタイミング良く最終ラインから飛び出し、ザンボ・アンギサやジエリンスキに自由を与えなかった。

今季のセリエAで6得点を挙げているナポリの左ウイングFWクビチャ・クワラツヘリアにも、インテルのDFマッテオ・ダルミアンが密着し続けたほか、2センターバック間へ降りてビルドアップの起点になろうとしたロボツカには、ハカン・チャルハノールが適宜中盤の底から飛び出して対応。

ナポリを脅かしたインテルのビルドアップ
インテルはビルドアップ時に、最終ラインの隊形変化を多用。3バックの中央を務めたフランチェスコ・アチェルビがチャルハノールの隣へ上がり、シュクリニアルとバストーニ(左右のセンターバック)が横に開いてパスを受ける場面が多く見られた。
このインテルの隊形変化を受け、ナポリ陣営はジエリンスキを前線に上げ、FWビクター・オシムヘンとのコンビでシュクリニアルとバストーニにプレスをかけようとしたものの、ネッラズーリがGKアンドレ・オナナをビルドアップに参加させたうえ、ジェコとルカクの長身2トップへの中・長距離パスを織り交ぜたことで、ボールの奪いどころを定めきれず。前半1分にオナナのロングパスが早速ルカクに繋がったほか、同3分にも自陣後方からルカクに惜しいパスが供給された。
インテルの隊形変化に惑わされ続けたナポリは、同26分にプレスのかけ始めのタイミングを逸し、シュクリニアルのボール運搬を許す。この隙を逃さなかったシュクリニアルがルカクへ縦パスを送ると、ボールはナポリ陣営のペナルティエリアに到達。最終的にダルミアンがゴールエリアの手前で惜しいシュートを放っている。試合全体を通じ、インテルのビルドアップはナポリにとって脅威となっていた。
緻密な攻守で上位対決を制し、首位ナポリとの勝ち点差“8”の4位に浮上したインテル。今季のスクデット争いを盛り上げる存在となりそうだ。