アビスパ福岡は、2023シーズンの明治安田生命J1リーグ開幕戦(対ヴィッセル神戸)を2月18日に控えるなか、14日、雁の巣レクリエーションセンター(福岡市東区)で開幕前最後となる公開練習を実施した。選手たちは時折笑顔も見られるリラックスした表情で、約1時間半に渡って汗を流した。
チームは前向きな声かけが多く、活気溢れる雰囲気。基礎練習からパスでの繋ぎを意識したメニューが多く、昨2022シーズンリーグ最少に終わった得点数増加への意識を感じさせた。
同練習後現地での、DF奈良竜樹、MF紺野和也、FWルキアンのコメントを紹介する。

DF奈良竜樹
2021年1月に鹿島アントラーズから期限付きで福岡に加入し、2021シーズン終了後完全移籍となったDF奈良竜樹。2023シーズンからは、MF前寛之の後継者としてキャプテンに就任した。
キャプテンとしての2023シーズン
「福岡に来て初めてのリハビリではない開幕前(ここまで2シーズンの開幕戦は負傷でプレーできず)なので、サッカーができていることに幸せを感じている。いよいよ始まるんだなというワクワクと、気が引き締まるような思い」
「(今季に向けては)全員でハードワークして粘り強く戦うというチームのベースは変わらないし、新しく加わった選手の色や武器がチームにプラスされて、質と強度を研ぎ澄まして戦っていくシーズンになると思う。得点はディフェンスの選手を含めた全員が意識を持って望んでいければ、少しずつ改善できるのではないか」
「個で局面を変えてくれる選手は去ってしまったが、新しく加入した選手はより周りとの関係のなかで良さを発揮してくれる。チームとして関わりのなかで攻撃することは、キャンプから取り組んでいる部分。いきなりすべてが上手くはいかないが、去年よりもチームとして意識できている。守備は今までやってきたことは変わらないが、長谷部監督から『失点数(の少なさ)で1位を目指そう』という話があったので、チームとして失点を減らせるかに引き続きトライしていきたい」
「(キャプテンとしては)特別何かが変わってはいないが、前任の前(寛之)とは札幌でも一緒にプレーして気軽に相談できる相手でもあるし、話しながらやっていけたらいい」
「チームの雰囲気がアットホームで仲が良いので、僕が特別なことをやらなくても歓迎する空気がある。特段何かに取り組んではいないが、それぞれの良さがチームの武器になるように、それぞれと話をしている。ピッチ外ではあまり話すほうではないが、ピッチの中でチームに溶け込めてそれぞれの武器がチームの武器になるように、シーズン通してやっていきたい」
開幕戦、神戸には組織力で対抗
「神戸には大迫(勇也)選手だったり武藤(嘉紀)選手だったり、1人で勝負を決めてしまえる素晴らしい選手がたくさんいる。僕たちは個はもちろん組織力で対抗していくと思いますし、J1のチームはどこにも素晴らしい選手がいるなかで、良いシーズンの入りができるように良い準備をして、立ち向かっていけるように」
「ヴィッセル神戸のホームでの試合で先に点を取られてしまうと相手の雰囲気に呑まれかねかいので、粘り強く戦って、組織力を維持し続けられるか。相手に気持ちよくプレーさせないかが大事になると思う」
「(開幕戦は)昨年はアディショナルタイムまでリードしていて追いつかれて、一昨年は負けてしまって、2年連続で勝てていないので、今年は勝って良いスタートを切れるように。
サポーターに向けて
「昨シーズンは個人としてもチームとしても苦しい状況があったなかでサポーターの支えがあって、今年またJ1で戦えることにワクワクしている。たくさんの方がスタジアムに駆けつけてくれることを願っているし、たくさんの方が観たいと思うような試合ができるよう頑張りますので、お互い支え合って熱い1年にしましょう」

MF紺野和也
2023シーズンよりFC東京から新たに加入し、右サイドハーフでの活躍が期待されるMF紺野和也。法政大学時代(2016-2019)にはメッシにも例えられたドリブラーである。この日の練習でも技術の高さを感じさせ、コメントでは自信を示した。
良いイメージで勝利に貢献したい
「開幕を迎えるのが楽しみですし、シーズン始まってから良い準備ができていてチームも良い雰囲気なので、勝てるイメージはできている。移籍して新しい気持ちで、良いイメージでシーズンに入れると思う」
「福岡に来て雰囲気の良さと一体感を1番に感じて、それが強みだと思います。ピッチ外では人見知りで知り合いもいなかったので不安だったが、皆が話しかけてくれて打ち解けられました。ピッチでは話せるので、自分のプレーを知ってもらうために練習から積極的に発言するようにしています」
「練習試合から良いコンビネーションが出ているので、それをそのまま試合で出せれば得点力も上がると思っている。(コンディションは)まだ100%ではないが上がってきているので、開幕戦に向けて上げていけたら。自分の力を出して、1つでも多くチャンスを作り、得点やアシストの数字を残せれば良い」
「(自分の武器については)サイドでのドリブルやスルーパス、クロス、シュート。特にアタッキングサードでのプレーを見てほしい」
「(開幕戦について)ヴィッセル神戸はスター選手が多く難しい試合になるが、福岡にも良い選手がたくさんいる。

FWルキアン
ジュビロ磐田(2019-2021)から昨2022シーズン福岡に加わり、攻守に献身性を示したブラジル人FWルキアン。同選手もまた2023シーズンに向けて、また開幕神戸戦に向けて、前向きなコメントを残している。
新加入選手との連携も良好
「トレーニングが始まって今まで良い雰囲気でできているし、新加入選手は良い選手が揃っていてプラスの力になっている。自分自身もコンディションが良くて、昨年以上にチームのやり方やクラブの歴史を詳しく知れている。いろいろな距離感が近づき、楽しみでやってやろうと思っているし(開幕が)待ち遠しい」
「チームとして連携を高めているし、得点のためには前線の選手との連携も大事。新加入の佐藤(凌我)や紺野とはポジションが近く、コミュニケーションを取っている。より状態が良い選手を使うという共通の意識を持っているので、選手としても人間としてもやりやすい。(アビスパは)全員で守って全員で攻撃というスタイルなので、昨年からいる選手と加わった選手も含めて、より多くの得点を取れるという自信がある」
「福岡に来る前は(磐田で)J2得点王やJ2優勝して、選手として輝かしい1年のあと移籍したが、自分にプレッシャーをかけてしまったことが反省点。今年は自分がどういう選手か、どういうプレーができるか、周りの選手がより分かってくれているので順調にきている。シーズンを通してより多くの得点を取れるという、自信も気持ちもある」
「(開幕戦について)神戸は各国を代表する選手が揃っているが、自分たちが何をやるべきかにフォーカスしたい。我々の力を出せれば良い試合ができて、勝ち点3を狙える、良い結果を持って帰れると思っている。我々は1人1人の役割がはっきりしているので、役割を果たせば多くのチャンスが作れる。
「(サポーターに向けて)昨シーズンはどんな時も暖かい声をいただき、1シーズンを戦い抜けました。今年もそれ以上に暖かい、熱いサポートを期待していますし、自分自身もチームのために戦って勝利を届けることが恩返しだと思っています。昨年以上のルキアンを期待してもらえれば。期待に応えられるように、たくさんのゴール、たくさんの勝利で恩返したい」
解説者らの順位予想では、アビスパ福岡は残留争いに巻き込まれるというものが多い。ただし昨シーズンの苦戦は、夏場の新型コロナウイルスの蔓延が大きく影響したためのもの。持ち前の堅守に攻撃のアクセントを加え、チームは2021シーズンに達成した8位以上を目指している。