1993年に開幕したJリーグは今年(2023年)で30周年を迎えた。現在では全60ものクラブがJ1~J3リーグに所属し、毎年、優勝や昇格残留をかけてしのぎを削っている。
そんな群雄割拠のリーグだが、過去の順位表から1つの傾向が見えてきた。ここでは5年、10年、20年、30年と過去の順位表を振り返り、J1で継続的に上位争いをするクラブの傾向をまとめた。

【5年前】2018シーズンのJ1リーグ順位表
順位:チーム(勝ち点)
川崎フロンターレが2連覇を達成した2018シーズン。順位表が2023シーズンのものだと言われても、ほとんど違和感のない上位陣である。川崎を筆頭に、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズなど近年上位争いの常連クラブが名を連ねている。
下位まで見ても、2018年にJ1所属で、現在J2以下なのは清水エスパルス、ベガルタ仙台、ジュビロ磐田、V・ファーレン長崎の4クラブのみである。反対に、2018年はJ1に入っておらず、現在J1に所属しているのはアビスパ福岡、アルビレックス新潟、京都サンガ、横浜FCの4クラブだ。
2023シーズン第14節終了時点の順位表を見ると、この4クラブのうちトップハーフ(9位以上)にいるのは9位のアビスパ福岡のみ。急激に力を付けることが、そう簡単でないことを示す結果となっている。

【10年前】2013シーズンのJ1リーグ順位表
順位:チーム(勝ち点)
サンフレッチェ広島が優勝した10年前の2013シーズンまで戻ってみても、意外なほどに変化は少ない。現在J1に所属していないのは清水エスパルス、ベガルタ仙台、大宮アルディージャ、ヴァンフォーレ甲府、ジュビロ磐田、大分トリニータの6クラブ。そのいずれもが2013シーズンは9位以下と上位争いに絡めず、多くが残留争いに巻き込まれていた。その後、降格の憂き目にあっており、定位置から抜け出し徐々に順位を上げることの難しさが分かる。

【20年前】2003シーズンのJ1リーグ順位表
順位:チーム(勝ち点)
横浜F・マリノスが制した20年前の2003シーズンまで戻ると、ようやく大きな変化が見られる。この年上位に入っていたクラブのうち、ジュビロ磐田とジェフユナイテッド市原は現在J2に所属している。
また、現在J1上位争いの常連である川崎フロンターレの名は見当たらない。ちなみに川崎は2004年に2度目のJ1昇格を達成。しかしその後はなかなか優勝できず、2位止まりが多かったため「シルバーコレクター」と揶揄されるほど。悲願のJ1優勝は2017まで待たなければならなかった。

【30年前】1993シーズンの年間総合順位表
順位:チーム(勝/負)
前年にプレ大会として開催されたJリーグヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)を経て迎えた記念すべきJリーグ初年度の1993年。
当時は勝利数で順位が決定されており、勝ち点計算でないため順位表にも勝ち点の表記はない。第1ステージ「サントリーシリーズ」を制した鹿島アントラーズと、第2ステージ「日本信販・NICOSシリーズ」を制したヴェルディ川崎による「Jリーグサントリーチャンピオンシップ」が行われ、ヴェルディ川崎が年間王者となっている。
初年度の10クラブ「オリジナル10」のうち、ヴェルディ川崎と清水エスパルス、横浜フリューゲルス、ジェフユナイテッド市原を除く6クラブは現在もJ1に所属しており、やはり30年の経験は伊達ではないということなのだろう。

継続は力なり!第2の川崎フロンターレはどこに?
近年毎年のように上位争いに絡む横浜F・マリノスや鹿島アントラーズ、サンフレッチェ広島、名古屋グランパスなどはいずれもオリジナル10のクラブ。過去に複数回優勝しているジュビロ磐田やガンバ大阪などもオリジナル10だ。全てのクラブが努力を続ける中で、この事実は伝統と継続の重要性を示している。
唯一、2017シーズン以降4回の優勝を誇る川崎フロンターレは、1999年にJ2へ参入したクラブである。
現在首位に立つヴィッセル神戸も、2014シーズンからJ1に所属し続け積極的な補強で2021シーズンには3位に入るなど上積みを続けてきた。神戸が新たな成功例となるのか、はたまた北海道コンサドーレ札幌、サガン鳥栖、アビスパ福岡などのプロビンチャ(地方都市のクラブ)が新時代のモデルケースとなるのか。
いずれにせよ、J1での成功には「J1に長年残り」「上積みし続ける」ことが欠かせない。新たな30年でどのような変化が起こるのか、今後も楽しみは尽きない。