プレミアリーグのリバプールが、記念すべき同リーグ初優勝を果たしたのは2019/20シーズン。チャンピオンチームとして戦った翌2020/21シーズンは、日本代表FW南野拓実(現ASモナコ)も所属し(2020-2022)大きな注目を集めた。

同2020/21シーズンは、新型コロナの影響で無観客試合が行われたり試合が中止されるなど環境による変化が激しく、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)を同時に戦うリバプールでは怪我人も続出。かなり厳しい状況の中、結果的にリーグ3位の成績を残しフィニッシュしている。

ここではリバプールが今月公式SNSで選出した、記念すべき2020/21シーズンの印象的な10ゴールについて振り返ってみよう。クラブの通算10,000ゴールというメモリアルゴールや、南野のプレミア初ゴールも含まれている。

南野拓実も選出!リバプールの王者シーズンにおける鮮烈10ゴール

プレミアリーグ第1節:モハメド・サラー

  • 試合:2020/21プレミアリーグ第1節(2020年9月12日)
  • 対戦相手:リーズ・ユナイテッド
  • 結果:リバプール(H)4-3リーズ(A)
  • 選出ゴールシーン:88分

2020/21シーズンは、プレミアリーグ開幕戦からゴールの奪い合い。リーズ・ユナイテッドとの開幕戦開始4分、FWモハメド・サラーによるPKでリバプールが先制するも、その後は両チームが交互にゴールを奪い合う展開が続いた。サラーは38分にもゴール。そして終盤の88分、この日2回目のPKであり、ハットトリックを達成したサラー。撃ち合いを制した3ゴール目が選出されている。

南野拓実も選出!リバプールの王者シーズンにおける鮮烈10ゴール

CLグループステージ第2節:ディオゴ・ジョッタ

  • 試合:2020/21CLグループステージ第2節(2020年10月27日)
  • 対戦相手:ミッティラン
  • 結果:リバプール(H)2-0ミッティラン(A)
  • 選出ゴールシーン:55分

ユルゲン・クロップ監督が多くの主力選手をベンチスタートさせたこのCLミッティラン戦。前半を0-0で折り返し、迎えた55分にスコアは動いた。DFトレント・アレクサンダー=アーノルドがMFジェルダン・シャチリ(現シカゴ・ファイアー)とのワンツーから抜け出しクロスをあげると、それをFWディオゴ・ジョッタが合わせて先制。リバプールデビューシーズンのジョッタが決めたこのゴールは、クラブにとって通算10,000ゴール目という記念すべきゴールとなった。

南野拓実も選出!リバプールの王者シーズンにおける鮮烈10ゴール

CLグループステージ第5節:カーティス・ジョーンズ

  • 試合:2020/21CLグループステージ第5節(2020年12月1日)
  • 対戦相手:アヤックス
  • 結果:リバプール(H)1-0アヤックス(A)
  • 選出ゴールシーン:58分

2020/21シーズン、怪我人続出のリバプールを救ったのは下部組織出身の選手たち。このCLアヤックス戦では、3人のアカデミー出身選手(GKクィービーン・ケレハー、DFネコ・ウィリアムズ、MFカーティス・ジョーンズ)が先発に名を連ねた。

前半からボールを握られたリバプールは、0-0で前半を折り返す。後半開始早々に大ピンチを迎えたが、ケレハーがビックセーブ。そして58分、ウィリアムズ(現ノッティンガム・フォレスト)による左足のクロスがアヤックスのGKアンドレ・オナナ(現インテル)の頭上を超え、そこに走り込んで来たジョーンズが無人のゴールへシュート。終盤には再びケレハーがスーパーセーブを見せ、無失点でCLグループステージ1位突破を確定させた。

南野拓実も選出!リバプールの王者シーズンにおける鮮烈10ゴール

プレミアリーグ第13節:ロベルト・フィルミーノ

  • 試合:2020/21プレミアリーグ第13節(2020年12月16日)
  • 対戦相手:トッテナム・ホットスパー
  • 結果:リバプール(H)2-1トッテナム(A)
  • 選出ゴールシーン:90分

プレミアリーグ第13節時点で2位に位置していたリバプール。ホームのアンフィールドで首位トッテナムと対戦。同試合でリーグデビューを果たしたアカデミー出身のDFリース・ウィリアムズは、トッテナムのFWソン・フンミンとFWハリー・ケインを相手にうまく対応し、空中戦の強さを見せるなど持ち前のポテンシャルを発揮した。

リバプールがボールを保持し、トッテナムは守りを固め常にカウンターを狙い続ける。26分にサラーのシュートが相手にあたってそのままゴールでリバプール先制。33分、トッテナムがカウンターからの得点ですぐさま同点に。このまま終了すると思われた90分、コーナーキックをFWロベルト・フィルミーノが頭で合わせて劇的な決定ゴール。これでリバプールが首位奪還を決めた。フィルミーノは自陣ゴール側にいるサポーターに向かって走っていくパフォーマンスを披露した。

南野拓実も選出!リバプールの王者シーズンにおける鮮烈10ゴール

プレミアリーグ第14節:南野拓実

  • 試合:2020/21プレミアリーグ第14節(2020年12月19日)
  • 対戦相手:クリスタル・パレス
  • 結果:リバプール(A)7-0クリスタル・パレス(H)
  • 選出ゴールシーン:3分

FWサディオ・マネ(現バイエルン・ミュンヘン)、フィルミーノと3トップを組んだ南野。大量7ゴールを奪い勝利した同プレミアリーグ第14節で、ファーストゴールを決めた。ペナルティーエリア内でマネからパスをもらうと、キックフェイントから相手をかわしてシュート。南野は試合後このゴールについて「サディオ(マネ)からのボールを受け取った時、相手がブロックしに来ると感じました。でも、考えている時間はなかったので、ただ直感を信じてシュートしました」と語った。これが自身プレミア初ゴールとなった。

南野拓実も選出!リバプールの王者シーズンにおける鮮烈10ゴール

プレミアリーグ第20節:サディオ・マネ

  • 試合:2020/21プレミアリーグ第20節(2021年1月28日)
  • 対戦相手:トッテナム・ホットスパー
  • 結果:リバプール(A)3-1トッテナム(H)
  • 選出ゴールシーン:65分

開幕から調子の良かった2020/21シーズンのリバプールだったが、中盤で失速。リーグ4試合無得点、5試合連続未勝利と厳しい状況に。第20節のこの試合も、前半はスコアレスで終了すると思われたが、ロスタイムにMFジョーダン・ヘンダーソンのロングフィードを相手守備陣の裏に抜けたマネが胸トラップして中にクロス。それをフィルミーノがゴールに流し込んで先制した。

後半開始早々アーノルドが追加点を決めるも、すぐさまトッテナムMFピエール・エミール・ホイビュルクのゴールで2-1に。6試合振りの勝利に向けもう1ゴールが欲しいリバプールは65分、アーノルドのクロスをトッテナムDFジョー・ロドン(現スタッド・レンヌ)がクリアしきれず、そのボールをマネが左足でゴールへ突き刺し、勝利への大きな3ゴール目を決めた。リバプールは暫定4位に浮上した。

南野拓実も選出!リバプールの王者シーズンにおける鮮烈10ゴール

プレミアリーグ第21節:ジョルジニオ・ワイナルドゥム

  • 試合:2020/21プレミアリーグ第21節(2021年1月31日)
  • 対戦相手:ウェストハム・ユナイテッド
  • 結果:リバプール(A)3-1ウェストハム(H)
  • 選出ゴールシーン:84分

前節で6試合振りに勝利を手にしたリバプールは、同プレミアリーグ第21節で4連勝中と好調なウェストハム・ユナイテッドと対戦。守るウェストハム、攻めるリバプールの構図も前半はスコアレスで終了。

後半12分、リバプールはMFジェイムズ・ミルナー(現ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン)に代えてMFカーティス・ジョーンズを投入。これに不満だったミルナーがクロップ監督に交代の説明を求めるが、直後にジョーンズが起点となりサラーが先制点を決めると、両者は笑いながら抱擁を交わした。

68分、アーノルド、シャチリ、サラーの3人によるプレミアリーグ史上最高のカウンターが決まる。ウェストハムのコーナーキックをクリアしてからゴールまでわずか15秒。その間に触った回数は7回のみだ。そして84分には、フィルミーノがMFアレックス・オックスレイド=チェンバレンとのワンツーで抜け出すと、ゴール前に位置したMFジョルジニオ・ワイナルドゥム(現ASローマ)にパスして3-0にした。

この時、フィルミーノとワイナルドゥムは、長期離脱しているDFフィルジル・ファン・ダイクがよくするゴールパフォーマンスを真似た。このファン・ダイクに向けたゴールが選ばれている。

南野拓実も選出!リバプールの王者シーズンにおける鮮烈10ゴール

プレミアリーグ第31節:トレント・アレクサンダー=アーノルド

  • 試合:2020/21プレミアリーグ第31節(2021年4月10日)
  • 対戦相手:アストン・ビラ
  • 試合結果:リバプール(H)2-1アストン・ビラ(A)
  • 選出ゴールシーン:91分

低迷中のリバプールは、前述のプレミアリーグ第13節トッテナム戦以来ホームゲーム未勝利だった。第31節のこの試合でも、ボールを保持しながらチャンスを掴むことができず。前半終了間際には、アストン・ビラのFWオリー・ワトキンスにゴールを許した。ハーフタイム時は、リバプールがアンフィールドでゴールできなくなって753分が経過したことを意味していた。

後半、ようやくこの不名誉な記録が破られる。

57分、DFアンドリュー・ロバートソンが放ったシュートのこぼれ球をサラーが頭で押し込み同点に。終盤、勝利に向けあと1ゴール欲しいリバプールは波状攻撃を仕掛ける。何度も弾き返されるも、ペナルティエリアの少し外でアーノルドがボールを持つと、そのまま右足一閃。強烈なシュートがゴールネットを揺らし、115日振りにアンフィールドでの勝利をもたらした。

南野拓実も選出!リバプールの王者シーズンにおける鮮烈10ゴール

プレミアリーグ第34節:モハメド・サラー

  • 試合:2020/21プレミアリーグ第34節延期分(2021年5月13日)
  • 対戦相手:マンチェスター・ユナイテッド
  • 試合結果:リバプール(A)4-2マンU(H)
  • 選出ゴールシーン:90分

プレミアリーグ第34節は同シーズン相性の悪いマンチェスター・ユナイテッドと対戦。第19節、FAカップ4回戦でいずれも敗北を喫していた。次シーズンのCL出場権獲得(4位以内)に向け、この時点6位のリバプールは少しでも勝利が欲しかった。

好調ユナイテッドは開始10分、MFブルーノ・フェルナンデスがアウトサイドのシュートを放つと、それをブロックしようとしたDFナサニエル・フィリップスにあたって先制。リバプールは34分、フィリップスがコーナーキックのこぼれ球を拾いペナルティエリア(PA)内でゴール方向に蹴ると、ジョッタがワンタッチでコースをずらし同点へ。

後半47分、得意のハイプレスからボールを奪ったアーノルドがPA右からシュートし、ユナイテッドGKディーン・ヘンダーソン(現ノッティンガム・フォレスト)に弾かれるも、こぼれ球をフィルミーノが押し込む。さらに48分、アーノルドのフリーキックをフィルミーノが頭で合わせ3-1に。すると68分、ユナイテッドのFWマーカス・ラッシュフォードが瞬く間に1点差にした。

試合終盤90分、カウンターのチャンスを見逃さなかったのはリバプール。

ジョーンズがハーフウェーラインにいるサラーにスルーパス。そのままゴールに突き進んだサラーがGKとの1対1を冷静に決め、4-2で勝利。これでユナイテッドのホーム、オールド・トラッフォードにおいて、なんと100年振りに2試合連続得点するリバプールの選手となったサラー。同シーズン公式戦30点目でもあった。

南野拓実も選出!リバプールの王者シーズンにおける鮮烈10ゴール

プレミアリーグ第36節:アリソン・ベッカー

  • 試合:2020/21プレミアリーグ第36節(2021年5月16日)
  • 対戦相手:ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン
  • 試合結果:リバプール(A)2-1WBA(H)
  • 選出ゴールシーン:95分

プレミアリーグ第36節。残り3試合にして5位のリバプールは、既に2部降格が決まっていたウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(WBA)と対戦。開始15分、先制点を決めたのはWBAだった。リバプールは33分、すぐさま同点に追いついた。マネが触った相手のパスがサラーのもとへこぼれると、迷わずダイレクトにシュート。

その後リバプールは何度も決定機を創り出すもスコアは変わらず。後半ロスタイムの95分、コーナーキックのチャンスを得てGKアリソン・ベッカー含めた全員が攻撃に参加。するとここでドラマが起こる。

アーノルドが蹴ったボールを、なんとアリソンが頭で流し込み逆転に成功。プロ初ゴールを決めた。

アリソンは、プレミアリーグでゴールを決めた史上6人目のGKに。リバプールでは創設から129年という長い歴史の中でGKがヘディングで得点した例はなく、決勝ゴールを決めたGKもただ1人。試合後のインタビューでは、水難事故によって2021年2月にこの世を去った父への想いを口にして涙を浮かべた。

この歴史に名を刻んだゴールにより、リーグ4位のチェルシーに勝ち点差1まで迫ると、リバプールは最終的には3位で2020/21シーズンを終えた。

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