シーズン最終盤を迎えた2023明治安田生命J2リーグ。優勝争い、自動昇格圏争いのほか、大混戦のプレーオフ圏争い、そして残留争いとまだまだ結末の見えない戦いが続く。

そんな見どころ満載のJ2リーグで、今2023シーズン存在感を見せているのが、各クラブの大卒ルーキーたちだ。昨シーズン以前から特別指定選手としてクラブに所属していた選手もいるが、若くして多くの出場機会を掴み活躍している姿に寄せられる期待は大きい。

ここでは、すでにチームにとって欠かせない存在となっている将来有望な大卒ルーキーたちを5名紹介していく。

【J2リーグ2023】すでに欠かせない戦力となっている大卒ルーキー5選

平河悠(町田ゼルビア)

山梨学院大学在学中の2021年から2シーズンにわたる特別指定期間を経て、今2023シーズンから正式加入となったFW平河悠。すでに町田ゼルビアの主軸として活躍している。今季に向け、監督交代のほか多数の新戦力加入があったチームの中で、ここまで34試合に出場し常に大きな存在感を示してきた。6月には欧州遠征に臨むU-22代表にも初招集され、平河にとってまさに飛躍の年であることは言うまでもない。

チームでは主に右サイドで起用され、積極的な仕掛けと突破で多くのチャンスを演出。5ゴール4アシストと数字の上でも申し分ない働きでJ1昇格に大きく貢献している。その活躍ぶりと成長度合いを見れば、海外を含めて他クラブから熱視線が注がれていても不思議はない。だが、町田にとってはエースとして君臨するFWエリキと同じくらい欠かせない選手であることもまた事実。来季はパリ五輪のメンバー入りも懸かる重要なシーズン。まずはこのまま町田の一員としてJ1でも成果を上げ、自身の真価を示してほしいものだ。

【J2リーグ2023】すでに欠かせない戦力となっている大卒ルーキー5選

小森飛絢(ジェフユナイテッド市原・千葉)

開幕戦では勝利を収めたものの、第2節以降は8戦勝ち無しと大きく出遅れた2023シーズンのジェフユナイテッド市原・千葉。苦しんだ序盤も含め今季12ゴールを挙げ、目に見える結果を残しチームを牽引しているのがFW小森飛絢(新潟医療福祉大卒)だ。今季13ゴールを挙げていた藤枝MYFCのFW渡邉りょうが夏にJ1のセレッソ大阪へ移籍したため、現在J2所属の選手に限定すると、小森は大卒ルーキーながら得点ランキングで日本人トップタイに立っている。

得点力はもちろん、前線でタメを作る働きも可能。直近の4ゲームはいずれも途中出場となっているが、それでも1ゴール1アシストと輝きを放ち続けている小森。残念ながら得失点差の影響で、実質自動昇格圏争いからは脱落してしまった千葉だが、まだプレーオフのチャンスは残っている。15年ぶりとなる悲願のJ1復帰を成し遂げるためにも、大卒のルーキーストライカーに懸かる期待は更に増していくに違いない。

【J2リーグ2023】すでに欠かせない戦力となっている大卒ルーキー5選

井上詩音(ヴァンフォーレ甲府

昨2022シーズンはリーグ戦こそ18位と惨敗したが、天皇杯を制しクラブ史上初めて国内3大タイトルの1つを手にしたヴァンフォーレ甲府。自信を胸に挑んでいる今2023シーズンはここまで7位と、自動昇格圏入りの可能性は潰えたが、プレーオフ圏入りまではあと一歩というところで最終盤を迎えている。

そんな甲府において、専修大学を卒業したばかりのDF井上詩音はルーキーながら安定感のある働きを見せている。比較的年齢の近い選手も含めたポジション争いの中、ここまでは27試合にスタメン出場。J1復帰を目指すチームで守備の一角を担っている。身体能力が極めて高く、空中戦や1対1の場面では抜群の強さを見せる。リーグ戦だけでなく、ACL(チャンピオンズリーグ)でも出番を得て成長著しい井上。

残り3節、6年ぶりのJ1復帰を目指す甲府にとって欠かせない守備の要であることは間違いない。

【J2リーグ2023】すでに欠かせない戦力となっている大卒ルーキー5選

髙田椋汰(ブラウブリッツ秋田

今2023シーズン序盤、6戦負けしと快調な滑り出しを見せたブラウブリッツ秋田。ダークホースとしての躍進も期待されたがその後は勝ちきれない試合も多く、最終盤に来て13位と直近2年と同じような順位でフィニッシュする可能性が高くなってきた。そんな中、シーズンを通して大きな収穫と言える要素の1つが、大卒ルーキーDF髙田椋汰(阪南大卒)の成長ではないだろうか。

昨2022年もチームに属してはいたが、特別指定選手ということもあり出場はわずかに2試合のみだった。しかし、今季は開幕からスタメンフル出場を続け、今や出場時間はフィールドプレーヤーでチームトップ。紛うことなき主力選手としてチームを支えてきた。セットプレーキッカーも任されるほど精度の高いキックに、突破力、ロングスローとサイドの選手として持っていてほしい能力をいくつも兼ね備えている。さらに、対人ディフェンスの強さを武器に守備でも躍動。このまま秋田に残るのであれば、2年目の来季は若手としてではなく、チームの核として見られることになるだろう。

【J2リーグ2023】すでに欠かせない戦力となっている大卒ルーキー5選

高柳郁弥(大宮アルディージャ

昨季に続いて残留争いに巻き込まれている2023シーズンの大宮アルディージャ。第9節のザスパクサツ群馬戦から第23節の町田戦まで15戦未勝利と、一時期はJ3降格の最有力候補と目されたほどだったが、この最終盤に来て4連勝。残り3戦は上位との対戦になるが、残留に向けて光が見えつつある。

そんな苦難のシーズンを送ってきた大宮を支えるのが東洋大学卒業のルーキーMF高柳郁弥だ。

もともとは大宮の下部組織育ちであり、特別指定を経て大宮へ正式加入。ここまで33試合と多くの出場機会を得てチームの中軸を務めてきた。加えて、ここまで4アシストはチームトップの数字。視野の広さと正確なパスを供給できる技術の高さを見せ、セットプレーでもキック精度を存分に生かして存在感を発揮している。直近の連勝により、達成すればのちに「奇跡」と呼ばれるような残留劇が現実味を帯びてきた。とはいえ、残り3戦の相手はいずれも自動昇格圏あるいはプレーオフ圏争いの渦中にいる難敵ばかり。J3降格を回避し来季に向けて希望を見出すためにも、新星高柳のチャンスメイクは必要不可欠と言えよう。

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