町田ゼルビアの初優勝で幕を閉じた2023明治安田生命J2リーグ。残り1つの昇格枠を争うプレーオフに注目が集まる中、多くのクラブは来季の編成やスタッフ人事に話題がシフトしている。
金沢は、開幕から4連敗を喫したもののその後は3連勝。以降の連勝もあったが、第30節のロアッソ熊本戦以降は1度も勝利することなくシーズンを終えている。1年でのJ2復帰を目指すにあたり、いかに戦力を維持あるいは増強して新シーズンに臨めるかがカギとなる。もちろん、すべての選手が重要な戦力であることに変わりはないが、とりわけ今季活躍した選手を手放せば立て直しは困難となるだろう。
ここでは、今季活躍した選手を中心に、金沢が絶対に流出を阻止すべき選手を5名ランキング形式で紹介していく。なお、期限付き移籍中の選手については対象外とする。

5位:長峰祐斗
昨2022年はルーキーイヤーながらも36試合に出場し存在感を示したDF長峰祐斗。今季もDFレオ・バイーアとのポジション争いがありながら、28試合と多くの出場機会を得た。残念ながら昨季のようにアシストでの貢献はできなかったが、ロングスローや精度の高いキックでチャンスを作っていた。
天皇杯(JFA全日本サッカー選手権大会)2回戦の町田ゼルビア戦では、チームは敗れたものの長峰はプロ2年目で初ゴールもマーク。思うように数字につながらずとも攻撃面での持ち味は発揮できていたと言えよう。一方、危険な位置でのボールロストなど、守備面では課題が見て取れる。

4位:石原崇兆
今季の新戦力でもあったMF石原崇兆。先発出場は全試合の半数ほどだったが、それでも36試合に出場し1ゴール3アシストをマーク。ベテランらしい丁寧なプレーでチームに貢献してきた。特に第5節、チームが今季初勝利を挙げたレノファ山口戦(5-2)では、自身のゴールこそなかったものの2アシストをマーク。さらに、PK獲得につながるパスや4点目のゴールにつながるシュートなど大暴れで4ゴールに関わり、自身の持ち味を存分に発揮して健在ぶりを示していた。
もちろん、その他の試合においても出場すれば急所を狙ったパスや鋭いクロスで多くのチャンスを演出している。過去J1やJ2など金沢を含め4クラブを渡り歩いた経験と主に攻撃時に真価を発揮する能力から、31歳ながら争奪戦が起きても不思議はない選手。チーム残留が叶えば間違いなく頼れる存在になり得ることから、手放せない選手4位とした。

3位:藤村慶太
金沢での6シーズン目を迎えたMF藤村慶太。今季も39試合に出場しそのほとんどがスタメンフル出場。もちろん出場時間はチーム内最長を誇る紛うことなきチームの中軸だ。魅力は今季も大きな武器となっていたキック精度の高さ。
金沢でも在籍年数の長い選手となるだけに、J3降格の責任も感じていることだろう。声をかけるクラブも少なからずあるだろうが、金沢というチームを熟知する選手の1人として、チャンスを演出できる大きな存在感も含め手放せない選手3位とした。

2位:林誠道
昨2022シーズンのチームトップスコアラーであり、J2リーグ全体を見ても4番目に多い13ゴールを挙げたFW林誠道。今季は背番号9を背負い、昨年以上の得点を期待されたが7ゴールにとどまった。とはいえ、これまでと変わらず攻撃での貢献度は高く、くさびのパスを受けてボールを収め正確につなぐ技術などゲームメイクでも持ち味を発揮。また、前線から積極的なプレスでのボール奪取や献身的なプレスバックなど守備面でも欠かせない存在であったことは間違いない。
単純な数字で比較してしまえば、昨季ほどゴールに関わる働きは果たせなかった林。しかし、確かな技術で攻撃の始点と終点を司る能力に加え、守備面での貢献は高く評価されて然るべきであることから、手放せない選手2位とした。

1位:加藤潤也
金沢が手放せない選手の1位には、チームトップタイとなる9ゴールと2つのアシストで攻撃を牽引してきたMF加藤潤也を挙げたい。今季ザスパクサツ群馬から加入した新戦力ながら、39試合とほぼすべてのゲームに出場し苦しむチームを支えてきた。敵陣でも高いキープ力を発揮し、ボールを持てば周囲にスピード感をもたらして丁寧なパスでそれを活かす。
特にアタッキングサードでのプレー精度の高さは、J2他クラブの選手と比較してもトップクラスと言えよう。それだけに、J2はもとよりJ1クラブから声がかかっても不思議はない。能力はもちろん、ガイナーレ鳥取でJ3も経験済み。何としても1年でJ2に復帰したい金沢にとって、これほど頼れる存在もいないであろうことから、手放せない選手1位とした。