初戦ブレントフォードとの試合では、3-4-2-1の右シャドーをベースポジションとして先発出場し、70分間プレーした後FWジョルダン・アイェウと交代。第2節のウェストハム・ユナイテッド戦ではベンチスタートだったものの、63分にMFジェフェルソン・レルマに代わりボランチでの出場となった。
シャドーとボランチで求められる役割は当然異なるが、鎌田がより活躍できるのはどのポジションなのか。ここでは、前述の2戦で記録したスタッツ情報を用いて考察していく。

ボランチでみせた活躍
まず、目に入るのがパス数だ。ウェストハム戦では途中出場ながら29と、ブレントフォード戦の28を上回るパス数を記録している。ボール保持時の立ち位置に違いがあることや、その時のスコア状況も関わっていたと考えられるが、途中出場の試合の方が高い数値となった。初戦は相手ディフェンスとミッドフィールドの間で構えることが多かったが、第2節では相手一列目の背後に構える格好となっており、よりパスを引き出しやすく散らすことができるポジションだったといえる。クロスに関しては、初戦の記録がゼロだったのに対しウェストハム戦では3回を記録。成功数はゼロだったものの、ダブルボランチのもう一方であるMFアダム・ウォートンは1回に留まっており、鎌田の試行数の多さが確認出来る。しかし、このチームにおけるクロスの主な担い手は、左ウィングバックのDFタイリック・ミッチェルだ。ミッチェルはこの試合、チーム内最多となる7回のクロスを上げている。
タックルやデュエル(1対1の対人戦)などの守備的スタッツでは、第2節で好成績を残している鎌田。
わずか2試合ではあるが、ここまでの比較ではボランチ起用の方が良いのではないかと思える。ここで、ウェストハムとの前回対戦時、同ポジションで出場していた選手とのスタッツを比較してみよう。次の表は2024年4月のホームゲームで途中出場し、鎌田と近しい時間プレーしたMFナウイロ・アハマダとの比較結果である。

熾烈なポジション争い
記録したスタッツと記録のないスタッツが両者似ているという特徴があった。ただし細かく見ていくと、多くの項目で鎌田よりもアハマダの方が高い数値を記録している。ここで示したスタッツ以外の重要な項目などもある前提だが、鎌田がボランチで出場する場合、アハマダ以上の成績を残さなければならない。そのほか守備的MFなどタイプもあるが、ウィル・ヒューズ、レルマやシェイク・ドゥクレあるいはウォートンとポジション争いが強いられることになりそうだ。ブレントフォード戦でのポジション(シャドー)であれば、MFマイケル・オリーセやアイェウは移籍したが、センターフォワードでもプレーすることがあるFWオドソンヌ・エドゥアール、そのほかFWイスマイラ・サールやエゼなどとのポジション争いが待っている。
パレスで指揮を執るオリバー・グラスナー監督にとって、プレミアリーグでのビーズ(ブレントフォードの愛称)との試合は前節が初めてだった。
グラスナー監督と鎌田は共にドイツ1部のアイントラハト・フランクフルトに在籍していた。時を経て、鎌田はロンドンで同監督と再会し、3-4-2-1のフォーメーションの中でシャドーもしくはボランチでの出場が想定される。これまでベルギー、ドイツ、イタリアのクラブを渡り歩いてきた鎌田にとって、イングランドはヨーロッパ4か国目となる。十分な実績を引っ提げて、プレミアリーグではどんな活躍をするのかは日本国内で注目を集めることは間違いない。
鎌田はアシストやゴールを期待されるプレーヤーである。リーグ戦ではまだ記録していないが、イングランドでも当然その数字は求められる。現地時間8月27日に行われたカラバオ杯では、ノリッジ・シティ相手に1ゴール1アシストの活躍を見せた鎌田。この試合では3-4-2-1の右シャドーで先発したが、第3節チェルシー戦ではどのポジションでどのような結果を残すのか。ファーストシュートや決定機創出の瞬間を見逃さないようにすべきであろう。