今季も白熱の自動昇格圏争いやJ1昇格プレーオフ圏争いが繰り広げられた2024明治安田J2リーグ。注目のプレーオフでは12月1日に準決勝、7日に決勝が行われファジアーノ岡山がJ1初昇格を決めた。
惜しくもプレーオフで敗退した3クラブを含め各クラブ来季に向けて所属選手たちの去就や新戦力の話題が増えている昨今、ファンやサポーターにとって気がかりなのが主力選手の上位カテゴリーへの移籍についてだろう。

近年は夏・冬いずれも見られる個人昇格。昨2023シーズン終了後は、J1昇格プレーオフ決勝で東京ヴェルディに引き分け、昇格を逃した清水エスパルスからFWチアゴ・サンタナやDF鈴木義宜といった主力がJ1クラブへ移籍。また、昨季J2を18位で終えたいわきFCからも個人昇格する選手が出るなど、順位に関わらず上位カテゴリーへの移籍が目立った。

どんな形であれファンやサポーターにとって移籍は受け入れ難いものだが、選手にとってはチャンスでもある。ここでは、今冬J2からJ1への個人昇格も十分あり得る選手たちを7名紹介していく(12月17日時点の情報に基づく)

J2からJ1へ個人昇格が考えられる選手7選【2024】

イサカ・ゼイン(モンテディオ山形)

3年連続でJ1昇格プレーオフに進出したモンテディオ山形。残念ながら今季も昇格は果たせなかったが、シーズン前半戦は他の上位勢から出遅れた中でも巻き返しに成功し最終盤は破竹の9連勝と強さを見せていた。そんな山形における攻撃のキーマンとして今季も機能したのがMFイサカ・ゼインだ。

40試合に出場した昨季に続き、今季も37試合とほぼ全試合に出場して5つのゴールとチームトップとなる7つのアシストをマーク。右サイドの突破から精度の高いクロスで多くのチャンスを演出した。山形にとっては来季こそ自動昇格圏内を目指すべく欠かせない選手の1人だが、2シーズン続けてJ2上位チームの中心選手となっているだけにJ1クラブから見ても即戦力候補と言える。それだけに、今冬の去就から目が離せない。

J2からJ1へ個人昇格が考えられる選手7選【2024】

エジガル・ジュニオ(V・ファーレン長崎)

昨季は最終的にJ2リーグ得点王にもなった同チームのFWフアンマ・デルガドが活躍を見せる中、怪我に苦しむシーズンを送ったFWエジガル・ジュニオ。今季は序盤からその鬱憤を晴らすような活躍を見せた。


第2節のベガルタ仙台戦でゲーム終盤に途中投入されるといきなりゴールをマーク。続く第3節でも2ゴールを挙げチームの勝利に貢献するなど開幕早々存在感を発揮した。第10節にはハットトリックも達成し、最終的にシーズンを通して15ゴールをマークするなどチームの3位に貢献した。横浜F・マリノスに所属していた2019シーズンには二桁ゴールも記録していることからJ1での実績も申し分ない。それだけに、得点源を欲するクラブから声がかかることは十分に考えられる。

J2からJ1へ個人昇格が考えられる選手7選【2024】

小森飛絢(ジェフユナイテッド千葉)

昨シーズンは33試合出場でチームトップかつJ2日本人選手トップタイとなる13ゴールを挙げてチームを6年ぶりのプレーオフ進出へと導いたFW小森飛絢。千葉に残り、再び昇格へと挑んだ今季はさらに強烈な得点力を見せつけていた。

エリア内ではこぼれ球への反応が素早く得点チャンスを逃さない。さらに的確なワンタッチからや相手のタイミングを外すシュートなどゴールへと結びつける技術はいずれもハイレベル。今季、特にシーズン後半戦では3試合連続となる複数得点など大暴れして、終わってみれば23ゴールでJ2得点王にも輝いた。J1を飛び越え海外挑戦も十分にあり得る小森。千葉としてはなんとしてもチームに残留してほしい選手だが、すでにJ2で収まる選手でないことも事実ではないだろうか。

J2からJ1へ個人昇格が考えられる選手7選【2024】

相良竜之介(ベガルタ仙台)

昨シーズンは16位フィニッシュと失意の1年となったベガルタ仙台。しかし、今季は森山佳郎新監督のもとシーズン序盤から好調を維持し、6位でJ1昇格プレーオフ進出を果たしていた。
残念ながら昇格こそ叶わなかったが、来季に向け大いに期待の持てるチームへ生まれ変わったことは間違いない。そんな仙台で攻撃のキーマンとして躍動したのが、昨季サガン鳥栖から期限付きで加入し今季完全移籍したMF相良竜之介だ。

エリア内の深い位置まで侵入するドリブルが武器で、そこから正確なクロスやシュートで決定機を作り出せる。数字の上でも9ゴール4アシストといずれもチームで2番目に多い数字を挙げており、代えの利かない存在だ。とはいえ、J2でも屈指のドリブラーなだけに上位カテゴリーから関心が寄せられていても不思議はない。今冬動きがあるのか仙台のファンやサポーターにとって気が気でない選手の1人でもあるだろう。

J2からJ1へ個人昇格が考えられる選手7選【2024】

ブラウンノア賢信(徳島ヴォルティス)

昨シーズン、J3のアスルクラロ沼津で13ゴールを挙げる活躍を見せたFWブラウンノア賢信。今季はJ2の徳島ヴォルティスへと個人昇格を果たし、シーズン後半にはスタメンに定着した。最終的にチーム2位となる7ゴールの成績で徳島の8位フィニッシュの原動力となった。

前線では丁寧なポストプレーから決定機を作り、自らも背後を突く動き出しやコースを突くシュートなどで得点を挙げられる。シーズン前半戦は途中出場も多かったが、徐々にスタメンでの出場機会も増え得点に関与する場面も多くなっていった。来季は昇格争いに加わるためシーズン序盤から勢いが欲しい徳島にとっては手放せない選手だが、果たして動きはあるのか注目だ。

J2からJ1へ個人昇格が考えられる選手7選【2024】

マテウス・ジェズス(V・ファーレン長崎)

今季のJ2リーグで活躍した外国籍選手の中でも、特に強烈な存在感を放ち続けたMFマテウス・ジェズス。長崎加入2年目の今季は開幕から出番を得ると、MFマルコス・ギリェルメら他の外国籍選手とともに強力な攻撃陣を形成しチームを3位でのJ1昇格プレーオフへと導いた。


相手に付かれてもお構いなしの倒れない強さで推進力を発揮し、豪快なシュートでもパワーを見せる。一方で、絶妙なスルーパスや狙いすましたミドルシュートなど華麗な技術の数々でも魅せた。まぎれもなく今季J2における外国籍選手の中で最も違いを見せた選手であり、J1クラブが放っておかないだろう。長崎にとってみれば、チームの中核であるマテウスの残留こそが来季さらなる躍進のカギとなるだろう。

J2からJ1へ個人昇格が考えられる選手7選【2024】

保田堅心(大分トリニータ)

今季は3年ぶりに片野坂知宏監督がチームへ帰還し、J1昇格へ向けて新たなスタートを切った大分トリニータ。しかし、一時は残留争いにも巻き込まれ最終的に16位でフィニッシュと昨年から大きく順位を落とす厳しいシーズンとなった。そんな中でも、クラブ期待の若手の1人MF保田堅心は随所にそのポテンシャルの高さを見せていた。

第3節の藤枝MYFC戦で先制点を挙げてチームのシーズン初勝利に貢献。また、第26節のロアッソ熊本戦ではコーナーキックの場面鋭いボールを送り直接ゴールを奪うなどキックの質の高さも見せた。もちろん182cmの純粋な高さも大きな魅力。大分は昨季終了後、MF高畑奎汰やFW藤本一輝といった今後クラブを背負っていくような選手を失っただけに同じ轍は踏みたくないだろう。果たして動きはあるのか。
J2屈指の若手の去就から目が離せない。
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