世界中でプレーされているサッカー。中には「こんな場所で!?」と驚くような場所に存在するスタジアムがある。
ここでは、世界でも貴重な4つの“クセスゴ”スタジアムを紹介したい。
ノルウェー4部のFKロフォーテンの練習場として使用されるだけではなく、子どもたちにも開放され、地元の観光名所でもある。人口約500人ほどの漁村らしく、ピッチサイドには水揚げされたタラを塩漬けするための棚が並んでいる。ナイター施設も備えているものの、観客席はない。
FIFA(国際サッカー連盟)の公式サイト上でも「世界で最も美しいサッカースタジアム」と紹介され、ドローンで空撮された動画がネット上に流れたところ、1週間で30万回以上も再生された結果、観光名所となった。
ノルウェーといえば、夏場には日が沈まない「白夜」がある。夜10時頃には日没を迎えるが、真っ暗にはならない。夏は昼夜を問わず、24時間サッカーが楽しめるスタジアムだ。
その標高はなんと3,577メートル。ほぼ富士山(3,776メートル)の山頂と同じだ。
2007年にFIFAが「このスタジアムに来る選手が高地順応を余儀なくされ、公平さに欠ける」とした他国からの抗議を受け入れ、「標高2,500m以上のスタジアムで試合をしてはいけない」と発表。当時のエボ・モラレス大統領を筆頭に、ボリビア連盟側はこの決定に猛抗議。モラレス大統領がボリビア最高峰のサハマ山(標高6,542メートル)の山頂でプレーするなど体を張ったアピールが実り、FIFAは標高の制限を3,000mに引き上げた。
また、ボリビア国内の他のスタジアムも特例として、W杯予選会場として認めるに至った。今年9月6日、2026中南米W杯の南米予選では、2017年にオープンした「エスタディオ・ムニシパル・デ・エル・アルト(エル・アルト市営スタジアム)」にベネズエラ代表を迎えたボリビア代表が4-0で圧勝。そのスタジアムはさらに標高が高く、なんと富士山超えの4,150メートル。当然ながら、現時点で世界一標高が高いサッカースタジアムだ。
W杯の南米出場枠「6.5」の中にあって、現在7位に位置しているボリビア。1994年のアメリカW杯以来となる4回目の本戦出場へ向けて、これ以上ない“ホームアドバンテージ”となりそうだ。
内馬場にはその間に整備された洪水調節池だけではなく、フルサイズのサッカー場が存在する。人工芝ながら、熱中症対策として最新鋭の「Viu(微雨)システム」を採用。特殊樹脂製ノズルにより、わずかな水を微雨化し立体的に散水するシステムで、熱くなったフィールドの表面の温度を効果的に下げることができるものだ。
現在「ひめたんスポーツクラブ(姫路競馬場スポーツセンター)」が運営し、サッカーやフットサルのみならず、卓球場やエクササイズが楽しめるスタジオもある総合スポーツクラブとして、広く市民に開放されている。
JリーグやJFLの公式戦を人工芝ピッチで開催されることは許可されていないが、地域リーグや育成年代では人工芝での公式戦が行われている。JリーグやJFLでも、人工芝での公式戦を解禁しようという議論も進んでいる。近い将来、「競馬場でのサッカー公式戦」などという試みもあるかも知れない。
この試合が行われたスタジアムが、ブータンの首都ティンプーにある国立競技場、チャンリミタン・スタジアムだ。事実上ブータン王室が所有し、25,000人の収容人数を誇る。
代表戦の他、2012年に発足したブータン・プレミアリーグのティンプー・シティとトランスポート・ユナイテッドがホームスタジアムとし、また、ブータン国王の戴冠式や建国記念日の式典などが行われる。加えて2024年、ブータン史上初となる海外アーティストの公演として、イギリスのシンガーソングライター、エド・シーランのライブも開催された。
どこが“クセスゴ”なのか。それはブータンが置かれた国土事情に起因する。ブータンの面積は九州とほぼ同じ約3万8,400平方キロメートル、そこに約80万人の国民が暮らしている。標高100メートル程度の低地から7,000メートルを超える高地まで存在し、平地はわずかで、生活や農業のほとんどが傾斜地で行われている。道路は斜面へ切れ込みを入れる形で作られていることが多く、路肩は土留めもされていないため、がけ崩れや崩落事故、谷底への自動車の転落事故も多発する過酷な環境だ。そのため、国家の主な収入源は、国土の高低差を生かした水力発電による周辺国への売電だ。
そんな国土の上に、サッカースタジアム建設に必要な面積とされる3.5ヘクタール(約3万5,000平方メートル)の平地を整備するのもひと苦労だ。
実際、メインスタンドは王室が使用する煌びやかな仏教の伝統建築を取り入れた屋根付きの貴賓席のみで、バックスタンドには背もたれ付きの座席があるものの、両ゴール裏席は石段があるだけの立見席。
総工費2.23億ニュルタム(約4億円)をかけ、総天然芝で、FIFAが定める縦105メートル、横68メートルもクリアしている。しかし、ティンプーの市街地にあり、公園やテニスコートも併設されているため、サッカースタジアムというよりも市民の憩いの場となっているようだ。
ここでは、世界でも貴重な4つの“クセスゴ”スタジアムを紹介したい。

ヘニングスヴァール・シュタディオン(ノルウェー)
ノルウェー北部、ロフォーテン諸島アウストヴォーグ島にあるヘニングスヴァール・シュタディオンは、フィヨルド(氷河が浸食したことにより複雑な地形となった湾や入り江)の上に建つ。人工芝ながら、その絶景は、そのまま絵はがきにしたいほどだ。ノルウェー4部のFKロフォーテンの練習場として使用されるだけではなく、子どもたちにも開放され、地元の観光名所でもある。人口約500人ほどの漁村らしく、ピッチサイドには水揚げされたタラを塩漬けするための棚が並んでいる。ナイター施設も備えているものの、観客席はない。
FIFA(国際サッカー連盟)の公式サイト上でも「世界で最も美しいサッカースタジアム」と紹介され、ドローンで空撮された動画がネット上に流れたところ、1週間で30万回以上も再生された結果、観光名所となった。
ノルウェーといえば、夏場には日が沈まない「白夜」がある。夜10時頃には日没を迎えるが、真っ暗にはならない。夏は昼夜を問わず、24時間サッカーが楽しめるスタジアムだ。

エスタディオ・エルナンド・シレス(ボリビア)
ボリビアの首都ラパスにあり、ボリビア第31代大統領のエルナンド・シレス・レイェス氏の名を冠した事実上の“国立競技場”で、収容人員45,000人を誇るエスタディオ・エルナンド・シレス。3クラブ(ザ・ストロンゲスト、クルブ・ボリバル、ラパスFC)が本拠地とし、ボリビア代表もFIFAワールドカップ(W杯)南米予選の会場としている。その標高はなんと3,577メートル。ほぼ富士山(3,776メートル)の山頂と同じだ。
ここでアウェイ戦に臨む南米の他の代表チームは、相手だけではなく酸欠とも戦うことになる。気圧が低いことで、ミドルシュートが面白いように決まるスタジアムとしても有名だ。
2007年にFIFAが「このスタジアムに来る選手が高地順応を余儀なくされ、公平さに欠ける」とした他国からの抗議を受け入れ、「標高2,500m以上のスタジアムで試合をしてはいけない」と発表。当時のエボ・モラレス大統領を筆頭に、ボリビア連盟側はこの決定に猛抗議。モラレス大統領がボリビア最高峰のサハマ山(標高6,542メートル)の山頂でプレーするなど体を張ったアピールが実り、FIFAは標高の制限を3,000mに引き上げた。
また、ボリビア国内の他のスタジアムも特例として、W杯予選会場として認めるに至った。今年9月6日、2026中南米W杯の南米予選では、2017年にオープンした「エスタディオ・ムニシパル・デ・エル・アルト(エル・アルト市営スタジアム)」にベネズエラ代表を迎えたボリビア代表が4-0で圧勝。そのスタジアムはさらに標高が高く、なんと富士山超えの4,150メートル。当然ながら、現時点で世界一標高が高いサッカースタジアムだ。
W杯の南米出場枠「6.5」の中にあって、現在7位に位置しているボリビア。1994年のアメリカW杯以来となる4回目の本戦出場へ向けて、これ以上ない“ホームアドバンテージ”となりそうだ。

姫路競馬場グラウンド(兵庫県)
兵庫県競馬組合が主催者となって運営している姫路競馬場は、2012年以降、売上の低迷に伴い事実上の休止状態となり、廃止議論も持ち上がっていた。しかし、その後ネットによる馬券販売が一般的となり売上が大きく回復したため、2020年から再開されている。内馬場にはその間に整備された洪水調節池だけではなく、フルサイズのサッカー場が存在する。人工芝ながら、熱中症対策として最新鋭の「Viu(微雨)システム」を採用。特殊樹脂製ノズルにより、わずかな水を微雨化し立体的に散水するシステムで、熱くなったフィールドの表面の温度を効果的に下げることができるものだ。
現在「ひめたんスポーツクラブ(姫路競馬場スポーツセンター)」が運営し、サッカーやフットサルのみならず、卓球場やエクササイズが楽しめるスタジオもある総合スポーツクラブとして、広く市民に開放されている。
JリーグやJFLの公式戦を人工芝ピッチで開催されることは許可されていないが、地域リーグや育成年代では人工芝での公式戦が行われている。JリーグやJFLでも、人工芝での公式戦を解禁しようという議論も進んでいる。近い将来、「競馬場でのサッカー公式戦」などという試みもあるかも知れない。

チャンリミタン・スタジアム(ブータン)
2002年6月30日。W杯日韓大会決勝が横浜国際総合競技場で行われ、ブラジル代表がFWロナウドの2発でドイツ代表を破り、5回目の優勝を飾った日。もう1つの世界一決定戦が同じアジアで開催されていた。当時FIFAランキング最下位のモントセラト代表(203位)と、ブータン代表(202位)の一戦である。ホームのブータン代表が4-0で勝利したこの試合は『The Other Final』として映画化されている。この試合が行われたスタジアムが、ブータンの首都ティンプーにある国立競技場、チャンリミタン・スタジアムだ。事実上ブータン王室が所有し、25,000人の収容人数を誇る。
代表戦の他、2012年に発足したブータン・プレミアリーグのティンプー・シティとトランスポート・ユナイテッドがホームスタジアムとし、また、ブータン国王の戴冠式や建国記念日の式典などが行われる。加えて2024年、ブータン史上初となる海外アーティストの公演として、イギリスのシンガーソングライター、エド・シーランのライブも開催された。
どこが“クセスゴ”なのか。それはブータンが置かれた国土事情に起因する。ブータンの面積は九州とほぼ同じ約3万8,400平方キロメートル、そこに約80万人の国民が暮らしている。標高100メートル程度の低地から7,000メートルを超える高地まで存在し、平地はわずかで、生活や農業のほとんどが傾斜地で行われている。道路は斜面へ切れ込みを入れる形で作られていることが多く、路肩は土留めもされていないため、がけ崩れや崩落事故、谷底への自動車の転落事故も多発する過酷な環境だ。そのため、国家の主な収入源は、国土の高低差を生かした水力発電による周辺国への売電だ。
そんな国土の上に、サッカースタジアム建設に必要な面積とされる3.5ヘクタール(約3万5,000平方メートル)の平地を整備するのもひと苦労だ。
実際、メインスタンドは王室が使用する煌びやかな仏教の伝統建築を取り入れた屋根付きの貴賓席のみで、バックスタンドには背もたれ付きの座席があるものの、両ゴール裏席は石段があるだけの立見席。
しかもスタジアムのすぐ外が土手となっており、そこには集合住宅もあるため、“タダ見し放題”の造りとなっている。
総工費2.23億ニュルタム(約4億円)をかけ、総天然芝で、FIFAが定める縦105メートル、横68メートルもクリアしている。しかし、ティンプーの市街地にあり、公園やテニスコートも併設されているため、サッカースタジアムというよりも市民の憩いの場となっているようだ。
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