第6節までの日程を終えた2025明治安田J3リーグ。消化した試合数にバラつきがあるものの、ここまでは昨季J2昇格プレーオフ進出を果たしたFC大阪が首位を走り、今季がJ3初年度となる栃木シティ、J2降格組の一角である鹿児島ユナイテッドがそれを追う展開となっている。


昨季は下位に沈んでいた奈良クラブやテゲバジャーロ宮崎も好スタートを切る一方で、鹿児島と同じ降格組の栃木SC、ザスパ群馬はいずれも黒星先行。J3リーグの難しさを身をもって味わう序盤戦となった。

今冬、J3に属する各クラブも上位カテゴリーのクラブ同様補強の動きが目立った。特にJ1通算100ゴール超えの実績を持つFWパトリックや日本代表での出場経験もあるMF山田直輝のJ3参戦が印象的だった。ここでは、彼らのような新戦力の活躍により開幕から好スタートを切ったクラブ3つを新加入組の活躍状況や昨季の順位なども考慮して補強の成功度をランキング形式で紹介する。

【J3リーグ2025】開幕後の結果に見る補強成功度ランキングトップ3

3位:鹿児島ユナイテッド

5年ぶりにJ2を戦った昨季の鹿児島ユナイテッド。二度目の挑戦でJ2定着を目指したが、残念ながら今回も2019シーズン同様1年でJ3へ戻ることとなった。降格の影響もあってか今冬はGK泉森涼太やMF野嶽寛也ら主力の流出も多くあったが、新加入選手たちの活躍によって戦力ダウンの懸念は払拭されたと言えよう。

特に際立つのは、外国籍選手の活躍ぶり。FC今治から加入したFWアンジェロッティは、昨年の今治で17試合出場ノーゴールだったが今季はすでに6試合出場で4ゴールと好調。昨年攻撃を支えたFW藤本憲明やFW鈴木翔大らに代わる新エースとして躍動する姿を見せている。守備陣ではレノファ山口から加入のDFヘナンが早くも主軸を担う。もちろん、日本人選手でもMF吉尾虹樹やDF杉井颯といった選手たちが出場時間の限られる中でも結果を出しており、今後が大いに期待できる。


他の降格組が苦しい序盤戦を過ごす中で好スタートを切れたことは大きなアドバンテージと言える。1年でJ2へ返り咲くため、即戦力が求められる中で的確な補強を果たし、それぞれが期待通りの活躍を見せつつあることから第3位とした。

【J3リーグ2025】開幕後の結果に見る補強成功度ランキングトップ3

2位:FC大阪

2023シーズンのJ3参入から昨季は早くもJ2昇格プレーオフ進出を果たしたFC大阪。昇格したカターレ富山に1-1と勝ちきれず、結果は準決勝敗退となったが、飛躍のシーズンだったことは間違いない。再び昇格へ挑戦すべく迎えた今季は、ここまで4勝1分1敗と好スタートを切り現在首位。昨年から好調の維持が窺える序盤戦を過ごしている。

冬の移籍でGK永井建成やFW古川大悟など攻守の要を失ったが、新戦力がそれぞれ台頭しチームを支えている印象だ。過去J3クラブで多くのゴールやアシストを挙げてきたDF橋本陸やフィリピンリーグのカヤFCからJリーグ初挑戦のMF堀越大蔵といったサイドの選手が早くも定位置を掴み活躍。加えて愛媛FCから加入のMF佐藤諒はいずれも途中出場から2ゴールと限られた時間でチームを勝たせる活躍を見せており、結果的に選手層の厚みも感じさせる補強となっている。

新たな得点源候補であったFW和田育など、現時点では期待通りの活躍が見られない新加入選手もいるが、その分チーム力の向上が今後も見込めるとの見方もできることから第2位とした。チームとしての成長を続けつつ、このまま好調を維持し昇格までたどりつけるか注目だ。

【J3リーグ2025】開幕後の結果に見る補強成功度ランキングトップ3

1位:AC長野パルセイロ

2023シーズンは14位、昨季は18位と低迷が続くAC長野パルセイロ。今季は新指揮官に藤本主税氏を招聘して心機一転スタートを切った。
冬の移籍ではDF杉井颯やMF西村恭史といった主軸の一部がライバルであるJ3他クラブへ移籍したが、多くの主力選手がチームに残留。その上で主に中盤へ積極的に新戦力を迎えた。

特に存在感を放つのが両サイドで躍動する新戦力。徳島ヴォルティスから加入のMF長谷川雄志は、昨年まで中央でのプレーが多かったが今季は右サイドを主戦場にここまで5試合に出場し、攻守に活躍を見せアシストも1つ挙げている。また、左サイドでは高知ユナイテッドから加入したMF樋口叶が台頭しつつある。ここまでは途中出場が多いながらも2アシストをマーク。定位置獲得に向けて着実にアピールを続けている。そのほかの新戦力を見ても、上位カテゴリーでの経験が豊富なMF藤川虎太朗や昨季SC相模原で5ゴールを挙げたMF伊藤恵亮といった選手たちがすでに出場機会を多く与えられており、チームへのフィット感も上々。移籍の効果はシーズン序盤から結果に表れている。

低迷期から抜け出す兆しの見える長野だが、昨季も序盤戦は7戦無敗など滑り出しは寧ろ好調で後半戦に入って一気に白星が遠ざかった経緯がある。同じ轍を踏まぬためにも、新加入選手たちの順応ぶりは極めて頼もしいことから第1位とした。
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