普段のファッションや着こなしが注目されるサッカー選手だが、試合中は皆、同じユニフォームを着用している。そう思っていないだろうか。
たかが足元と軽んじてはいけない。「フットボール(蹴球)」というように、サッカー選手のプレーの大半は足から生まれる。サッカーの足回り事情を知ることで、各選手の習性をより深く理解できて試合がさらに面白くなる。ここではサッカー選手の5大ソックス派閥(正統履き派、ロング履き派、ルーズ履き派、穴あき履き派、二重履き派)とスタイルについて詳しく解説してみたい。
競技のしやすさを考えると、ただ長ければよいというわけではない。女子高生のルーズソックスでは、すね当てがブレたり相手の靴が引っかかったりしてプレーに支障をきたす。脚にフィットする伸縮性があり、すね当てがグラつかないように程よく引き締まっている必要がある。
このルールを守りつつも、いかにして競技者としてプレーしやすい状態にするか。ここで、選手としての特徴が表れるのだ。
例えば、MF遠藤航(リバプール)、MF久保建英(レアル・ソシエダ)、ドイツ代表MFジャマル・ムシアラ(バイエルン・ミュンヘン)などがこの履き方をしている。
倒されたりスライディングタックルをしたりした際に、膝を擦りむきにくくなる。また、ヒザ下で折らないことで膝関節部分の締め付けが弱まる一方で脚全体は引き締まる。コンプレッションソックスであれば、ブレが抑えられて負担が軽減され、筋肉や骨格をサポートできるとも言われている。また、皮膚の表面を覆う面積が広くなるため、保温効果もあり寒冷地に向いている。軽快に疾走して豪快に転倒するスプリンタータイプのアタッカーによく見られる。
例えば、MF三笘薫(ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン)やFWキリアン・ムバッペ(レアル・マドリード)などがこの履き方をしている。
肌が露出されていて涼しくなるため、暑い国でこのタイプの選手は生まれやすい。また、技巧派の選手に多い傾向があり、できる限り小さいすね当てを好む。
すね当てには、アンクルガードと一体化しているものもあるが、アンクルガードはルーズ履き派にとって邪道だ。ソックスとすね当ては保護のためのものなので、身体を張るのではなく技術で勝負するという意志の表明。もしくは、防御力を下げて攻め気を強調する。リラックスした印象になるため、軽快なプレーや精神性がファッションの特徴に表出していることも考えられる。
筋肉の締め付けを緩めて血流を良くして痙攣を抑止することを意図している。ソックスは保護するためのものであり、意図的に穴を開けて肌を露出させるのは、ルール的には微妙だが、今のところ調査のメスは入っていない模様だ。ルールと機能性を両立させるために、今後の技術革新の余地があるだろう。
公式ソックスは合成繊維の場合が多く、地肌には吸水性やフィット感を良くする靴下を履く場合がある。指部分が分離加工のものを好む選手がいる他、近年では滑りにくいグリップソックスも登場している。
なかには完全に二重にするのではなく、足首から上は公式ソックスで、下は高機能ソックスにしたセパレートソックスを着用する選手もいる。ホワイトテープを巻いてつなげていることが多い。ただし、足首のテーピングは、すね当てが下がってこないように止めている場合もあるため、必ずしもセパレートソックスというわけではない。二重履き派は、他の派閥と二股が可能だ。
実は同じソックス(ストッキング)でも選手によって履き方がかなり異なり、その理由やこだわりが表れている。
たかが足元と軽んじてはいけない。「フットボール(蹴球)」というように、サッカー選手のプレーの大半は足から生まれる。サッカーの足回り事情を知ることで、各選手の習性をより深く理解できて試合がさらに面白くなる。ここではサッカー選手の5大ソックス派閥(正統履き派、ロング履き派、ルーズ履き派、穴あき履き派、二重履き派)とスタイルについて詳しく解説してみたい。

サッカーソックスの規則はどうなっている?
競技規則では「相応に保護することができる大きさのすね当てを着用し、ソックスで覆われていなければならない」と規定されている。したがって、ソックスはある程度の長さを要する。競技のしやすさを考えると、ただ長ければよいというわけではない。女子高生のルーズソックスでは、すね当てがブレたり相手の靴が引っかかったりしてプレーに支障をきたす。脚にフィットする伸縮性があり、すね当てがグラつかないように程よく引き締まっている必要がある。
このルールを守りつつも、いかにして競技者としてプレーしやすい状態にするか。ここで、選手としての特徴が表れるのだ。

正統履き派
遠藤航、久保建英、ジャマル・ムシアラなど
ソックスをヒザ下で折り返すのは標準的な履き方だ。上部が二重になるため、すね当てが飛び出しづらくなる。子供の頃は脚に比べてすね当てが大きかったりすることもあり、確実に規則を守れるようにまず教わる基本的なスタイルだ。真面目で几帳面な優等生タイプの選手に多く、この「正統履き」はプロ選手でも一般的だ。
例えば、MF遠藤航(リバプール)、MF久保建英(レアル・ソシエダ)、ドイツ代表MFジャマル・ムシアラ(バイエルン・ミュンヘン)などがこの履き方をしている。

ロング履き派
三笘薫、キリアン・ムバッペなど
膝上まで長くソックスを引き上げて履く「ロング履き」。脚線美が際立つが、もちろんそんなつもりでプレーしているわけではない。倒されたりスライディングタックルをしたりした際に、膝を擦りむきにくくなる。また、ヒザ下で折らないことで膝関節部分の締め付けが弱まる一方で脚全体は引き締まる。コンプレッションソックスであれば、ブレが抑えられて負担が軽減され、筋肉や骨格をサポートできるとも言われている。また、皮膚の表面を覆う面積が広くなるため、保温効果もあり寒冷地に向いている。軽快に疾走して豪快に転倒するスプリンタータイプのアタッカーによく見られる。
例えば、MF三笘薫(ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン)やFWキリアン・ムバッペ(レアル・マドリード)などがこの履き方をしている。

ルーズ履き派
中村敬斗、ジャック・グリーリッシュなど
ソックスをできるかぎり下げて、ふくらはぎを露出させる「ルーズ履き」スタイル。少数派で、日本代表ではFW中村敬斗(スタッド・ランス)がいる。イングランド代表MFジャック・グリーリッシュ(マンチェスター・シティ)は、かなりギリギリの際どいところまで下げておりドキドキする。肌が露出されていて涼しくなるため、暑い国でこのタイプの選手は生まれやすい。また、技巧派の選手に多い傾向があり、できる限り小さいすね当てを好む。
すね当てには、アンクルガードと一体化しているものもあるが、アンクルガードはルーズ履き派にとって邪道だ。ソックスとすね当ては保護のためのものなので、身体を張るのではなく技術で勝負するという意志の表明。もしくは、防御力を下げて攻め気を強調する。リラックスした印象になるため、軽快なプレーや精神性がファッションの特徴に表出していることも考えられる。

穴あき履き派
ジュード・ベリンガム、カイル・ウォーカーなど
「穴あき履き」は、ソックスのふくらはぎ部分に切れ目を入れて穴を開ける挑発的なスタイルだ。MFジュード・ベリンガム(レアル・マドリード)は、ふくらはぎ部分に水平に3本ほど切れ目を入れるのに対して、DFカイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ)は水玉模様のように小さい穴を多く開ける。筋肉の締め付けを緩めて血流を良くして痙攣を抑止することを意図している。ソックスは保護するためのものであり、意図的に穴を開けて肌を露出させるのは、ルール的には微妙だが、今のところ調査のメスは入っていない模様だ。ルールと機能性を両立させるために、今後の技術革新の余地があるだろう。

二重履き派
ルイス・スアレス、ラヒーム・スターリングなど
外観からは目立たないが「二重履き」をする選手がいる。その数は年々、増えてきている。知られている例には、FWルイス・スアレス(インテル・マイアミ)やFWラヒーム・スターリング(アーセナル)などがいる。公式ソックスは合成繊維の場合が多く、地肌には吸水性やフィット感を良くする靴下を履く場合がある。指部分が分離加工のものを好む選手がいる他、近年では滑りにくいグリップソックスも登場している。
なかには完全に二重にするのではなく、足首から上は公式ソックスで、下は高機能ソックスにしたセパレートソックスを着用する選手もいる。ホワイトテープを巻いてつなげていることが多い。ただし、足首のテーピングは、すね当てが下がってこないように止めている場合もあるため、必ずしもセパレートソックスというわけではない。二重履き派は、他の派閥と二股が可能だ。

番外編(マラドーナ)
現代のソックス派閥の枠には収まらない異端児も過去には登場した。アルゼンチン代表の伝説のプレーヤー、ディエゴ・マラドーナ(2020年死去)は、見えない後方から激しいタックルをあまりにも多く受けたため、すね当てを前だけではなく、ふくらはぎにも装着していたことがあった。結果として「ふくらはぎガード」なる商品が開発され、選手を保護するためのルール改正にも影響を与えた。編集部おすすめ