「アディダス(adidas)」が、新型コロナウイルス感染拡大の影響による財政難への対応策として、ドイツの国有開発銀行(以下、KfW)など複数の金融機関から融資を受けると発表した。

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、アディダスは1月末以降に中国で、2月下旬以降は日本でも大幅な減益を記録。

3月中旬から4週間にわたり、ヨーロッパ、北米、ラテンアメリカ、ロシア、アジア太平洋地域の大部分で店舗を一時休業しており、ビジネスの60%を占める卸売事業と小売事業は完全に停滞している。これを受け、有給休暇と残業時間の削減、1,200人の従業員の勤務時間短縮などでコスト削減に努めてきた。

 独アディダスは先月、中小企業に対する一時的な救済措置としてドイツ政府による緊急支援策を利用し、テナント家賃の支払いを延期すると報じられたところ、非難が殺到。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界各地で休業を余儀なくされたアディダスの収益面のダメージは大きく、今回ドイツ政府から大規模な融資を受ける承認が下りた。

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 独アディダスは大規模な資金調達が可能なシンジケートローンと呼ばれる融資手段を活用し、KfWから24億ユーロ(約2,800億円)、UniCredit、バンクオブアメリカ、シティバンク、ドイツ銀行、HSBC、みずほ銀行、スタンダードチャータード銀行で構成されるコンソーシアムから6億ユーロ(約7,000億円)、総額30億ユーロ(約3,500億円、1ユーロ=118円)の融資を受ける。ローンの条件として、期間中配当金払いを一時停止するほか、執行委員会による株の買い戻し、2020年のボーナスを放棄することが提示されている。