■業績動向

1. 2022年3月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
ムサシの2022年3月期第2四半期の連結業績は、売上高16,871百万円(前年同期比19.0%増)、営業利益558百万円(前年同期は185百万円の損失)、経常利益566百万円(同129百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益338百万円(同106百万円の損失)となった。

主力の選挙システム機材において、東京都議会議員選挙があったことに加え、衆議院選挙に向けての需要が出たことなどから、同セグメントの売上高が前年同期比166.7%増となったことが全体の業績を牽引した。
他の事業も、コロナ禍からの回復で増収を確保した。注力しているメディアコンバート事業(情報・産業システム機材の内数)は、一部進捗遅れがあったことから売上高は1,812百万円(同5.8%減)であったが、内容は順調であり通期では増収を見込む。

(2) 財務状況
2022年3月期第2四半期末の財務状況は、流動資産は前期末比で664百万円増加し31,233百万円となった。主に現金及び預金の増加524百万円、科目変更に伴う受取手形及び売掛金の減少8,518百万円、同受取手形・売掛金及び契約資産の増加8,761百万円による。固定資産は前期末比で600百万円増加し11,345百万円となったが、主に子会社でのリース資産計上による有形固定資産の増加462百万円、株価上昇の影響等による投資有価証券の増加62百万円、繰延税金資産の増加71百万円による。その結果、資産合計は42,578百万円(前期末比1,266百万円増)となった。


負債合計は、16,031百万円(前期末比1,752百万円増)となったが、主に電子記録を含めた仕入債務の増加749百万円、未払法人税等の増加258百万円、その他流動負債(主に未払消費税等、リース債務)の増加391百万円、その他固定負債の増加392百万円等による。また、純資産合計は、26,546百万円(同486百万円減)となったが、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加252百万円、自己株式の取得による支出764百万円等による。この結果、2022年3月期第2四半期末の自己資本比率は62.3%(前期末65.4%)となった。

(3) キャッシュ・フローの状況
2022年3月期第2四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは1,598百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前四半期純利益の計上560百万円、減価償却費194百万円、仕入債務の増加746百万円などで、主な支出は、売上債権の増加242百万円などによる。投資活動によるキャッシュ・フローは617百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出520百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは455百万円の支出であったが、主な収入はセール・アンド・リースバック417百万円、主な支出は、自己株式の取得764百万円、配当金の支払額86百万円による。


以上から2022年3月期第2四半期の現金及び現金同等物は524百万円増加し、期末残高は17,915百万円となった。

2. 2022年3月期第2四半期のセグメント別状況
セグメント別及びサブセグメント別(単体ベース)の状況は以下のとおりであった。

(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメント
セグメント売上高は8,984百万円(前年同期比8.4%増)、セグメント損失340百万円(前年同期は110百万円の損失)となった。増収となったが、連結子会社において一部遅れが発生し、一方で受注拡大に伴う環境整備費用が増加したことなどから、セグメント損失が拡大した。

a) 情報・産業システム機材
注力している文書のデジタル化事業(メディアコンバート事業)の連結売上高は、1,812百万円(前年同期比5.8%減)と前年同期比で減収となったが、これは一部の民間からの受注で遅れが発生したことによるもので、全体の流れは好調であった。2021年3月期においては民間企業からの受注が62%、官公庁・自治体からが38%であったが、この上半期は民間企業からの受注が59%、官公庁・自治体からが41%であった。
一方で、成長が期待されている業務用ろ過フィルターの販売は、飲料向けが回復したことに加え、工業用(半導体向けなど)の販売も堅調であった。その結果、サブセグメントの売上高(単体ベース)は3,665百万円(同17.2%増)となった。

b) 印刷システム機材
印刷システム機材の売上高(単体ベース)は、4,403百万円(同14.8%増)となった。CTP機器やPOD機器など印刷機器の販売は低調であったが、印刷材料の販売が堅調であったことから、サブセグメント売上高は増収となった。

(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント
東京都議会議員選挙や衆議院選挙向けに選挙システム機材が大幅増となりセグメント売上高は、3,644百万円(同110.4%増)、セグメント営業利益は817百万円(前年同期は81百万円の損失)となった。

a) 選挙システム機材
衆議院選挙や東京都議会議員選挙などの各地方選挙向けに、「投票用紙読取分類機」や「投票用紙交付機」「計数機」などの選挙機器、及び「投開票管理システム」の販売が大幅に伸長し、売上高(単体ベース)は3,099百万円(前年同期比166.7%増)と大幅増収となった。
これらの製品は、自社開発品で利益率も比較的高いことから、全体の利益にも大きく影響した。

b) 金融汎用システム機材
紙幣整理機など、金融機関向け貨幣処理機器の販売が設備投資抑制の影響により低調に推移し、前年同期実績を下回った。この結果、金融汎用システム機材の売上高(単体ベース)は506百万円(前年同期比6.5%減)となった。

(3) 紙・紙加工品セグメント
コロナ禍の影響により、情報用紙の販売が低調に推移したが、医療品向け紙器用板紙の販売は伸長し、前年同期比で若干の増収となった。この結果、セグメント売上高は4,105百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント営業損失は22百万円(前年同期は78百万円の損失)となった。

(4) 不動産賃貸・リース事業等セグメント
おおむね順調に推移し、セグメント売上高は136百万円(前年同期比0.7%増)、セグメント営業利益は103百万円(同22.6%増)となった。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)