1. 2025年3月期第2四半期の業績概要
2025年3月期第2四半期の業績は、売上高36,786百万円(前年同期比24.9%減)、営業利益6,703百万円(同44.2%減)、経常利益6,350百万円(同46.8%減)、親会社株主に帰属する中間純利益4,422百万円(同47.7%減)となった。上半期は大型物件の販売決済が少なく前年同期比で減収減益となるも、不動産サービス事業やホテル運営事業などのストック型事業は増収増益を達成し、過去最高を更新している。
前期に大型物件売却があったことによる反動減や、進行期の物件売却が下期偏重となっていることから、前年同期比での減収減益幅は大きく見えるものの、ストック型事業は増収増益基調が継続している。また、コロナ禍により物件仕入を控えていた時期を勘案すれば、商品化から販売までが後ろ倒しになるのは自明のことであり、期初計画どおりと言える。2024年11月7日時点の契約ベースを含む売却の進捗は、売上総利益で通期業績予想に対して50%水準と順調に推移しており、物件売却の多くが第3四半期以降に予定されていることから、通期計画の達成に懸念はないものと弊社では考える。
2. セグメント別の事業動向
(1) 不動産再生事業
不動産再生事業は、売上高22,344百万円(前年同期比30.1%減)、セグメント利益6,049百万円(同36.6%減)、販売件数は前年同期と同数の14件(内、小口所有商品1件)となった。前年同期比で減収減益となるも、契約済みの物件を加えた売上総利益の業績予想に対する進捗率は50%超を達成しており、通期計画達成に向けた第3四半期以降の加速が期待される。市場の購買需要は引き続き旺盛であり、販売件数14件から小口所有商品1件を除いた13件の販売先内訳は、国内法人3件、国内個人富裕層2件、台湾個人富裕層6件、その他アジア系投資家2件となっている。
(2) 不動産サービス事業
不動産サービス事業は、売上高5,954百万円(前年同期比15.1%増)、セグメント利益2,940百万円(同1.3%増)となった。プロパティマネジメント事業では管理受託棟数の増加が見られ、ビルメンテナンス事業も管理棟数を増やしつつ、物価上昇に伴う原価増の抑制に努めた結果、増収増益を達成した。リーシングマネジメント事業では、賃貸仲介で前年同期比ほぼ横ばいの成績を維持し、売買仲介でリピーターや新規顧客からの大型売買ニーズに対応し業績を伸ばしている。貸会議室事業においては、新拠点への出店が前倒しで進み、開業準備費用により一時的に利益が圧縮されたが、今後の収益寄与が期待される。
また、事業基盤のさらなる拡充を図るため、2024年9月にサンフロンティアアセットマネジメントを設立し、私募リート事業の参入準備を開始した。設立から25年にわたる不動産再生及び活用のノウハウを活かし、地域社会課題の解決と持続可能な社会の実現を目指す方針である。2026年3月期には、同社がスポンサーとなる私募リート第1号を組成する予定であり、資産運用事業への本格参入によるストック収益の拡大が期待される。
(3) ホテル・観光事業
ホテル・観光事業は、売上高8,216百万円(前年同期比27.5%減)、セグメント利益2,005百万円(同41.0%減)となった。ホテル開発事業では、前年同期に1棟のホテル売却があったことによる反動で減収減益となったが、熊本や酒田の土地を取得し、石狩と加古川での着工を含む複数の開発案件が進行中である。今後も運営ホテルの客室数増加に向けて、M&Aや開発用地の取得を積極的に推進する。ホテル運営事業では、旅行需要の回復が続くなかでインバウンド需要の増加も寄与し、稼働率と客室単価の上昇が見られ、増収増益を達成した。直近では、2024年9月14日に「日和ステイ京都鴨川」を開業しており、「暮らすように旅する」というコンセプトを掲げ、多人数で中長期間滞在するようなインバウンド旅行客のニーズに対応している。
(4) その他事業
その他事業は、売上高953百万円(前年同期比4.4%減)、セグメント利益227百万円(同72.8%増)となった。建設事業は売上が横ばいであるものの、大型案件における利益率の改善が功を奏し、増益を達成した。
3. 財務状況
2025年3月期第2四半期末の資産合計は、前期末比10,562百万円増の199,224百万円となった。物件の仕入れの進捗のほか、納税や配当により現金及び預金が6,243百万円減少した。また、リプランニング物件・不動産小口化商品・ホテル開発用地等の仕入れと工事の進捗により、棚卸資産が13,189百万円増加した。
負債合計は前期末比7,107百万円増の101,351百万円となった。有利子負債に関しては、物件仕入れに伴う借入れにより同4,166百万円増の83,706百万円となった。短期借入金が253百万円、長期借入金が8,292百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が4,379百万円減少した。
純資産合計は前期末比3,455百万円増の97,872百万円となった。期末配当金の支払い1,556百万円があった一方で、親会社株主に帰属する中間純利益4,422百万円の積み上げ等により利益剰余金が2,865百万円増加した。自己資本比率は同0.8ポイント低下の47.2%であり、積極投資を進めながらも高水準を維持している。財務健全性は盤石であり短期的な懸念事項はないものと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)