1. 中小企業においてはESG経営に取り組む企業は約10%
フォーバル<8275>は、中小企業の「ESG経営を可視化伴走型で支援する」ことを基本戦略としている。大手企業がESG経営を推進するのは当たり前となっており、中小企業においても不可欠であることは明らかである。
一方で、ESG経営を自らのテーマとして捉えている中小企業は少ないのが実態である。同社の運営するフォーバルGDXリサーチ研究所が行った「中小企業のESGへの対応」に関する調査(2024年9月9日~2024年10月11日)では、ESG経営について、「知っており、他の人に説明できる」という回答が5.0%、「知っているが、説明できるほどではない」が29.2%であり、認知度は低い水準であった。さらに、ESG経営の取り組み状況についての質問では、ESG経営を認知している企業のうち、取り組んでいる企業は31.8%であった。調査母数のうち10.9%しかESG経営に取り組んでいないという実態が明らかになった。同社は、このようなギャップを埋めるべく、中小企業に対してESG経営を啓蒙し、可視化伴走型で実践的に支援する企業ドクターを抱える唯一無二の集団である。
2. ESG経営支援の可視化ツールとしての「きづなPARK」
同社は2021年10月に、中小企業経営のための情報分析プラットフォーム「きづなPARK」をオープンした。「きづなPARK」は、中小企業の大切な経営情報を「つなぎ」、企業と企業を「つなぐ」次世代に継承され続けるような、様々なコンテンツが集う場所というコンセプトで構築されたビッグデータのプラットフォームで、中小企業はこのプラットフォームから経営情報を収集・蓄積・分析活用でき、企業経営に役立てることができる。多くの中小企業の経営情報が集まることで自社と同規模の企業群の統計情報と比較できる(ベンチマーク)。
このツールは財務データだけでなく、DXやGX、知的財産や人的資本などESGに関連する非財務のビッグデータが集まる点で、唯一無二の機能を有している。具体的には、DXスタート診断、DX推進度診断、中小企業版ESG判定、知財活用診断、人的資本判定などのメニューがあり、自社の状態や課題が客観的に把握できる。同社は、中小企業のESG経営の可視化伴走型支援を中長期の最重要テーマとしており、「きづなPARK」のメニューの拡大やデータの質・量が優位性の源泉になると考えられる。同社では、このほかに中小企業がESG経営を目指しやすいようにESGマーク取得を推進し、選ばれる企業へなることを後押ししている。同社及びパートナーには、ESGアドバイザー資格者1,966名(2024年9月末現在)がおり、同分野のリーディングカンパニーとして体制が整う。
3. 子会社タニタヘルスリンクが中小企業の経営者の健康づくりをサポートする新サービス「タニタ健康プログラムwith健康社長」を展開
健康経営はESG経営を推進するうえで重要なテーマである。同社の子会社であるタニタヘルスリンクは自治体や企業を対象に、健康づくりを目的として「からだカルテ」や「HealthPlanet」などのウェブサービスを活用したタニタ健康プログラムの提供や企業の健康経営の支援を行っている。フォーバルグループに入ったことで、同社ならびにパートナーの既存取引先約48,000社へのアプローチが可能となった。最新事例としては、2024年11月に「タニタ健康プログラムwith健康社長」を開始した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)