同社の強みであるコンテンツの創出力は、「多様なサービスの開発・運営を担う人材と体制」と「創業以来変わらないものづくりのカルチャー」によって支えられている。2024年9月末時点で社内のクリエイターの割合は8割程度で、開発・運用ノウハウをグループ全体で共有できる体制を構築している。ものづくりにおいては「プロダクトアウト」を意識しており、位置情報ゲームの確立やスマートフォンゲーム開発、ブロックチェーンゲーム、AI、XR/メタバースと新しいエンターテインメントを追求し、変化と挑戦により道を切り開いてきた。2024年時点でブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」の開発に成功しており、Web3.0分野での先行者優位を確立しつつある。
2025年9月期第1四半期(2024年10-12月)は売上高5,314百万円(前年同期比5.6%減)、営業損益は730百万円の赤字(前年同期は324百万円の赤字)で着地した。ブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」の売上寄与もあったが、一部既存タイトルにおける配信期間の長期化に伴う減収が影響した。ただ、経常利益は56百万円の黒字転換を達成した。第2四半期以降は、投資育成事業からのEXIT収益(タイミー株売却益)が計上される見込みである。現状のパイプラインはスマートフォンゲーム3本・コンシューマーゲーム8本となっており、今期中にスマートフォンゲームをもう1本リリースする予定。また、「Brilliantcrypto」の累積売上高は約400百万円だが、前受金による将来収益1,300百万円程度が見込まれている。
2023年の国内オンラインプラットフォームにおけるゲームコンテンツ市場は1兆7216億円で、ゲームアプリ市場は1兆2351億円と3年連続のマイナスになった。ただ、減少幅は前年比0.7%減と縮小してほぼ横ばいの推移が続いている。
中長期戦略として、「海外市場への積極的展開」「国内IPの活用」「新しいUXの提供(唯一無二のものづくり)」の3つの戦略を掲げている。位置情報ゲームをはじめとする同社の強みの技術力に、グローバルで強いIPを組み合わせることで、世界的ヒットタイトルの創出を目指す。株主還元では2024年9月期の1株当たり配当は、前年と同額の20円であった。連結業績、DOE 、キャッシュ・フローおよび資本の効率性を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を実施する方針としている。コロプラの競争優位性は、コンテンツの創出力にある。2024年9月末時点で保有する特許887件は業界トップクラスであり、ブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」の成長含めて今後の事業展開に注目しておきたい。