ヨッシーこと吉岡進がルアー釣りを中心に色いろな釣り物を狙い、毎回釣りの楽しさを伝えていく当連載「Enjoy Every Fishing(略してE2F)」。
第13回はヨッシーが得意とするマダイ釣りで、一つテンヤやタイラバ、ジギングで狙ってみた。
目下のところ数が釣れていて、そのうえ多彩なゲストも交じる茨城県日立エリアへ釣行した。
釣れるマダイは1kg前後を主体に2~4kg級交じりで好日にはトップ2ケタという釣れっぷり。
ゲストも多彩でハナダイやイナダ、ヒラメ、ソイ、メバルなどが釣れている。
3月下旬に訪れたのは日立会瀬港の弁天丸。
船長が向かった釣り場は日立沖の水深30~40m前後、パラシュートアンカーを入れて魚礁や根周りを狙っていく。
底から5mまで反応があり、8号テンヤを付けたスピニングタックルを手にアンダーハンドでキャストして広く探ったり、ベイトタックルに持ち替えてタイラバで船下を狙うヨッシーは次つぎにマダイを釣り上げていく。
数釣りを堪能したあとは良型の実績が高いジグで誘ってみるのだが……。
詳しくはこのあと。
1kg級のマダイ
Profile
よしおか すすむ
1982年生まれ。
ヨッシーの愛称で親しまれている。
一つテンヤマダイ、ライト系オフショアルアーを得意とする。
ジャッカルソルトプロスタッフ、シーガーインストラクター。
一つテンヤでもマダイ釣りを堪能するヨッシー。
タイラバの釣り方
基本は海底まで落とし、着底したら糸フケを出さずに即、巻き上げに移り、10mほど一定の速度(毎秒1mの速度を基本に早くしたり遅くしたりして反応のある速度を探る)で巻き上げて落とす。
これの繰り返し。
一定の速度で巻く
一つテンヤの釣り方
誘いはリフト&フォールが基本となる。
アンダーハンドキャストしてテンヤが着底したら糸フケを取り、小刻みに5回シャクってカーブフォール。
これを船下まで繰り返す。
リフト&フォール
「自分が、タイラバでこんなに多くのマダイを釣る日がくるなんて、想像していなかった……」
昼下がりの茨城県日立会瀬港でタックルを片付けながら遠い目で語るのは、ライターのタカハシゴーである。
足元のクーラーには、1kg弱という食べごろサイズのマダイが複数枚収められている。
ヨッシーことジャッカルプロスタッフの吉岡進さん率いるE2F取材班の中でも、ズバ抜けて釣りが下手な男である。
残念なことに、彼は記憶力が非常に悪い。
聞いた話は、その日のうちにきれいに忘れてしまう。
だから、毎回リセットされ、ゼロからのスタートとなる。
永遠にうまくならないシステムだ。
そんな彼にとって、唯一と言っていいほどゼロリセットされない釣りが、タイラバなのである。
何しろタイラバは、仕掛けを落とし、着底したら、一定速で巻き上げるだけだ。
実際にはその日のマダイのご機嫌に合った巻きスピードを発見したり、ウネリを相殺して一定の巻きスピードになるように工夫したり、途中で巻きスピードを変化させたり、タイラバのヘッドの重さや色、スカートの形状や色などなど、やりようは無限にある。
だが、基本的にはタダ巻き。
シンプルなので記憶力激悪のタカハシゴーでも、すぐにそれなりの形で釣りができるのだ。
「オレでもタイラバでこんなに釣れるとは……。この発見こそが、一番の『釣果』だったかもしれないな……」
やはり遠い目をしている。
成長した自分に驚いているのだ。
いいポイントに船が入ると次つぎにマダイがヒット
テンヤ、ジギング、タイラバフリースタイルでマダイを狙う
2月25日、茨城県日立会瀬港に集合したE2F取材班は、やや不安げな表情を浮かべていた。
前日の弁天丸は、4.5kgを頭に2kg、1.8kg、1.4kg、そして1.2kgを3枚と、目覚ましい釣果を上げていたからである。
「あれえ? 昨日はよかったんだけどね……」は、船釣りの合い言葉だ。
前日釣れていたからといって、今日釣れるとは限らない。
むしろ、今日は厳しい状況になることのほうが、なぜか多いのである。
もちろん、最初からあきらめていたわけではない。
それぞれにしっかりと準備をして、日立沖のマダイ釣りに臨んでいた。
弁天丸では、一つテンヤ、タイラバ、そしてジギングと、お好みの釣法でマダイ釣りに挑めるフリースタイルシステムだ。
阿部竜也船長によると、前日釣れた4.5kgはグリキン(緑と金)のジグだったそうだ。
「おお、ジグでしたか」
「ええ、ジグでした」
ヨッシーと阿部船長の会話を横聞きしながら、心の中で小さくガッツポーズを出していたのが、タカハシゴーである。
彼は「今日は巻きの釣りに徹する」と決めていたのだ。
ここはマダイの面白いところだ。
エビエサを付ける一つテンヤが圧倒的に有利なように感じるが、そうではないこともしばしばある。
ジグやタイラバのような巻きの釣りがよい釣果を出すことも多い。
永遠の初心者であるタカハシゴーには、それが信じられない。
確かにタイラバやジグなどタダ巻きの釣りは、細かいことを覚える必要がない、ありがたい釣法である。
だが一方で、「エサのほうがぜってぇ釣れるだろう」という思い込みから逃れられないのだ。
だからこれまでのタカハシゴーは、「釣法に縛りがないなら一つテンヤで底を狙う」の、一辺倒だった。
間違いなくアタリが得られて、間違いなく1枚は釣れる可能性が高いからだ。
しかしマダイ釣りは、外房大原に住む彼が最も慣れ親しんでいる釣り物の一つだ。
いくらなんでも、そろそろレベルアップしたい。
初の上、つまり初級者の中での上級者になりたい、という思いがあった。
5時半に港を離れた弁天丸は、シケ続きの中で奇跡的に穏やかな春の海を滑らかに走り、30分弱でポイントに到着した。
水深は30m前後。
8号の一つテンヤで釣り始めたヨッシーの横で、タカハシゴーはタイラバのような巻きの釣りで誘えるジャッカルの人気仕掛け、ビンビンスイッチを手にした。
「底は狙わない」という大きなチャレンジだ。
「初の上」を目指すタカハシゴーの、並なみならぬ決意が感じられた。
釣り場は日立沖の水深30~40m前後
釣れると信じてひたすら巻く 浮いたマダイをタイラバで狙う
イチロウこと鹿島一郎さんは、テンヤをメインにすると決めていた。
幼なじみにマダイを配ることになっていたため、とにかく数を釣る目論見だ。
その狙いは的中した。
テンヤからビンビンスイッチに変更したヨッシー、もともとビンビンスイッチを使っていたタカハシゴー、そしてタイラバで釣りを始めたトモキこと板倉友基さんを尻目に、すぐにショウサイフグを釣り、続けざまに本命のマダイを釣ったのだ。
ヨッシー、タカハシゴー、そしてトモキの「巻き物組」は、アタリこそあれどなかなか釣り上げることができない。
飛びつきはするが、あまり口を使わないようだ。
……と思っていたのもつかの間、日立の海は極めて豊かだった。
釣り開始から1時間もたたないうちに、E2Fスタッフ総員が本命マダイの顔を見ることができたのである。
その中には、なんとビンビンスイッチを巻き続けるタカハシゴーの姿もあった。
正直なところ、彼は異型タイラバとでも言うべきこの仕掛けをあまり信じていなかった。
通常のタイラバヘッドは丸っこいが、ビンビンスイッチはちっちゃいイカみたいなくびれのある形状で、ネクタイはその上部に装着される。
全体的に極めてコンパクトで、とにかく変わっている。
「キワモノに見えるけど、ホントに釣れるの……?」
半信半疑でビンビンスイッチを巻くタカハシゴーの竿に、最初のアタリが出たときは、思わず「ぬおーっ」と声をあげた。
そして力弱~く巻き合わせをするとそれでもしっかりとフッキングでき、見事に1kg弱のマダイを釣ったのである。
「そ、底から5mほど上だったよ……」
半ば茫然としながら、タカハシゴーは言った。
「ホントにマダイって、浮いてるんだ……。底ベタじゃなくても釣れるのか……」
彼もタイラバでマダイを釣った経験はあるが、それはタイラバ専門船でのことだった。
フリーダムスタイルなら迷わず一つテンヤで重点的に底を狙いまくっていた彼が、ついに自分の意思で浮いたマダイを釣った。
大人の階段を昇ったのである。
キャストで広く探って1kg級をキャッチ
テンヤとタイラバでアタリ活発 日立の海はフェスティバル状態
タカハシゴーを除けば手練れぞろいのE2F取材班は、「そりゃマダイは浮いてることもあるさ」と、そっけなかった。
だが、タカハシゴーの満足感は非常に高かったのである。
ヨッシーは、いつもどおりプロらしく冷静に分析していた。
「一つテンヤでの1投目にいきなりアタリがあったんだけど、底から5mぐらい上だったんだ。ちょうどゴーさんがビンビンスイッチで釣ったレンジだね。アタリがあってからフォールさせても、底まではテンヤを追ってこなかった。みんな気付いてたかな?巻き上げたテンヤ、冷たくなってたんだよね。冷たい海水が底のほうに溜まっていて、それをマダイが嫌ってるのかもね」
マダイ、浮いてる!
巻き、有利!
……とも言えなかった。
一つテンヤのイチロウが、バッタバッタと釣りまくっているのだ。
マダイに加えてハナダイ、ホウボウ、ショウサイフグ、サバフグ、ワカシ、サバ、ベラ、ムシガレイと、爆発的な釣果を上げるイチロウである。
イチロウは、テンヤでも工夫を凝らしていた。
「ゴーさんが巻きで食わせているのをヒントに今日のマダイは動きに反応してるのかな、と判断したんです。だからあまりテンヤを止めないように心がけました。底取りしてから50cmほど浮かせて、すぐにフォールさせるの繰り返し。止めるとすぐにフグが掛かっちゃうんで」
トモキは、巻きの釣りと一つテンヤをバランスよく織り交ぜながら釣果をのばしていった。
「タイラバは最初のうちは幅の狭いネクタイを使ってたんですが、ゲストが多くて……。ゴーさんが使っていたビンビンスイッチはネクタイが太かったから、『その差かな』って。僕もビンビンスイッチにしたら、マダイ中心に釣れるようになりました。ネクタイの幅で波動が違うからその影響なんでしょうね」
このトモキの言葉に反応したのはヨッシーだ。
「波動の違いによる食いの差は、かなりあったと思うよ」とヨッシー。
「最初のうちはジグに反応がなかったんだ。おれもビンビンスイッチに変えたら途端にマダイからの答えが返ってきた。ジグよりビンビンスイッチのほうが波動は大きいから、今日はそっちのほうがよかったんだろうね」
弁天丸はパラシュートアンカーを入れ、大きく流す。
マダイがいるポイントに差しかかると、すぐにバタバタッと船中がにぎやかになる。
「実は、いいサイズのマダイが、底のほうでタイラバにアタックしてくることもあったんだ。でもそれは底にいる魚じゃなかった。5mぐらい上の宙層にいた魚がタイラバを追って、着底した瞬間に食ってきてたんだよ。よっぽど底付近の居心地が悪いのかな、と思いたいところなんだけど、イチロウさんは釣ってるからなぁ……」とヨッシー。
釣り開始から3時間ほどはアタリは非常に多かったが、少しずつ落ち着き始め、12時の沖揚がり前にはポツポツとした拾い釣りになった。
終わってみれば、マダイの釣果はヨッシーとタカハシゴーとトモキの巻き組がそろって7枚。
一つテンヤをメインに釣りきったイチロウが15枚。
数は一つテンヤに軍配が上がったが、サイズは巻き組のほうが大きかった。
そして、ゲストが素晴らしく多彩だった。ハナダイ、カンダイ、イナダ、サバ、マゾイ、オキメバル、ヒラメ、ムシガレイ、マトウダイ、ホウボウ、カナガシラ、ショウサイフグ、サバフグ、ウマヅラハギ、トラギス、ベラと、E2F総員で16目を達成したのである。
左舷には二人のお客さんが乗船していたが、そのうちの一人が3kgのマダイを釣った。
ジグだった。
やはり今日は巻きの釣りのほうがサイズ的には有利だったようだ。
実はタカハシゴーは、自己記録である2.5kgを打破したい、という思いを秘めていた。
残念ながら、今回は最大で940g。
記録更新は持ち越しとなったが、「浮いたマダイを狙って釣る」というハードルを一つクリアした彼に、その瞬間は近い……のかもしれない。
「ま、楽しかったからいいじゃん」とヨッシーが言った。
「それぞれに色んな釣り方を試して、それぞれの答えを導き出せたんだから。マダイはそのときどきで何に反応してくるか分からないから、どれが正解とも言い切れなくて、その分飽きないんだよね。日立沖のマダイはサイズもいいし、また来たいね」
力強くうなずくE2F取材班。
そのときは、巻きなのか、底なのか……。
すでに悩んでいるタカハシゴーだった。
ジギングで当日最大3kgを釣り上げた
ヨッシーのメモリアルショット
ピースサインをするレアな一枚をゲット!
実は取材前日に東京湾でタイラバをしていたのだがアタリが遠くて苦戦したとのこと。
翌日の日立沖ではアタリが多く、とてもごきげんだった。
Enjoy Every Fishing Tackle guide
マダイタックル
一つテンヤ用はリフト&フォールの操作性に優れた全長2.3mで、小さなアタリが分かりやすい感度を持つ専用ロッドがおすすめ。
ジギングで使ってもOK。
タイラバ用は全長1.8m前後で、竿先が軟らかく胴にかけて曲がり込み、元はしっかりしている専用ロッドが使いやすい。
How to attach fishing bait
Features of the fishing spot
多彩なゲストが釣れる日立沖
マダイ釣りは豊富なゲストが釣れるのも魅力の一つ。
青物や根魚、底物などが顔を出す。
船宿インフォメーション
茨城県日立会瀬港 弁天丸
090・2549・9043
マダイのポイントを熟知している船長は、アタリが遠くなればすぐに移動してくれるためテンポよく釣りができてモチベーションを保ちやすい。
釣り方やエサの付け方など分からないことがあればていねいに教えてくれるからなんでも聞いてみよう!
また、同船はタイラバやジギングもOKなのでいくつかタックルを持ち込んで状況に合わせて楽しむのがおすすめだ。
▼備考=予約乗合5時集合。集まり次第出船
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隔週刊つり情報(2024年5月1号)※無断複製・転載禁止



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