レビュー
今、世界中でポピュリズムや保護主義が台頭し、世界平和の先行きに暗雲が立ち込めているように感じる。本書は、その理由は効果の上がらない金融政策にあると述べている。
日本は、戦後最長の好景気の中にあるといわれている。しかし、そのことを実感している人はどれだけいるのだろうか。好景気の中にあるからといって、今の政府がおこなっている経済政策は正しいといえるのだろうか。消費税が増税されたばかりだが、それには意味があったのか。何が正しいのかが不確かな経済環境の中にあっても、知識を学び適切なリーダーを選ぶのは私たちひとりひとりの使命だ。誤った経済政策は、世界平和をも脅かす要因となる。
本書は、従来型の金融政策が有効に機能しない理由を見事に論述し、「追われる国」となった先進国がとるべき政策を丁寧に解説する良書である。「経済学の優れた書籍として、ピケティの{{bold}}『21世紀の資本』{{/bold}}と並び称される存在になるだろう」との激賞の声も寄せられている。経済学に馴染みのない読者でも理解がしやすい平易な文章で書かれているため、ぜひとも挑戦していただきたい。たしかに経済学には、難しくとっつきにくい側面がある。
本書の要点
・{{li:ほとんどの先進国において現在の金融政策が有効に機能しないのは、民間部門が債務の最小化を優先しているためである。借り手は、損なわれたバランスシートを修復すべく借り入れを控えている。また、先進国の経済発展は新興国に「追われる」段階となっており、国内に魅力的な投資機会もない。}}
・{{li:行き過ぎた金融政策は、将来的なインフレリスクが高い。被追国に求められる経済政策は、政府が最後の借り手を担う財政政策である。}}
・{{li:金融政策に依存し、緊縮財政を迫られるEU各国ではポピュリズムが躍進している。貿易赤字が深刻化する米国でも、保護主義を掲げるトランプ政権が誕生した。}}
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