レビュー

日本ではアメリカのテック企業群「GAFA」(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)が大きくもてはやされ、多くの書籍で取り上げられている。一方で、急成長している中国の三大企業「BAT」(バイドゥ、アリババ、テンセント)を取り上げたビジネスストーリーの書籍は、数が限られているのが現状だ。


本書は、そんなテンセントの歴史を描いた大著である。1998年の創業から、11億人のユーザーを擁するに至るまでの、同社20年の歩みが克明に綴られている。社史という位置づけでありながら、開発競争や訴訟の内幕、米国企業や日本企業の技術をどのように模倣したのかという点まで、赤裸々に明かされているのが興味深い。
なぜ、テンセントが時価総額・ユーザー数・収益力ともに、中国トップ企業となれたのか。同社の成功は、戦略によるものか、それとも偶然の産物なのか。同社が「模倣ばかり」「閉鎖的」と非難されるのはなぜなのか。これらの謎解きのために、著者は同社の歴史を紐解くことになる。創業者の馬化騰はあまりメディアに出ず、アリババのジャック・マーに比べて、その人となりが謎の人物だとされてきた。そんな馬化騰に、著者は何度もインタビューしており、本書はテンセント創業者の人物像を知る上でも貴重な書籍といえる。そこから、アメリカとは異なる中国のインターネット企業のあり方が浮き彫りになっていくさまは実に面白い。テンセントの軌跡を追うことで、読者は中国、アジアにおけるインターネットビジネスの過去と未来に思いを馳せることになるだろう。

本書の要点

・テンセントは、中国のインターネット企業として、2番目に香港証券取引所に上場した。

同社が開発したインスタントメッセージサービス「ウィーチャット」のユーザー数は、11億人に達した。
・テンセントはソーシャルネットワーキングサービス「Qゾーン」において、仮想商品販売による収益化を成功させ、大きく躍進した。
・中国のインターネット企業は、応用によるイノベーションの能力とその速度において、どの国の同業者にも引けを取らない。



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