レビュー

なぜ私たちビジネスパーソンは、経営理論を学ばなければならないのだろうか。それは、「意思決定」こそがビジネスの本質だからだ。

大きな事業戦略から、顧客への対応、商品企画、部下からの相談事まで、私たちは日々意思決定をしている。その難しさを実感しているからこそ、確固たる思考の軸をもった経営者に憧れを抱くのかもしれない。
著者によると、一流の経営者の共通項は「常に考え続けている」ことだという。経営理論は考え続けるための「拠り所」となる。経営理論をベースや補助線として、自分ならではの思考の軸を形成していく。それがビジネスパーソンとしての成長を促すというのだ。
考え続けるための拠り所は、自分の経験則でも、尊敬する先輩や経営者の言葉でもよい。しかし、経営理論は圧倒的に普遍性が高い。これまで私たちには、理論の断片やビジネス・イシューの解決策、フレームワークしか与えられてこなかった。主要経営理論を網羅的・体系的に解説するという本書の試みは、世界初となる。
本書は800ページを越える大著であるが、ひるむ必要はない。なぜならこれほど画期的で示唆に富む本でありながら、驚くほどわかりやすいからだ。
本要約では、理論についての基本的な捉え方と、『ダイヤモンド・オンライン』(2019年12月30日)で著者自身が「好き」だと語った3つの理論を紹介する。先が見通せず変化の激しい現在こそ、普遍的な経営理論による知的武装が重要なのではないだろうか。世界の経営学の英知が凝縮された本書をぜひともすすめたい。

本書の要点

・経営学は、人と組織を対象として、その思考、意思決定、行動の普遍的なあり方、メカニズムを解明する学問である。
・経営理論の構築においては、人と組織についての根本原理として、経済学、心理学、社会学という3つのディシプリン(学問分野)の知見を活用している。
・本書では、多くの経営理論のなかから真理に肉薄している可能性が高い、30もの世界標準の経営理論を、ディシプリンごとに分類し、紹介する。



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